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*♡異世界恋愛♡*

獣人様の深愛 ~伯爵令嬢は獣人王太子に溺愛される~

作者: 虎娘

サラトーニア(愛しい人)、今更ではあるが、私と結ばれるのは嫌ではないか?」

 

 白虎族の王太子タイラーガは、日々の鍛錬で鍛え上げた逞しい腕で横抱きにしている、人の国から花嫁として迎え入れたサラを、不安な面持ちで見つめながら尋ねた。


「タイラーガ様、私は貴方様と結ばれることができて光栄です」


 満面の笑みで答えるサラを見て、タイラーガの尻尾は左右に大きく揺れ始めた。


「嫌だと言われても、手放すことはできないのだがな」



――時は遡り、2人が結ばれる数か月前のこと。


「皆の者!前進せよ!」

「このまま突き進め!」

「獣人を恐れるな!」


 人の国の兵士たちは剣や弓を手にし、獣人へ向け攻撃をしかけた。


「我らもこの地を守るために人間どもを排除する!」

「人間ども!かかってこい!」

「我らの方が強いとわからせてやる!」


 迎え撃つ獣人の国の兵士たちも狙いを定め攻撃をかわしたかと思えば、機敏な動きで足蹴りを繰り出していた。


 周りを海で囲まれたサンウィーズ大陸では、かつて至る所で絶えず戦が行われていた。

 獣人は獣人だけの国を築くため、人間は人間だけの国を築くため――。


 互いの領地を奪い合う日々が続く中、同じように奪われていたもの――それは紛れもなく尊い命だった。戦に巻き込まれ、命を落とす多くのモノたち。

 両国の王は、奪われ続ける命の多さを知り、やがて心を痛めるようになった。


――どうすればいいのか……


 力では到底獣人に及ばないと判断した人間側の現国王は、獣人側の国王へ和平会談を持ち掛けるため文を出した。両国の王は互いの国を訪れ、幾度となく会談を行った。そして、ようやく和平を結ぶこととなったのだが……獣人側はある条件を掲示した。


『我が息子の嫁として―――を差し出すように』



◇◆◇◆……


「サラ!いつまで待たせるつもり?」

「……もう少しお待ちください」


 玄関先で待つ母親に聞こえるようにサラは普段より大きめの声で答えた。


「荷物は全部馬車に乗せたんだろう?何をもたもたしているんだ……」


 母親の隣で待つ父親も、娘の支度が整っていないことに少し焦りを感じているのか、玄関をうろうろとし始めた。


「お嬢様、急がなければ奥様のお怒りが……」


 サラの侍女も気が気でないかのようにおろおろとしながら声を掛けた。

 

「よし!これで大丈夫!」


 掛け声とともに部屋中を見渡し、持ち出す物はないか確認をし終えた後、サラは急いで玄関ホールまで向かった。玄関ホールには両腕を組み、眉間に皺を寄せ待ち人を待ち構えている人物の姿があった。


「お父様、お母様、お待たせして申し訳ありませんでした」


 パタパタパタ、と玄関先まで駆けて来たのは、この邸で17年過ごしてきたコラリンズ伯爵家の令嬢、サラトーニアだ。母親譲りの銀髪を後ろで綺麗に束ね、先日迎えた誕生日に兄から贈られた黒い蝶の髪飾りを着けた姿はこれまでになく大人びて見えた。


「サラ……あぁ、なんて愛らしいんだ。そのドレスもよく似合っている。まさにお前に着てもらうために作られたようなものだな」

「はぁ……あなたは本当にサラには甘いですね」


 先ほどまで落ち着きなくうろうろとしていた父親は、娘の姿を見るなり鼻の下が伸びていた。その姿を見ていた母親は、はあぁ、とため息を吐きながら呆れるように言った。


「父親としての心境は複雑なんだぞ!あんなに小さくて可愛いかった娘が、今ではこんなにも綺麗で愛らしい……いつまでも一緒に居られると思った矢先に嫁入りなんて……」

「良いではありませんか!国王陛下の推薦がなければこの娘この嫁入りは夢のまた夢の話となりましたのよ」


 伯爵家の令嬢が他の上級位の令嬢よりも先に嫁入りすることは珍しく、国中では一時期話題となった。だがその一方で、嫁ぎ先に関する情報は一切なく、国王からも詳細については伏せられたまま、こうしてサラは嫁入りの日を迎えていた。


