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嫉妬しないでくれる?

作者: 徒然草
掲載日:2026/04/09

 美人で我儘な妹、平凡な見た目で頭が良い姉のよくある貴族令嬢の物語です。


「宿題なんて面倒臭いわ、お姉様がやってよ。」


 そう言って、セリーヤ・アリアス子爵令嬢の1つ下の妹のプリヤは、宿題をセリーヤに押し付けようとしてきた。


 セリーヤとプリヤは似ていない姉妹だ。セリーヤは平凡な容姿だが、プリヤは可愛らしくも美しい整った容姿だ。


「いい加減にしなさいプリヤ。自分の事でしょう?」


 セリーヤはプリヤに呆れたような、責めるような目線を送る。ちなみに、このやり取り今に始まった事ではない…。

 

「もう、お姉様…。」


 プリヤは薄笑いを浮かべてセリーヤを見た。


「私の方が可愛いからって、嫉妬しないでくれる?」


 プリヤは毎回そう言って、見当違いな事を言いながらセリーヤを見下して馬鹿にしてきた。


 勿論、プリヤの方が容姿が優れている事はセリーヤも認めている。その事を羨ましいと思った事は何度もあるし今もある。

 だがセリーヤとしては容姿が優れているからといって、何故自分がやるべき勉強や宿題をセリーヤに押し付けようとするのか。何故拒否すればプリヤに嫉妬していると言う解釈になるのかが理解出来なかった。


「プリヤ、最低限の勉強を疎かにすると将来後悔する事になるわよ。」


 プリヤの反応が面倒臭くて、セリーヤが宿題をする事もあったがそれは間違いだったとセリーヤは後悔と反省をしている。プリヤは宿題があればセリーヤに何が何でも押し付けようとするか、プリヤに気がある学園の令息に押し付けるようになってしまった…。


 自分を見下す態度ばかり取るプリヤに対して、セリーヤは嫌悪感や苛立ちもあったが、将来を心配する気持ちも含めて忠告した。


 人によって学力に差があるのは仕方がない。セリーヤは容姿は平凡だが成績は優秀で、物覚えも飲み込みも人一倍早かった。

 プリヤはセリーヤの憶測だが、頭脳は平凡か少し下程度のもので努力すれば人並みの頭脳を持てる実力があると思っている。しかし、本人が嫌がり真面目に取り組まない為、学園での成績は底辺だ。

 

 セリーヤとプリヤ、2人のどちらかは何れアリアス子爵家の後継者になるか、何処かの家に嫁いで夫を支える事になる。もしかしたら2人共嫁いで、アリアス子爵家は養子を取る可能性もあるが…。

 ただ、どちらの立場も果たすべき責務と責任はあり、学園の宿題ですらやろうとしないプリヤでは上手く立ち回る事が出来るとはセリーヤには思えなかった。


 このままだと、プリヤはまともな縁談すら受けられない可能性もある。セリーヤは自分を馬鹿にしてくるプリヤを好きではなかったが家族として、姉として妹の将来を心配する気持ちも少なからず残っていた。


「はいはい、嫉妬も過ぎれば醜いわよお姉様?」


 そんなセリーヤの気持ちも分からず、プリヤは嘲笑うだけだ。


「私はこんなに可愛いのよ? 見た目が優れているだけで充分に令嬢としての価値があると思わない? 勉強だの公務だの、面倒臭い事は他の誰かがやってくれれば良いだけだわ。」


「プリヤ、自分が可愛いからってそれだけで人に押し付けるのは良くないわ。」


「もう、自分が可愛くなくて勉強しか取り柄がないからって見苦しいわよお姉様。お姉様なんかじゃ無理でしょうけど、私なら私の為に何でもしてくれる素敵な男が私の下に来てくれるわ。」


 やれやれ、といった様子で態とらしく話すプリヤは意地悪そうな笑みを浮かべた。


「お姉様の取り柄は勉強だけでしょう? それなのにこんな簡単な事も分からないだなんてお馬鹿さんね… それとも、嫉妬心が勝って頭の回転が鈍くなったのかしら?」


「っ…。」


 そんなプリヤの言葉と態度に、セリーヤの心の中の何かが切れてしまった。


「…そう、なら好きにしなさい。」


 セリーヤはプリヤを完全に見限る事にした。妹が、プリヤが今後どうなろうと知った事ではない。これまでプリヤを止められなかった両親が頼りになるとは思えないが、両親に後は任せて今後は無視する事に決めた。


「もうお姉様、嫉妬しないでくれる? みっともないわ。」


 セリーヤの反応を都合よく解釈した様子のプリヤは勝ち誇ったように言ってきたが、セリーヤは反応せずにプリヤから離れていった。

 その後、プリヤはセリーヤに宿題をやれとしつこく言ってきたがセリーヤは無視した。


 セリーヤの心の中にはプリヤに対する呆れと諦め、そして強い苛立ちが込み上げていた…。





◆◇◆





「お、お姉様がクロード・セナダイヤ侯爵令息の婚約者になった…?」


 数日後、プリヤが信じられない、いや、信じたくないと言わんばかりの顔でセリーヤと両親の顔を見た。


「…ええ、本当よ。」


 クロード・セナダイヤ侯爵令息は、セリーヤが学園で何度か顔を合わせる程度の仲であり、友人関係でもなかった。しかしクロードの方はセリーヤの事が気になっていたらしい。

 セリーヤの頭の良さと人柄についてどう話したのかは分からないが、セナダイヤ侯爵を説得して婚約者になって欲しいとクロードからセリーヤに申し入れがあった。


 セリーヤはクロードの事をまだ良く分かってはいないが、学園でのクロードの立ち振る舞いや評判は悪くないと思っているし、婚約の打診をされた事は正直とても嬉しい…。

 両親も侯爵家との繋がりが出来る事と、セリーヤの嬉しそうな雰囲気を見て賛成してくれている。

 

