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メタァな厨二病男子とチートなお節介系幼馴染は果たして純潔を守れるか!?  作者: アシタカ
第七章 人族領・王都ダーリエ編
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第80話 潜入準備

 戦いたいって、正気だろうか。トルペの闘技大会ではヒューバートが勝ったんだったか。でもイザークが本気を出せば、何となくだけど負けたり死んじゃったりなんてしないとは思う・・・


「全てが終わったら、イザークに打診してみる」

「頼んだぞ」


 ヒューバートは爽やかに微笑んだ。

 とりあえず、今はなんでも良いから仲間がほしいし、後でイザークに相談してみようそうしよう。あとは獣3娘だが、ニーニャとナンシーは眉間にシワを寄せて考えている。


「あー、もう!難しいことゴチャゴチャ考えたって分かんないわよ!もういい、ミラ、あんたが決めてよ」

「えー?私がぁ?」

「姫巫女の意思、優先」


 考えても分からないと言うことで、二人はミラに託したようだ。ミラは少し首を傾げて考えた素振りを見せると、変わらぬ笑顔を見せた。


「もういい加減グラトナレドにも帰りたいしねぇ。エイブラハムさんを探って何か出てこれば帰れるし、何も出なければ今度こそマーガレットのこと、『どうにか』すれば良いしねぇ」


 ダメだ、もうミラのことが怖くて仕方ない。しかしこれで私も仲間を4人、確保することができたのだ。気を抜くと後ろから撃たれそうな緊張感もあるけれど。


「それで、これから何をすれば良いわけ?」


 腹が決まればニーニャは積極的だった。しかし、その問いに私は上手い返しがない。


「それはこれから・・・どうすれば良いかを考えようかと・・・」

「はあ!?」


 ニーニャが鬼の形相に変貌する。


「まさかあんた、何の算段もないわけ!?そんなんで、どうにかしようとか、世界の滅亡止めようとか、そんな大それたことを考えてたって言うの!?」

「うう・・・返す言葉もありません・・・」

「何なのよ、それ!?あんたそんなんでよく私たちに手助けしてくれなんて言えたわね!」


 容赦ないニーニャの言葉に私は小さくなるしかない。分かってるんだけど、ちょっと責めすぎじゃない?そりゃ無謀かも知れないけど、これ以上の被害拡大を食い止めなくちゃと急いで来たんだし。


「エイブラハム殿は、活動の拠点はゾンネンブルーメだが出身はダーリエだ。なので実はこの王都にも屋敷を構えていて渡しも知ってるんだが・・・」


 あまりに責められる私に助け船を出してくれたのはヒューバートだった。


「そこはあまり人を招かない。色々取引する商品の効果を知るための実験などできる設備があるんだとか。そういった企業秘密が他に漏れないよう厳重警備していると噂で耳にした」

「それなら!そのエイブラハムの屋敷に行って、『魔除け薬』の実験データを入手できれば全てが明るみに出せるよね!」


 私はヒューバートの情報に興奮気味に乗っかった。早速取っ掛かりとなりそうな話が出てきてバンバンザイである。


「え?ちょっと待ってよ。それ何、もしかして姫巫女に盗みに入る手助けしろってこと?」

「まぁ、気づかれてはいかんだろうな」


 平静に返すヒューバートに少し面食らいながら、ニーニャは私をきつく睨んできた。


「神聖なる姫巫女がそんな盗人みたいな行為って・・・マーガレット、あんたもしこれが嘘だったりなんかしたら、本当にただじゃおかないからね」


 私は何度も頷くことしかできなかった。

 エイブラハムのダーリエにある屋敷の場所はヒューバートが知っているとのことだったので、彼に案内を頼むことにした。


「今日、王城ではエルフの姫の歓迎パーティが開かれるの。それで、主要人物とかは招かれているはずだし、エイブラハムもきっとかなりの財産を持ってて国に武器となる魔法道具マジックアイテムを売っているみたいだし・・・パーティには呼ばれているんじゃないかな」