「確かに、私を選んでくださった方がいたのは光栄なことです……。ですが、どうして陛下は旦那様に関する情報を教えて下さらないのでしょうか……」


――まだ他のご令嬢ですらお嫁に行ってないのに……どうして私が。お父様もお母様も一切教えて下さらないお方に嫁ぐなんて……


 不安な面持ちで目の前に立つサラに対し、母親はサラの両肩に優しく手を置き、顔を覗き込んだ。


「サラ。不安な気持ちは十分わかります。でもね、淑女としての立ち振舞いを忘れてはなりませんよ。これまで貴女は伯爵家の名に恥じないように勉学に取り組んできたのでしょう。自信を持って……、私の愛しい自慢の()、さぁ、顔をあげて」

「……はい」

「とびきりの笑顔を見せてちょうだい」

 

 サラの頬に手を添えた母親は、そのまま優しい手つきで彼女の顔を撫でた。

 母親に言われた通り、サラはとびきりの笑顔を両親に見せた。


「……お父様、お母様、行って参ります!」

「えぇ。身体には気を付けてね」

「愛しいサラ……、無理はするんじゃないぞ」


 今にも泣き出しそうな父を背に、サラは馬車へと乗り込んだ。これまで共に過ごして来た両親、侍女に見送られるように馬車は邸を後にした。馬車が見えなくなった頃、父親はぼぞりと呟いた。


「……どうしてあの()なんだ」

「国のためとは言え、……あんまりですわ」

「サラ……すまない。非力な私を許してくれとは言わない……あぁ神よ……どうか、わが娘をお守りください」


 馬車が進んでいった方向を見つめながら、2人はその場を離れられずにしばらく佇んでいた。



 ガタンゴトン、ガタンゴトン

 邸を出立してしばらくの間、馬車から見える景色を眺めながらサラはこれまで両親と過ごして来たことを思い返していた。


――お父様はよく色々な場所へ連れて行って下さりましたね……自然から学べることも多いとかなんとか言って。ふふ、そういえば出掛けた後、洋服が汚れてしまったのを隠していたはずなのに、お母様にはすぐばれてたわ……。よくお父様と一緒に怒られていましたっけ


 思い返してくすくすと笑みがこぼれていたサラだったが、その楽しい思い出が過去の出来事であり、こうして一人で馬車に揺られる時間を過ごすうちに、次第に寂しさが込み上げて来ていた。


――あんまり思い出に浸ってしまうと、寂しい気持ちが増して来てしまいますね……。今は何も考えずにいましょう


 馬車の心地よい揺れにうつらうつらとしていたサラは、いつの間にか目を閉じて眠りについていた。

 

「おい、この中に――がいるのか?」

「にしても、なぜ我々が――の護衛をせねばならんのだ」

「王太子殿下の花嫁だからだろ」

「殿下が花嫁に――を望んだってのは本当だったのか……」

「よく――も今回の条件をのんだなぁ」

「――、何も知らされずに来たんじゃないのか?」

「そりゃそうだろ!かと言って、断る権限なんて――にはないけどな!」

「ははは、王の命令は絶対だからな!」


 馬車の護衛をしながらも、無駄口をたたく兵士たちを一喝するように大きな声が聞こえて来た。


「お前ら!無駄話している余裕があるのか!もっと気を引き締めろ!」

「はっ!申し訳ありませんでした!」


 何やら外から聞こえる騒がしい声で目を覚ましたサラは、状況を確認しようと少しだけカーテンを開け、恐る恐る隙間から覗いて見た。ふと目に入った馬車の隣を歩いている彼らの姿に、思わず驚きすぐさまカーテンを引いた。


――え?これは夢……?


 もう一度確認しようと、カーテンの隙間から外の状況を確認してみたが、先ほどと同じように、サラはすぐさまカーテンを引いたのだった。


――夢、ではない……。今、私がいるのは……獣人の国!?


 サラが乗っている馬車の周りを囲み、護衛していたのはハイエナ族の獣人で結成された騎士団だった。恐る恐る前方のカーテンを開け、サラは馭者の確認をした。


――やっぱり……人じゃない。いつ変わったのかしら……今はそれどころじゃないわ!私……これからどこに連れていかれるの!?


 目を閉じ、うつらうつらと眠っていた間に一体何が起こったのか考え込んでいると、馭者をしていた狼の獣人が話し掛けてきた。


「人間の娘、ようやくお目覚めか」

「……はい」


 緊張のあまり、出した声がいつもよりも声が小さかったものの、人よりも聴力に長けている獣人には聞こえていた。


「そなた、かなり緊張しているな」

「この状況で緊張しない方がおかしいですわ」

「はっははは」


 馭者の笑いにつられるようにハイエナ族の騎士団一行も笑い始めた。


「あの!」


 サラは勇気を振り絞り、馭者へと声を掛けた。


「なんだ」

「……人間の馭者は無事に帰れたのでしょうか」

「己の心配ではなく、他人の心配をするとは、世にも変わった娘だな。……案ずるな、予め決めていた交代場所で我と変わってから王家騎士団でヒトの国近くまで送り届けたと報告を受けている」

