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メタァな厨二病男子とチートなお節介系幼馴染は果たして純潔を守れるか!?  作者: アシタカ
第二章 エルフ領・ラスタリナ編
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第27話 深淵の常闇2

 あまり納得はいっていないが、イザークが大丈夫と言うなら大丈夫なのだろう。これ以上話し合っても埒が明かないということで、話題を移ることにした。


「とにかくハイノも問題なしということであれば、魔物被害もこれで解決ですね」

「そうだな。マーガレットよ、感謝する。これで安心して里の者も生活が送れるだろう」


 やっとルークスリアの態度が軟化してくれたのでこちらとしても嬉しい限りである。どうにか和解できて、これで私たちの目的も達成しやすくなるというものである。


「それで、お主達は探し物があったのだったな?」

「はい。実は、転移魔法陣を探しに来たんです」

「転移魔法陣・・・?」さすがにエルフにもこれはお伽噺のようなものらしい。

「実際に、マーガレットと俺はそれを使ってこの世界に来たのだ・・・」

「『この世界』とな?」

「いかにも!我々は、別の世界からやって来た!異世界人なのである!」


 ナイトはまた元気になった。異世界人って、そんなに大っぴらに話して良いものなのか。しかしこれ関係の話題は全てナイトに任せることにしているので、私も黙って話を聞くことにした。


「異世界とは、また子供に聞かせる絵芝居のような話をするのだな」

「信じられないのもムリはない。しかし、我々は現に転移魔法陣を通ってこちらの世界に来たのだ。その時に通った深淵の常闇はいまだこの森に残っているだろう・・・」

「深淵の・・・?」

「ナイトが勝手に呼んでる転移魔法陣の名前です、それ」

「我々はその深淵の常闇を再び探し出し、元の世界に帰ろうとしているのだ!」


 ルークスリアとウォーレン老は顔を見合し、渋い顔をした。無理もないこんな荒唐無稽な話と思ったのだが、そうして悩むルークスリアに目で合図すると、ウォーレン老は話し始めた。


「実は少し前に、確かに高濃度の魔素が発生する魔法陣を我々は発見している」

「なんと!」


 そうか、そんなお伽噺級の魔法陣だから、エネルギーとなる魔素も物凄い量が動いていたのだろう。探すどころかあっさりと目的のものが発見されて、私とナイトのテンションは上がる。


「それでな・・・魔物の凶暴化に関係のある魔法陣ではないかと思ったものでな・・・埋めたんじゃ」

「え?」

「そんな魔素の強い魔法陣など触れられもせんからな。埋めたぞ」


 さすがに、寡黙で無表情のイザークですら、この話には驚き口が開いてしまっていた。私とナイトなんて言わずもがなである。


「えー!?じゃ、転移魔法陣見られないっすかー?」


 ハイノだけは、相変わらず緊張感がなく空気の読めない奴であった。



 ***



 そこは小高い丘になっていた。変に土が盛り上がり、周りには神社でよく見かけるような縄が張り巡らされていた。ウォーレン老に案内されて見に来た転移魔法陣の在処は、こんな姿へと変貌を遂げていた。


「これは、すごい・・・」

「でも、それなら掘り起こせばいいよね?イザーク、土系の魔法は使える?」

「使えるが・・・」

「それは止めた方が良い。あれだけの魔素を持つ魔法陣じゃ。下手に魔法が当たれば力が暴発してこの辺り一面から森が消えるかもしれんぞ」


 嘘でしょ。それじゃ、何?


「掘れってことですか?」

「手でな。手伝うぞ」


 スコップを渡されて、思わずげんなりした。ここに来てまさかの肉体労働ですか?