 …だが1人、それを反対する声が上がる。


「あ、あり得ないわ! お姉様なんかが、クロード様の婚約者になるだなんて…認めないわっ!」


 プリヤの反応からして、自分よりも下だと見下しているセリーヤが侯爵令息の婚約者になるのが面白くない。という想いもありそうだが、クロードに好意を寄せていたようだ。


 セリーヤはプリヤの恋愛については何も知らなかったので少し驚きながらも、面倒臭い事になったという気持ちで気が少し重くなった。


 プリヤはセリーヤを睨みつけるとそのまま自分の部屋に行ってしまった。両親はやれやれ、といったような困ったような顔をする。


「プリヤ、変な事をしなければ良いのだが…。」


「…。」


 父親の言葉にセリーヤは何も言わずに沈黙した。





◇◆◇





「っ、お姉様っ! クロード様の婚約者になるだなんて赦さないからねっ!!」


 数日後、プリヤは泣きながらいきなりセリーヤに詰め寄ってきた。セリーヤは少し驚いたものの、ああなるほど、といった様子で呆れた顔をした。


「プリヤ、貴女クロード様に愚かな事を言ったそうね。」


 セリーヤはクロードから、学園でプリヤに詰め寄られたと聞いていた。

 

 セリーヤはプリヤよりも可愛くも美しくもない。

 セリーヤは可愛げがない。

 そんなセリーヤよりもプリヤの方がクロードの隣に立つに相応しい。等とセリーヤを侮辱しながらプリヤを婚約者にしろと要求したそうだ。

 

「愚かな事なんて言ってないわよ! 私は当たり前の事を言っただけよっ!!」


 プリヤは自分は間違っていないとばかりにセリーヤを睨みつける。


「…それで、クロード様は何と?」


 セリーヤは全て分かっていたが、敢えてプリヤに質問した。


「っ、そ、それは…。」


 言いたくない様子のプリヤは口籠る。その様子を少し見た後セリーヤが口を開いた。


「“プリヤの立ち振る舞いと頭脳では、侯爵夫人となるに相応しくない。それに、姉である私を侮辱するプリヤを好ましく思えない”と、そんな感じの事を言われたのよね?」


「っ〜〜!」


 プリヤは悔しさと怒りからか、顔を赤らめてセリーヤを一層睨みつける。


「それが全てよ。私からプリヤに言う事なんてないし、クロード様との婚約は解消する気もないわ。」


 セリーヤは無表情でプリヤに言い返す。しかし内心ではクロードがプリヤをハッキリと拒否して、セリーヤに誠実でいてくれた事がとても嬉しくて喜んでいた。


「っ〜、そんなの認めないっ! なんでよ、どうしてよっ!! 頭が良いからって、それが何よっ!! 私はただ、お姉様より私の方が美人だって言ってるだけじゃないっ!! 嫌よ、絶対に嫌よっ!!」

 

「…はぁ。」


 プリヤは癇癪を起こす子供のように嫌がる。どうして、だなんて言っているがその理由はすでに言っている。クロード本人がプリヤを拒否し、セリーヤ望んでいる以上どうにもならない。


 だが、そんな事を言っても同じ反応をプリヤは繰り返すだけだ。そう思ったセリーヤは溜息を吐いた。


「プリヤ。」


 その代わり、ずっとプリヤがセリーヤに言ってきた言葉を、今度はセリーヤが言ってあげる事にした。


「私の方が頭が良いからと言って、嫉妬しないでくれる?」


 セリーヤの言葉に、プリヤは目を見開いて固まった。



 王道な展開の貴族令嬢のお話でした。作者のヒロインは善良なだけではないので最後にやり返しましたが 笑

 王道なお話は展開が分かっていても面白いですよね! その後、プリヤは癇癪を起こしたまま言い返すと思いますが、セリーヤは知嫉妬しないでと、立場が変わった状態で言い合うのだと思います 笑

 可愛い、美人である事は確かに有利な事も多いですがそれだけでは人生上手くいかないと思います。例えば一目惚れされてすぐに付き合う、結婚する事は出来ても日頃の態度や、いざという時に頼られる力が備わっていなければ長続きしないと思います。貴族社会であれば尚更能力や立ち振る舞いが重要になる訳です。そんな感じの短いお話でしたが、読んで下さり有難うございました!

 もし宜しければ評価して頂けると嬉しいです(*^^*)

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― 新着の感想 ―
立場逆転物語はこういう頭良くて多少やり返すヒロインが好きです。ラストの台詞が皮肉が効いてる。 プリヤはここで「可愛ければ人生オールイージーモード」という思い込みを捨てて美貌以外も磨く努力が出来るかが…
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