「良かった」


 胸を撫で下ろし、サラは安堵の息を漏らした。


「間もなく城に着く」

「お城……ですか?」

「そうだ」

「お邸ではないのですか?」


――てっきり王都から離れた所にお住まいの御令息かと思っていたのですが……それも違えば、まさかの種族を越えていただなんて……道理でお父様もお母様も教えて下さらなかったわけですわ。そもそもご存知だったのかしら……


「さっきからブツブツと何を言っているんだ」


 心の中で思っていることがいつの間にか口から出ていたようで、馭者に指摘されたサラは、思わず両手で自身の口元を押さえた。


「ゴホン……この国ではお城で住むお方が多いのでしょうか?」

「そんなわけないだろう。城に住まわれているのは王家のお方のみだ!」

「王家……あの、聞き間違いではありま……せん、よね」

「はあぁ……そなたは何も聞いておらぬのか」

「はい……恐れながら……何も聞いておりません」

「まぁよい。到着してから聞くと良い」


 何も聞かされないまま嫁入りが決まったかと思えば、これまで対立していた獣人の国に連れて来られている状況を目の当たりにしたサラは、揺られる馬車の中で気持ちがだんだんと落ち込んでいくのであった。


――陛下直々の推薦かぁ……きっと人質として売られたのだわ……


 サラはこの時から自身の立ち位置は花嫁ではなく、人質なのだと思うようになった。まだ見ぬ旦那様に溺愛されるとはつい知らず、ゆらゆらと揺れる馬車に身を任せていた。


 サラを乗せた馬車はやがて賑やかな街を走るようになっていた。外の状況が気になり始めたサラが、少しカーテンを開けて景色を覗いてみると、そこには獣人たが和気藹々としている姿があった。人間と同じように商いをし、小さな子どもたちが駆け回る、何ら人間と変わりない生活をしている姿に目を輝かせていた。


「人間の娘」


 馭者の声にやや驚きつつも、冷静さを忘れずに返事をした。


「なんでしょうか」

「名は何という」


 何を言われるのか不安に思っていたサラは、突然の問いかけに、ぽかん、とした表情でしばらく固まっていた。


「え?……私の名……ですか?」

「そなたしかそこには居らんだろう」

「そ、そうですね……失礼しました。私、コラリンズ伯爵家より参りました、サラトーニアと申します」


 馬車の中で座りながらの姿勢にも関わらず、サラは馭者に向かってぺこりとお辞儀をした。 


「人間の国では名がややこしい。公爵だの、伯爵だの……ここではそなたの名だけ述べればよい」

「はぁ、左様でございますか……」

「して何だったか……サニトーラ?いや違うな、サトラーニアか!」


 これまで名前を間違われたことがなかったため、思わず笑いそうになったサラだったが、相手に失礼とならないように笑いを我慢した。


――愛称をお教えしたほうが良いのかもしれませんね 


「……サラとお呼びください。家族にもそのように呼ばれておりました」

「おぉう!それなら呼びやすい!サラ、間もなく到着する」

「かしこまりました」


 やがて馬車は目的地に到着したのか、ゆっくりと静止した。馭者自ら馬車の扉を開け、サラをエスコートするかのように腕を差し出した。


「あの……」

「私は王家直属の使いと言ったはずだ。それにそなたを案内するように任されている」

「はい……」


 サラは言われるがまま、鍛え上げられた腕にそっと触れた。筋肉質ではあるものの、獣人ならではというべきか、触れた場所には騎士服の上からでもわかるくらい、柔らかい毛並みを感じていた。

 サラの歩幅に合わせるようにゆっくりとエスコートする彼に、少し照れくささを感じたサラが頬を赤らめていた――、その時、前方から鋭い視線を感じ取ったのだった。


「……すごく見られているような気がします」

「ははは……見られている、というよりかは睨まれているのだと思います」


 先ほどまで凛々しい姿だった彼の表情はどことなく強張り、焦りを感じている様子だった。サラがふと尻尾を見ると、ゆらゆらと揺れていたはずの尾は垂れ下がり、地面すれすれのところで小刻みに震えているようにも見えた。


「あの……」


 サラも前方から感じる視線に少し怯えたのか、彼の腕に添えていた手にぎゅっ、と力を込めた。


「サラ……このままでは私の首が飛んでしまう」

「えっ?どういうことですの?」

「すまない、私はここまでだ。この先をまっすぐ行くのだ!いいな!」


 そう言い残し、彼は足早に来た道を戻って行った。


――ここに置き去りなんて……あんまりですわ


 小さくため息を漏らし、サラは表情を引き締めた。


――もう後戻りなんてできませんわ!人質として立派に囚われてみせますわ!


