代理母出産〜〜現代社会ではまだまだ難しいことも中世ヨーロッパ風の異世界ならセーフだよね?〜〜
私の家は父と祖父が産科医、母が婦人科医、そして祖母が助産師と言う家系に生まれた。祖父母はどちらも産科医と助産師で父と母も昔の狭い学会で知り合った祖父たちが意気投合し決めた婚約者どうしだったようで、小さい頃はあまり仲は良くなかったそうだ。まぁお互いの親の協力もあって結果的に娘の私が見ても引くほどラブラブになったそうだけど。
まぁ、そんな家系で育った私は、反発しながらも結局産科医への道を自ら選んで進んだ。私が産科医を目指した時期は代理母出産の是非について問われており、興味を惹かれた私は不妊治療の研究や人工授精、はては試験管ベビー完全な人工出産の研究と道へと進んだ。かなり倫理的にグレーゾーンだが兄妹がいたこともありあまり反対されることもなく今でも続けることが出来ている。
もちろん、これといった結果はできていないが、不妊治療の第一人者として、それなりに毎日それなりの数の患者を見ていた。
日本では厳しくて完全人工出産の研究ができず、そのあたりがゆるい大国のお偉いさんと取引して完成したら官僚なんかの上級国民にその技術を提供する事で安全で高度な研究設備を手に入れた。
ある程度形になり、代理母出産なら母体にも胎児にも重篤な障害がなく普通の出産程度の危険性、まで抑えることに成功したがそこから先が難しく、人工精子、卵子を用いた精子や卵子などに異常のある夫婦でも子を産める方法や母体の衰弱があっても胎児に直接栄養を補給できる技術などの副産物は沢山できたが肝心なところで形にならない。
国のお偉方は今更、神の意思とかふざけた事を言い始めて援助の打ち切りを申し出てきやがった。
まぁ、ちょうどよく実家の病院で不妊治療に力を入れており度々帰ってこないか?と聞かれてはいたため、渡りに船と言えないこともない。
そんなこと思っていたある日、資料を片付け、残せる資料は残し、危ない資料はすべて消去した。今まで溜め込んだデータはすべて知り合いの技術屋に作ってもらった大容量の小型端末に保存してバレないように持ち運んでいるため安心して消せる。
あらかた終わりあとは亡命すれば全部かたがつくとこまで来た時、あたりがまばゆい光に覆われた。
(くそったれども情報握ってやがったな?逃げられるくらいなら消してしまえったか?ひどい話だよ、まったく)
突然のことに驚きはしたが、恨みや怒りなどはなく、ただ最後に思ったことは、
(いつか、子供ができないことで哀しむ夫婦がこの世界から消えてくれる事を切に願うよ……)
私が研究をしてきた最終目標だった。
「……さん!………!……かさん!……ださい!……ずかさん!藍原鈴華さん!起きてください!」
真っ白な世界の中で誰かが私を呼んでいた。
私はいいように使われた国に始末されたはずだが、なんとか生き残ったか?まぁ生きていたところで医者として働くのは厳しいだろうけどな。
まったく、体の感覚がまったくないのに生きてるとか不思議体験もあったもんだ、いや?単純に植物状態か?その割には目も首も動くな、一体……
「あ!やっと目覚めましたね!藍原鈴華様で間違いないですね?」
うん?なんだこのちんちくりんは?
「な!?誰がちんちくりんですか!?私にはカミムスビノカミと言う名前があるのですが?!」
……ふむ?考えていることが分かった?いや、声に出したのか?いや、あの国のことだ、思考を読み取る何かしらを開発していてもおかしくない、
「たしかにあの国ならそういった用途の技術を開発してますけど、私は違ういます!!私は男女のムスビと繁栄を司る原初の神の1柱です!!」
…神、か、ありえない現状からその可能性は確かに高い。………が、男女のムスビと繁栄か、ひょっとすると私はあの国ではなくこの目の前のちんちくりんに殺されたのかもしれんな。
「そのとおりですよ!貴女の研究していた技術は地球には過ぎた技術です!正直あのまま研究されていると私の力でも止めることが難しくなると判断したため貴女にはその技術を生かせる別の世界に転移してもらいたくてここに来てもらいました」
「はぁ!!!???それはいわゆる異世界転生ってやつですか!?」
「あ、初めて声出されましたね?っふふ、ええ、そうですよ、貴女には地球の下位世界で、理が魔法よりの世界へと行ってもらおうと考えています。そこで、世界全体の出生数を上げてほしいのです」
ついつい声に出してしまったが、まぁ考えてる事もバレている訳だしどうでもいいが、とにかく異世界か、魔法があるということだしどうも依頼されているようだから何かしらの報酬はあるだろうと予想すると、まぁ、悪くはないのk
「ええ!!そのとおりですよ!貴女に転移していただきたい世界へと言ってくださるというのであれば、チート能力?を授けることになっています!」
……思考を読み取るのはわかっていたけど突然はやっぱり少し驚くな。……しかし、チートか、それは何でもいいのかな?
