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メタァな厨二病男子とチートなお節介系幼馴染は果たして純潔を守れるか!?  作者: アシタカ
第二章 エルフ領・ラスタリナ編
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第29話 余儀ない旅立ち

 嵐のような伝言であった。

 冒険者ギルドでは、犯罪者など緊急性の高い討伐対象が現れた時に鳩兵隊を使って全冒険者に連絡が回るらしい。海賊とは恐ろしい。きっと現代日本の漫画で読んだようなハートフルで人情に厚いような主人公が率いる海賊団とは違うのだろう。


「そうは言っても、トルペには行く予定がないし、こんな連絡もらってもどうしようもないしね・・・」

「・・・海賊か・・・ふっ。俺を必要とする者の声が聞こえる・・・」

「ナイト、何言ってんのよ」


 また何か火が付いたらしいナイトに睨みをきかせるが、ちょっと考え込んでいたイザークがナイトに賛成した。


「確かにトルペに行く必要があるかもしれない」

「なんで!?どうして海賊退治なんてしなきゃいけないの?」

「いや、海賊退治ではなくて。あと、正確に言えばトルペではなくて海港都市で船に乗る必要があるって話だ」


 突然の提案に私は訳が分からず、ナイトは興味津々に話を聞き始めた。ちょっと、私たちって今、帰る手段を失って悩んでいるとこだと思ってたんですけど。


「魔族領のラースラッドに行くんだ。ブルクハルトに会って帰り方を聞くしか、他に方法はない」


 しかもイザークはとんでもないことを言い出した。


「わざわざ事の元凶のラスボスに会いに行くってこと!?」

「魔族領か・・・俺の左腕が疼くな。ラースラッドの名も、どこか懐かしい・・・」

「一回も聞いたこと無いでしょ。ちょっと黙っててよ」


 冗談かと思ったが、イザークは本気のようだった。


「お前たち2人をこちらの世界に呼び込んだのはブルクハルトだ。帰り方を知っているのも奴しかいない。本当に帰りたいのなら、直接聞くしか他に方法はもうない。この世界で転移魔法陣なんてのは夢物語でしかなく、研究もろくに進んでない分野だからな」

「でも・・・危ないんじゃないの・・・?」

「帰る気がもうないって言うなら、無理にとは言わない」


 イザークはそう言って私たちの反応を窺った。他に手はないって言われれば、それまでだ。帰りたくない訳がないし、こうなったらとことんやるしかないのか。


「それじゃ、冒険の始まりだな」


 ナイトはまた嬉しそうであった。

 魔族領ラースラッドはマグノーリェ大陸とは別の大陸、ロドデンドロン大陸にあるらしい。この世界には3つの大陸が存在するが、魔族と竜人族しか住んでいないのがそのロドデンドロン大陸らしい。マグノーリェ大陸にはトルペから北にドワーフ領スロテナントがあるのだが、そのドワーフ領から東に船を出すとラースラッドに着くそうだ。ただし、スロテナントは険しい山岳地帯で陸地から向かうのは厳しいらしい。なのでトルペ港からまず船でスロテナントに向かい、また陸地を伝ってから海をもう一度渡ると辿り着けるそうだ。

 物凄く遠い。しかし、それが最短のルートであると言われればそれまでである。


「魔族領に向かう!?大丈夫か、マーガレットよ」


 決定事項をルークスリアに伝えると、予想通りに心配された。やっぱりエルフから見てもこの旅は危険らしい。私もできることなら他の方法を探したいが、現状考え付かないので選択の余地がない。


「イザークもいるので、何とかやってみます」

「そうか・・・そなた達が決めたことであれば、何も言うまい。気を付けて行ってまいれ」

「はい」

「わらわたちも、あの人族の者たちの口を割らせて、人王の企みを暴いてみせよう。どうせ転移魔法陣の所に戻ってくるのだろう?そなた達が戻ってくるころにはきっと吉報を伝えてみせるぞ」


 ルークスリアとの挨拶も終え、再び戻ってくるので貝合わせの対を彼女に渡すことにした。

 ネイトやウォーレン老にも同じように伝えると、とりあえずトルペに行くにはゾンネンブルーメに寄ることになるとのことで、ネイトと一緒に向かうことになった。また旅の支度を整えて、今度は4人で再びゾンネンブルーメへと出立する。


「こんなに早くパーシヴァルたちに再会するなんて・・・」


 貝合わせで一度その旨を伝えた時には、パーシヴァルは快く待っていてくれると言ってくれた。たくさん迷惑をかけてしまったパーティなので、何かお礼をしたいものである。


「ウォーレン老、ハイノがまた訪ねてくると思いますが、よろしくお願いします」

「よい、よい。あの程度の若者なんぞ、老から見れば赤子も同然じゃ。任せておくが良い」


 ウォーレン老は人の好さそうな笑みを浮かべ、ハイノのことも快く引き受けてくれた。あの「何で何でボーイ」が迷惑をかけないことを祈るばかりである。


「それじゃ、よろしく」

「ああ」


 騒がしく忙しかったので気にしていなかったが、ネイトとイザークがしっかりと顔合わせするのはこれが初めてである。しかし、こちらの複雑な心境を他所に2人は特別気にする様子もない。何だってこの2人はこんなにも冷めているんだか、逆に心配になってしまうくらいだ。

 とにかく、帰ることに失敗した私たち。もう仕方がないのでラスボスに相見えることにする。正直、レベルも上がってないし特別なスキルだってないし本当に大丈夫なのか心配だ。とりあえず旅の道中に少しでもイザークに体を鍛えてもらいながら進むしかあるまい。

 やっぱりどう考えても無謀なんですけど。まぁ、うちのお坊ちゃまはまたやる気になっているので、またその心が折れる前に何とかなってくれることを祈る。

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