 先ほどまで隣にいた彼に言われた通り、サラは目の前の広い石畳で造られた城へと続く一本道を歩き始めた。しばらく歩いて行くと、目の前には王都では見た事がないほどの大きな城が現れた。


――なんて大きなお城なの!こんなの……見た事ないわ!


 城の入り口近くまで辿り着いた時、ふとサラの目に入ったのは入り口近くに造られていた花壇に咲く花々だった。


――どの花も私の好きな花ばかり!それに、王都にある花よりも花自体が大きいわ!


 周囲に誰もいないことをいいことに、サラは花壇の前にしゃがみ込み、花の香を愉しんでいた。


「気に入ったようで良かった」


 ふと背後から聞こえてきた声にどきりとしたサラは、慌てて立ち上がり振り向こうとした。だが、足が縺れ、思わず後ろに転びそうになった――。


「あっ……!」

「おっと……」


 ほぼ同時に声が重なり、気付けばサラは誰かに抱き留められていた。頬に感じるふわりとした毛並み、鼻から香るオードパルファム、全身には温かな体温を感じていた。

 サラが状況をのみ込むまで数秒かかり、抱き留められているとわかったときには恥ずかしさのあまり、顔が真っ赤になっていた。


「あ、あの……もう大丈夫ですので、お、お離しください」

「もう少しこのままが良いと言ったらどうする?」

「な、な、何を仰っているのですか!どうかお離しください」


 サラはぐいぐい、と力を込めて引き離そうとするも、微動だにしない身体に焦りを感じていた。


「くはははは、相変わらず()いなぁ」

「え?」

「このままでは埒が明かぬな」


 そう言い、先ほどまで抱き留めていたサラを身体から離した。落ち着きを取り戻したサラは、目の前の彼の姿を見ようと顔を上げた。純白と漆黒のしま模様の毛並みがサラりと風になびき、陽の光に照らされた毛並みはキラキラと輝いて見えた。


「先ほどは助けて下さり、ありがとうございました」


 サラは片足を後ろに引き膝を曲げてお礼を述べた。 


「何のこれしき」

「あの……」


 少し遠慮しがちに目の前に現れた彼を見つめるようにサラは姿勢を正した。


「せっかく花を愉しんでいたのに悪いことをした……」

「いえ……とんでもございません。私の方こそ案内して下さった方の言いつけを守らず、こうして道草をしてしまいました……」

「彼女に腕を組まれていただなんて……あやつが羨ましい」


 優しい表情から一変、悔しそうな表情へと変わる彼の姿に、サラは戸惑いながらも尋ねてみた。


「あの……どうかなさいましたか?」

「あ、いや、なんでもない」

「……そうですか」

「さ、いつまでもここに居ないで中へ入ろう」


 そう言い彼は、ニコリと微笑みサラに腕を差し出しエスコートする体勢をとった。

腕にそっと手を回すと、騎士服の上からでもわかるくらい、ふわりとした毛並みがサラの手に触れた。


――さきほどの方と違って、すごくふわふわですわ


 サラの歩幅に合わせるようにゆっくり歩みを進め、城内へと足を踏み入れると、この国の騎士たちが片膝をついている光景が目に入って来た。騎士たちの後ろには、多くの獣人が歓声を上げながらサラたちを出迎えていた。


「ようこそお越しくださいました!」

「私よりも顔が小さい!」

「あれが人間か……間近で初めて見たな」

「ガハハハハハ、小さい上に、思いのほか細いな!」

「髪色が素敵よ。どんなお手入れをされているのかしら」


 周囲の反応に圧倒され、ドギマギしていたサラを安心させるかのように優しい声が隣から聞こえてきた。


「皆、そなたのことを待っていたんだ」

「そう、なのですか……」

「一番待ち望んでいたのは、他でもない私だけどな!」


 顔をくしゃりと崩して笑う様子に、サラは思わずドキッ、としていた。


――どうしてときめいてるの?違うでしょ。私は歓迎なんてされてないはずよ……この国の人質……のはずよ


 サラが不安に感じているのとは余所に、彼は歩みを止めることなく階段を上がり、踊り場付近でようやく足を止めた。

 サラが手を離そうとするも、彼は腕に力を込め手が抜けないようにした。ちらりとサラに視線を向けた彼は、このまましばらく付き合ってほしいと言わんばかりの訴えをしていた。サラは小さく息を吐き、そのままの姿勢で彼の隣に立った。


「皆の者!よくぞ集まってくれた!今日という日をようやく迎えられて、私はすごく幸せだ。そして、こうして皆に紹介できる日を心待ちにしていた!紹介しよう!私の妻となるサラトーニアだ!」