 ナイトも渡されたシャベルを嫌そうに眺めながらウォーレン老にそろりと伺う。


「ちなみに他のエルフの方々は手伝ったりとか・・・?」

「生活があるのでな。手が空いているのはこの老くらいじゃ」

「エスターもいるよ!ネイトくんもね!お手伝いするよ!」


 私の最上級の癒し、エスターもお手伝いに来てくれた。メンバーは私、ナイト、イザーク、ウォーレン老、エスター、ネイトの6人で掘削作業を行うことになった。


「ハイノは!手伝って!くれても!良いん!じゃないの!?」

「あいつに期待するのは止めた方が良い。むしろ、変に手を出されるとそれこそ森が爆発する」

「やっぱり!魔法の!威力は!強いんだ!?」


 私とイザーク、ナイトの3人で丘を掘り進める。そしてウォーレン老とエスター、ネイトの3人が掘った土を捨てに行く。この連携で私たちは丘を掘り返した。魔法陣は中心辺りにあるので、真ん中まで掘り進んで来たら魔法陣を崩さないように気を付けて慎重に掘っていかなければいけない。それでもその真ん中に辿り着くまでが相当な道のりだった。


「それより、ネイトは残ってて良いの?手伝いもしてもらっちゃって、申し訳ないんだけど」

「良い。君たちを最後まで見送って、ディアナたちに報告するよ」


 ネイトは全く記憶がないにも関わらずとても親切だった。もしかしたら、貝合わせでパーシヴァルたちと話した時に私たちのことを少しは聞いてくれたのかもしれない。少なくともディアナと私なんかはとても仲良くしていたので、面倒を見てくれる気になったのかも。本当、余計なお世話だがネイトがパーティに戻ったらぜひともディアナとよろしくなってほしい。本当、大きなお世話だが。

 掘削作業はさすがに1日でどうこうできるものではなかった。2日かけてやっと真ん中までたどり着き、後はイザークに魔素を感知しながら慎重に掘り進んでもらって、やっと掘り起こすことができた。それは、見た目としては人口の洞穴のような形になった。


「これで、この転移魔法陣も使えるだろう」

「やっと終わった・・・」

「今日はもう遅い。帰るのは明日にして、今日は里でゆっくり休むと良い」

「エスター、ありがとね」

「お姉ちゃん、良かったね。これでお家帰れるね」


 その日はもう日も傾いていたので、再度里に泊まらせてもらい、ついに明日、帰ることになった。長いようで短い旅だった。私は感慨深いものを感じながら、その日は里で最後の晩餐を楽しませてもらった。お別れ会ってことで、ルークスリアがご馳走を用意してくれたのだ。他のエルフたちも便乗して賑やかな宴会のようなものが開かれた。森で取れた動物や収穫された野草を使った料理は食べたことの無い味ばかりだ。小さなエルフたちが木彫りの楽器を持ってきて、演奏会を開いてくれるのを眺めながら食べる料理は絶品と言えた。

 ルークスリアが酒を持ってこちらの席に来てくれたが、私たちは未成年なので飲みたがるナイトを抑えて断った。ルークスリアは隣に座ると酒を飲みつつあの使者たちについて教えてくれた。


「さすが王に仕える者と言うべきか、なかなか口を割らん」

「そうですか・・・」

「何がしかの方法で魔物を暴れさせているのは間違いない。しかし喋ろうとしないし隙を見れば自害しようとするのでな。睡眠を促す薬草を多量に嗅がせて眠らせておる」


 一筋縄ではいかないようだ。実はハイノに関しては、歴然とした証拠が見つかるまで人王たちにこの事態を悟られないように、グリーダッドの王都へと赴き報告をしてもらっているらしい。


 あいつ、あんなに楽しみにしていたのに転移魔法陣は良いのか?そう思ったが、どうやら魔法陣が見られれば満足らしいので、私たちが帰った後でもゆっくり見ると言っていたそうだ。


「何としてでも吐かせてみせる。人の手で魔物が暴れるようにしてしまえるなんて、悪夢としか言いようがない」


 ルークスリアのグラスを持つ手には力が入っていた。もう、ここからはこっちの世界の人々の問題だ。私たち帰る人間には関われないことだ。それでも、どうか上手くいってくれますようにと祈らずにはいられなかった。

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