「なら屋敷、今夜は留守?」

「ちょっと急すぎない?あんたのその破れかぶれな計画、とっても不安なんだけど」

「だがしかし、機会を逃すのも見過ごせないしな。暗くなってからの方が良いだろうし、パーティの始まる時間帯を狙って屋敷に忍び込むか」


 私たちは計画を練る。残念ながら、ヒューバートは場所を知っていても屋敷の中に入ったことはなく、間取りとかは分からないそうだ。でも、その屋敷は高い塀で覆われ、中庭には獰猛な番犬を何匹も飼っているのは見かけているとのことだ。


「塀に番犬ね・・・それは、まぁ私たちに任せてもらって良いわよ」

「そうか。あとは中に入った後だな・・・外から見ただけでも、かなり大きい屋敷だ。全員で固まって行動するには目立つし、探しきれないだろうから手分けしよう」

「1人、危険。2人以上で」


 2対3くらいにわかれるのが良いのではないかと話していると、ニーニャが「なら私はマーガレットとよ」なんて言いながら手を取ってきた。一体どういう風の吹き回しかと驚いていると、ぎゅっと手に力を込めてニーニャは私に告げた。


「何かあった時、逃げられたら困るからね。私が近くで見ていてあげるわよ」

「だから、ウソなんてついてないよ・・・」


 やっぱり、まだきちんと信頼は得られていない。仕方がない、そこはエイブラハムの実験データさえ手に入れば何とかなるのだから、それまでの辛抱だ。


「それじゃ、各自必要と思うものを揃えて、日が沈む前にここに再度集合しよう」


 ある程度の打合せをして、あとは必要なものを揃えるということで解散となった。しかし、私は正直揃えるような必要な道具なんてありやしない。しかもさっきは街中でかなり目立ってしまったので一人でウロウロするのも考え物である。みんなが帰ってくるのをこの宿で待とうかなと思っていた時だった。


「私も準備のために騎士団宿舎に一度戻る。一緒に来るかい?」


 ヒューバートに誘われ、私は騎士団宿舎に行くことにした。もしかしたら、イザークたちと合流できるかもしれないし。その時は正直違う問題が出てくるけれど、さすがにヒューバートも会っていきなり斬りつけたりなんてしないだろうし。

 王城に近づくのはちょっと怖かったけれど、騎士団宿舎は城内と言えどかなり離れた場所に建っていて、ヒューバートに続けばすんなりと行きつくことができた。ヒューバートと同じ格好をした屈強そうな男たちが何人もいて、それぞれ思い思いに過ごしている。


「ちょっと装備を整える。ここで待っていてくれ」


 食堂らしき机がたくさん並ぶ広い部屋に連れてこれら、ヒューバートに椅子を勧められそこに腰掛ける。彼はすぐに部屋を出ていき、私は手持無沙汰になってしまった。しかしヒューバートに連れられてきた私が珍しかったらしく、騎士団員の1人が話しかけてくる。先ほど街中で出会った団員とは違う人だった。


「少佐が女の子連れ込むなんて。一体、どういう関係ですか?」

「いや、関係なんて・・・ただの友人です」


 団員は「へぇ」なんて言うが、ニヤニヤ笑いが隠しきれていない。一体何を期待しているんだか知らないが、勘弁してほしい。それよりも、私は私の聞きたかったことを口にする。


「昨日、ここにエルフの姫が来たって聞いたんですけど、本当ですか?」

「ああ、そうだな。街でもやっぱり騒ぎになってるよな。なんせエルフだもんな」

「その時一緒に来ていたお供の人が、ここの宿舎に来てるって聞いたんですけど・・」


 あからさまだったかと思ったが、単純な性格の人なのか特に疑問には思われなかったようだ。団員は「いや、見てないけどな」と首を傾げた。

 一体、どこに隠されてしまったのやら。

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