「「おぉぉぉぉぉぉ!」」


 地響きとともにサラに耳に入って来たのは、ものすごく大きな歓声だった。


「あの……」

「どうかしたか?」


 獣人たちの歓声に負けじと、サラは隣にいる彼に声を掛けた。


「貴方様が、私の旦那様となられるお方なのですか?」


――人質では……ないのでしょうか


「あぁ、そうだとも……ずっとこの日を待ち望んでいた」


 サラの束ねられた髪に触れながら彼は優しく微笑みながら言った。


「……はじめまして、旦那様」


 どこか不安を拭いきれないような弱々しくも、サラの柔らかい口調と微笑んだ顔を見た途端、彼の長い尻尾は左右に揺れ動いていた。


「ゴ、ゴホン……。そう言えばまだ名乗っていなかったな。私としたことが……初めまして、麗しいサラトーニア。私の名はタイラーガ。この国の第一王子であり、白虎騎士団の団長も務めている。これから末永くよろしく頼む」

「私……人質ではないのですね」

 

 これまでサラが不安に思っていたことが、つい言葉となって出てしまった。


「人質!?一体誰がそんなことをそなたに言ったのだ!」

「いえ……違うんです。私が勝手にそう思っていただけで……」

「サラトーニア、そなたは私が惚れた唯一の女性なんだ。信じられないのであれば、これから信じられるように努力する」

「殿下……」

「殿下……か。まぁ今はよいか。それより、皆の顔を見てみよ。皆そなたを歓迎しているのだ。……本当はお披露目なんてしたくなかったんだがな……」


 最後の方は声が小さく、聞こえにくかったものの、サラは気にすることなく城内に集まったたくさんの獣人たちの表情をにこやかに見ていた。


 一方、城内の柱の片隅に、にこやかな表情で手を振る2人の姿を食い入るように見つめる一人の獣人の姿があった――。


 獣人の国へと嫁いだサラは、一刻も早く今の生活に慣れようと、彼女の専属侍女となった白兎のカーラに積極的に話し掛けていた。


「ねぇカーラ、今日こそは教えてくれるわよね」

「洗濯物が溜まってきておりますので……」

「いつなら時間を作れるの?」

「侍女にはするべき仕事がたくさんありますので……では失礼致します」


 毎度毎度、侍女との関係性を築こうと話し掛けるも、何かと理由をつけられては、すぐさまサラの部屋を出て行ってしまう始末……。


――対立していた国、ましてや種族が違うから避けられているのかしら……


 サラは侍女が出て行った扉をしばらく無言で見つめていた。


「あなた、今日もサラトーニア様に話しかけられていたわね」

「えぇ……。最近では断る理由がなくって困ってしまうわ」


 ここ数日、カーラはサラに詰め寄られることが多く、何かと言い訳を作っては長居せずに退室していた。


――本当は侍女がとるべき行動ではないとわかっているんですけどね…… 


「殿下はどうしてサラトーニア様を選ばれたのかしら……私はてっきりコデリア様と結婚されるかと思ってたわ」

「私も!……サラトーニア様も素敵なお方だとは思うのだけど……いくら和平を結んだからと言ってすぐに敵国のお嬢様と仲良く……なんてできないわ」

「そうね……」

 

 侍女たちがこぞって話題にしているコデリア――。彼女は王太子妃候補としてサラが嫁いでくる前々から噂されていた。

 そんな彼女の姿は、タイラーガが婚約者としてサラを迎え入れて以降、見なくなったと侍女たちは連日のように話をしていたのだ。


 たまたま通りがかった廊下で、侍女たちが王太子妃に相応しいにはコデリアであるという会話を思わず耳にしてしまったサラ……、どうしてよいかわからず、その場からしばらく動けないでいた。


――殿下に相応しいお方がいたのね……確かに、人間の私では不釣り合い……なんでしょうね。コデリア様か……一体どんな素敵なお方なんでしょうか


 気落ちしたサラは、書庫に向かおうとしていたが、そのまま踵を返し自室へ戻ることにした。



◇◆◇◆……

 

「殿下、本日はこの案件が最後です」


 有能な黒兎執事が次から次へと書類をタイラーガへと渡し、ようやく最後の書類となったのは夜更け頃のこと――。

 

「そうか……それにしてもなかなか片付かないものだなぁ」


 最後に渡された書類に目を通しながら、タイラーガはぼそりと呟いた。

 

「それはそうでしょう。この国の王になられるのであれば、国内外のことを把握し、きちんと対処していただかないとなりませんからね。いくら和平を結んでいてもいつ争いが起こるかわかりませんので!」

「だが……最愛の妻との時間を取れないのは解せないぞ」


 真剣な面持ちでタイラーガは目の前の執事に訴えかけた。


「ゴ、ゴホン。それも大事かもしれませんが、殿下にしかできない事もあります故、今はこちらを優先していただきますよう、何卒お願いいたします。それに、婚儀に関してはまだ先ではありませんか……」