「ええ、大丈夫ですよ!不老不死でも無敵でも今からリストを渡すのでそこから選んでください。ただし!生前の行いからポイントが割り振られておりますのでそのポイントを使って習得するので何でも取れるわけではないです。そこだけはご注意ください」
「めんどくさいから口で言うけどこのリストの一番上に書いてあるのが私のポイントなのね?」
「ええ、そのとおりですよ。貴女は神的には問題児でしたが善行という点では昔の英雄並みの事をしていますので相当ポイントがあるはずです」
そう言われる通りそこにはリストの目に映る範囲のスキル全てを取っても余りあるほどのポイントが書いてあった。
リストすべて漁ってみたが、一番最後の固有技能、というのだけが何も説明もなくポイントも?でよく分からないな、
「聞いていたと思うが神よこれの説明は聞くことができるのか?」
「ええ、いいですよ、そちら固有技能は言ってもらう世界で必ず人が持っているものです。その人によってい性能が変わってくるので取ってみないとポイントをどれだけ使うのかもわかりません」
「……ふむ、とりあえず取ってみてから、ですかそれに人が必ず持っているのなら持っていないものは人ではないと言うことになりそうですね。さてと、ふむふむ、膨大にあったポイントが半分減っていますね〜まぁそれでも欲しかったスキルは取れそうなので助かりましたが、これもし、私が英雄級のポイントが無ければ転移直後に人里に行けず詰んでいたのでは?」
「ふむ?………あぁ、安心してください、どうやら貴女の固有技能は固定値ではなく割合で決まるようですね。それによって使い勝手が決まるようですね。そのため最大値を遥かに超えて習得しているため相当強力になりましたね」
「なるほど、それなら納得なのかな?一応これで準備はできたことになるのかな?それでは私は行った先で不妊治療で産めよ増やせよって感じなのかな?」
「ええ、まぁ若干、ニュアンスは違う気もしますが概ねそのとおりです。転生できない魂が溢れているのでそのための器を用意してください、というのが所持機なところですね、それではよろしくお願いします」
神がそう言うと私の体は少しづつその形を失っていきまるで泡のように消えていった。
目が覚めるとそこは鬱蒼とした森の中、と言うことはなく、石造りの神殿のような場所であった。頭の中にインストールされた情報によると、ここはこの世界でかつて信仰されていた医学の神アクレスピアスの神殿らしい。なんとなく蛇っぽいけど違うらしい。どうも、ここが私の固有技能を使うには適した土地のようだ、早速、と言いたいところだが色々と現状把握が必要だと思うし、知識によるとたしか、
「ステータス」
名前︙スズカ・アイハラ
年齢︙15
階級︙1
階位︙F
職業︙医術師
能力︙自然魔法Lv1.武芸百般Lv1.身体操作Lv1
神眼Lv-.世界辞典Lv-.
固有技能︙絶対不可侵の研究室
あの意味のわからなかった固有技能とやらはどうやらこの世界で今までしてきた研究を引き継ぐためのものだったようだ。人里から少し離れていて、なおかつ私の年齢も若返っている。この現状だ5年ぐらい研究に没頭しても神からの依頼は達成できるだろう。あの世界での研究データを持ってこれているのはでかい。まずは動物からだな。
お、あそこにいきのいいのが丁度いるじゃないか………
この世界に降り立ってそろそろ10年たつ。当初の予定より5年ほど時間がかかったが、まさかファンタジー要素が噛み合ってモンスター同士の配合、そこから人間の要素を混ぜて進化、なんて研究しがいのある課題が出てくるとは思わなかったし、その過程で実はあった近所の村と取引をしたらたった3年で村の人工が倍になったりと色々ありすぎた。
おかげでステータスが頭おかしくなっている。
名前︙スズカ・アイハラ
年齢︙25
階級︙999+++
階位︙----
職業︙医神
能力\====-====-====-=====/
称号︙魔王.魔神スジィーカ.医神アクレスピアス.魔の森に君臨するものetc
いつの間にやら私は魔王と神を兼任していたようだ。最近では村のことが広まったのか子供ができなかった夫婦にそれなりの地位にいた医術師、たくさんの人物が私のもとを訪れた。まだまだ私の夢は叶っていないが確実に望まれて生まれる子供は増えていると思う。これからも私は人も魔物も新しく生まれたらしい魔族もどんどん繁栄していくよう尽力していきたいと思う。まだまだ私の技術は完成していないのだから。