「ほほぅ。つまり、婚儀が済んでいない間は愛しい人に会ってはならないのか?」

「そこまでは言っておりません!」

「……そちが言いたいことはわかる。だが、愛しのサラトーニアとゆっくりする時間がないのはなかなかに辛い……。彼女の寝顔だけしか見れてないのだぞ」


 タイラーガは姿勢を崩すように机に突っ伏し、山積みにされていた書類を見つめながら呟いた。


「寝顔……、今、寝顔と仰いましたか?」

 

 そう尋ねる執事の表情はいつになく固まっているように見えた。


「あぁ言った。毎夜仕事が終われば彼女の部屋を訪れているのだが、タイミングが合わないすれ違い生活を送っている……彼女のすやすや眠る姿はそれはそれで愛しいのだが……寝顔だけで満足できると思うのか?」


――これ以上何も言わないでおこう、そして殿下の行動に関してもサラトーニア様には言わないでおこう……


 有能な執事はそう心の中で思いながら深呼吸をし、平静を取り戻そうとした。


「それは良いとして、サラトーニアの様子はどうだ」

「その事につきましては何も問題ございません」

「……そうか」

「はい……そう言えば、聞いたところによりますと、明日サラトーニア様にご面会される予定があると伺いました」


 タイラーガの耳はピクリと反応し、表情も少し険しくなった。


「面会……一体誰が面会に来ると言うのだ?」

「コデリア様です」

「コデリア……か」

「どうかされましたか?」

「いや……何もない。ふーむ……何もないといいのだが……」



◇◆◇◆……

 

 翌日の昼下がりのこと――。

 コンコンコン。

 扉がノックされた音に、サラは嬉しそうに駆け寄った。


「どうぞお入りになって」

「失礼いたします」


 室内に入って来たのは、獣人の中でも美形と絶賛されるライオン族のコデリアだ。薄いベージュの毛並みはサラリとしており、光沢さえ纏っているように見えた。彼女の肌に似合うクリーム色のドレスは更に華やかさを上乗せしているようだった。


「コデリア様、ようこそお越し下さいました」

「サラトーニア様、ごきげんよう。もう少し早くにお目にかかりたかったのですが、少々時間がかかってしまいました」

「こうしてお会いできただけでも私は嬉しいです。立ち話もなんですし、どうぞおかけ下さい」

 

 コデリアがサラとの面会を申し出たのは、タイラーガが公にサラを妻として紹介して間もなくの事だった。


 サラの隣を通り過ぎた際、ふわりと華やかな香りが彼女の鼻を掠めた。

 ソファへ腰かけたコデリアは、やや上から見下ろすような姿勢でサラに話し掛けた。


「サラトーニア様、この度はわが獣人国へお越しいただきありがとうございます」

「こちらこそ、私のような種族が違う者をお迎えいただき光栄です」

「本日、サラトーニア様と一緒にお茶を愉しみたいと思い、私持って参りましたの」

「まぁ!カーラ!お茶の準備をしてくれるかしら」


 両手を膝の上で組み、喜ぶ姿をまじまじと見ていたコデリア。

 いつもと様子が違うことにカーラは気づいていたが、知らぬふりをしてサラの指示に従うことにした。


「承知しました」


 カーラは頭を下げ一旦部屋を後にした。

 

――コデリア様は一体何をなさるおつもりかしら。それに……あの香り……


 少し気になりつつも、カーラはキッチンへと急いだ。


 カーラは準備を済ませた後サラの部屋へと戻り、テーブルの上に熱いお湯が入ったティーポットを置き、その近くにカップを並べた。コデリアは持参した茶葉をティーポットへと入れ、茶葉の旨味や香りが引き立つまで待つように伝えた。


「すごくいい香りがしてきましたね」

「えぇ。サラトーニア様に気に入っていただけると嬉しいですわ」


 コデリアはティーポット内に滲み出たティーの様子を確認し、いい頃合いだと判断したのか、それぞれのカップに注ぎ始めた。


「さまざまな葉をブレンドしたと聞いております」

「もしかして……この日のために取り寄せて下さったのですか?」

「えぇ、せっかくお会いできるのでしたら一緒に嗜みたいと思いまして……」

「まぁ!ふふ、ではいただきます」


 コデリアは、カップに注がれたティーをサラが口に含む様子をじっと見つめていた。


――これで私は殿下と結ばれるわ……


 そう思った矢先のこと――。


 バーンッ

 勢いよく扉が開いた。

 

「サラトーニアっ!!!」


 息を荒げながら入って来たのはタイラーガだった。


「で、殿下っ?!」

「それを飲むんじゃない!」

「はい?美味しいハーブティーですけど……」

「それ以上飲んではいけない!!」

 

 タイラーガはサラが手にしていたカップを取り上げ、床へと投げ捨てながら叫んだ。そしてそのまま彼女を抱き寄せ、唸り声を上げながらコデリアを睨みつけた。


「コデリア!!なぜこんなことをした!!」

「なぜ、ですって……」

「殿下……私は何ともありません、よ?」

「本当か?具合が悪いとか、気分が優れないとか、変わったことはないか?」

「見ての通りピンピンしておりますのでご安心ください」


 2人の様子を静かに見つめていたコデリア――。


――殿下……あんなお優しいお顔、私には見せて下さったことないのに……どうしてあの娘には見せるのですか


 一気に冷え切った雰囲気を纏い、コデリアは目を細めサラトーニアを睨みつけた。状況が掴めないサラは、タイラーガの腕の中でじっとするしかできなかった。


「人間の小娘が殿下の隣に妃として立つなんて……、私は断じて許せません!……殿下っ!なぜ私ではなのですか?あんなに親しくして下さったではありませんか!」

「コデリア……」

「殿下は私の想いにお気づきだったのでしょう……。なのに、なのにどうしてっ!」


 悲痛な声でコデリアは叫んだ。

 そんな彼女を見ていたタイラーガは、昂る感情を抑え、落ち着いた声で話し始めた。

 

「コデリア、私は確かに君の想いに気付いていた。だが……応えることはできない」

「どうしてですの……。殿下とサラトーニア様の接点なんて、何もないではありませんか!」

「……接点ならある」

「え?」

「え?!」


 思わず声を出してしまったサラは慌てて口を噤んだ。


「いい機会だ。……話しておこうか、私がサラトーニアに惚れ込んでいる理由(わけ)を」



 タイラーガ王太子誕生後間もなくのこと――。


 人の国と長きに渡り文でやり取りをした結果、互いの国を訪問することで合意した両国。獣人国の王は、息子であるタイラーガと侍従を連れて人の国へと出向くことにした。

 人の国へと足を踏み入れたタイラーガ一行は、目に映る光景が獣人側とさほど差がないことに気付かされた。唯一違うとするなれば、()()()だけであった。


「タイラーガよ、よく見ておくんだぞ。我々と見た目こそ違えど生きてる世界は同じ、命は平等にあるんだ……これまでは互いの領地を増やすために戦い続けた。だが、その戦いで得られたものは何だ。我々の先祖は名誉を求めていたんだが……私はもうそんなものを求めていないんだ。これからは分かり合える関係を築くのがいいんだ」


 父である王の言葉はタイラーガの心に突き刺さり、彼自身も人と分かり合える関係を築きたい、このときから強く思うようになった。


 人の国を指揮する王と、獣人の国を指揮する王が対面するにあたり、まだ幼いタイラーガは同席することができず、待ち時間を利用して城内を散策することにした。

 廊下を歩いていると、近くから楽しそうな声が聞こえてきた。人よりも聴力が優れているタイラーガは、声が聞こえてくる方を特定し、足早に向かった。

 

 声がする方へと向かうと、彼らと同年代くらいの少年少女が楽しそうに駆け回っていた。その様子に目を輝かせながら見つめるタイラーガは、早速彼らに近づき声を掛けた。


「ねぇ!僕も入れて!」


 少年少女は笑顔で話しかけて来るタイラーガを見るなり、さきほどまで笑顔だった表情から一変し、険しい表情となった。


「あれって……父上が言ってた、じゅうじん、じゃないか」

「なんでここにいるの」

「しゃべるけものだ!」

「あっち行けぇ」

「けもの退治ごっこなら混ぜてあげてもいいよ!」

「それいいね!」


 幼子おさなごの言動はときに残酷なまでにストレートなものであり、タイラーガにとっては耐え難いことだった。その場から離れようとすると、少年少女たちがあろうことか彼に向かって落ちていた石を投げ始めた。


「やーい、走って逃げろやーい!」

「みんなでじゅうじんを退治するぞぉ!」

「それっ!」


 コツン、コツン

 タイラーガは時折身体に当たる物理的な痛みよりも、分かり合いたいと思っていた心を打ち砕かれる精神的な痛みを強く感じていた。


「やめなさいっ!」


 その掛け声とともに現れたのは、両手を大きく広げて立つ一人の少女だった。


「げっ」

「サラ……」

「あなたたち、こんなことして恥ずかしくないの?しんししゅくじょとしての立ち振る舞いができないなんて、とてもじゃないけど爵位ある家の人とは思えないわね」

「くっ……えらそうに……」


 言い返せないまま立ちすくむ彼らを見て反発できないと感じた少女は、タイラーガの方を振り返った。後ろでしっかりとまとめられた銀髪が風になびくと同時に、陽の光に照らされキラキラと輝いているように見えた。


「お怪我はありませんか」


 にこやかに微笑みかける彼女の表情と、令嬢とは思えない勇敢な姿に一瞬で恋に落ちたタイラーガは、頬が赤くなりながらも答えた。


――僕の……運命の番花嫁は彼女だ!


「……大、丈夫」

「せっかく来てくれたんだから、私がお城のガーデンを案内するね」

「……うん」


◇◆◇◆……


 サラとの出会いを語るタイラーガの表情はどこか誇らしげだった。


「そんなことがきっかで惚れ込むなんて……私には信じられません!」

「信じられないか……そうだろうな。私がどれだけ彼女に惚れ込んでいようが、君には伝わらない。私自身が伝えようとも思わない!君には失望した。我々獣人には毒ともなり得るハーブを彼女に飲ませるなんて!」


 タイラーガは片時もサラから離れようとせず、彼女の肩をずっと抱きかかえていた。


「殿下、私はこの通り大丈夫ですよ。それに、私、ハーブティー好きですもん」


 サラは心配させまいと笑顔を見せるが、タイラーガはそれでも彼女を離さなかった。

 

「コデリア、私は父上と同じように、人と我々獣人が分かり合える国を作りたいと思っている。私一人では成し得ないことだが、彼女がいればできると信じている!……彼女じゃないと意味がないんだ!」


 目に涙を浮かべながらコデリアは部屋を飛び出した。


――いつか分かり合えるといいんだがな……


 その背中を無言で見つめていたタイラーガだったが、しばらくして腕の中に抱きとどめていたサラを愛おしそうに見つめた。


「……無事で良かった」

「あんなに勢いよく来られて……びっくりしましたよ」

「カーラが教えてくれたんだ」

「え?カーラ……ですか」

 

 キッチンへお茶の準備をしに向かった後、カーラは執務室を訪れ、コデリアの様子がこれまでと違うこと、彼女からハーブの香りがしたことを執事へ伝えたのだった。執事から報告を受けたタイラーガは、謁見を終えてすぐにサラの部屋へ駆けて来た――という出来事があったとタイラーガは話した。


「カーラ!」


 話を聞き終えたサラは、部屋の隅に佇むカーラの元へと駆け寄り、彼女に抱きついた。


「サラトーニア様!?」

「カーラ……、私……、あなたともっとお話がしたいの……。この国のこと、あなたたちのことを……もっと知りたいの……」

「私でよければお聞きください、……サラトーニア様」

「これからはサラと呼んで」

「……いいのですか」

 

 少し遠慮がちなカーラに対し、サラはにこやかに微笑みながら答えた。


「もちろんよ」

「……サラ様」

「ふふふ、ありがとう、カーラ」


 微笑ましく2人の姿を見ていたタイラーガだったが、何やらもやもやとした感情が込み上げて来た。


「ゴ、ゴホン。いつまで抱き合っているんだ」

 

――この感情、以前にもどこかで感じたな……


「殿下……、もしかして嫉妬されているのですか」


 サラに指摘され、ようやくこのやきもきした感情の答えが出たタイラーガの表情はどこかすっきりした印象を受けたのだった。

 

「この感情……、嫉妬かぁ。そうか……私は嫉妬しているのか、ははははは」

「だからと言って、カーラは私と同じ女性です。同性にまで嫉妬……しないで欲しいです」


 ぽりぽりと照れながら頬を掻く姿はおどけなく、サラの胸はときめいていた。

 

◇◆◇◆……


 タイラーガとサラが結ばれ、数か月の時が流れたある日のこと――。

 城の敷地内に新たに造られた庭園を散策していた2人は、両国が変わりあることについて話をしていた。


「ついに始まるな」

「はい」

「心配か?」

「少しだけ……ですが、この日のために準備をして来たんです」

「そうだな」


 新しい取り組みとしてまず2人で考えたこと――、それは、互いの国を観光として訪れてもらうことだった。言葉で伝えるよりも、実際に見てもらう方が良いと判断した結果だった。 


「サラ、私の愛しい人。まだまだすべきことは多いが、これからも共に人生を歩んで欲しい」

「もちろんです」


 穏やかな風が吹く中、2人はしばらく見つめ合った。互いに見つめ合う距離は近くなりサラが目を閉じると、タイラーガは優しく彼女の唇へと口づけた。


 これは獣人と人間が種族の垣根を越えた愛の物語――。

 2人の人生に多くの幸せが訪れますように――。

虎娘『獣人様の深愛 ~伯爵令嬢は獣人王太子に溺愛される~』

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