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21話


「これで俺たちは友だな」


 アルトに肩を持たれながらスプリドは観覧席へ戻ってきた。だが彼の顔は明らかに不機嫌そうである。


「友なんかじゃない。そもそも僕はお前と戦ったからって友になるなんて一言も言ってない」

「お前とはなんて水臭い。アルと、気軽に呼べ」

「いやだ」

「そう言うな」


 アルトの笑い声が響く。

 スプリドの言葉はある意味正論であったが、アルトには届いていなかった。

 その様子を笑いながら見たアリスはふと横を見る。そこは先ほどまで取材という名の変態行為をしていたマリがいたのだが、既にいなくなっいた。そしてスプリドの横に移動していた。


「少し体貸してください。良いですよね、良いんですか? ありがとうございます」


 スプリドは一言も返事をしていない。

 だが取材は始まった。


「アハハ、めっちゃ大変だな~」


 アリスはそれを見てさらに笑った。


「お二人さん、良い試合だったね。先生は満足だよ~」


 カレンは二人の仲が良くなった?のを喜びながらそう言った。

 スプリドはやはり不機嫌そうで、アルトと追加で増えたマリの対応をしていた。


「じゃあ、次行ってみようかな。

 次はハルvsミリア。2人とも準備して」

「うん…………ヒヒッ……」

「分かりました」


 ハルはさっさと始めたいようで速攻舞台へ下りていった。それをおいミリアも下りていく。

 アリスはスプリドへ絡まるアルトの元へ行き、尋ねた。


「ねえアルト」

「ん、なんだアリス?」

「ミリアはアルトの幼馴染なんですよね」

「そうだ! 自慢の幼馴染だ」

「じゃあ彼女がどんな戦いをするか知っていますか?」

「おう! 知っているとも。ミリアは聖魔術が使えてな、本当にすごいのだ!」

「聖魔術!」


 フレイムやトルネード、サンダーなど、一般的に魔術はその方法を覚えれば誰でもできる。だが聖魔術はそれらの魔術とは違い、方法を知ってれば誰でも使えるというわけではない。才能がなければ使うことができない特殊な魔術、それが聖魔術だ。

 聖魔術は主に治癒や防御、浄化などの効果を持ち、そして似た効果の魔術より格段に高いい効果を発揮する。


(ハルの近接はホント強いけど……聖魔術か)


 ハルの拳がいかに強くても一撃で倒せなければ、聖魔術で回復される。なら一撃でとなるが、それは聖魔術による防御で難しいだろう。

 ハルの拳がミリアを場外に飛ばすか。

 ミリアが耐え、ハルを戦闘不能もしくは場外にするか。

 この戦いはそれが鍵となる。


(できればハルにリベンジしたいけど……これはどうなるのやら。

 ホント面白い)


 アリスとしてはハルが勝てばリベンジ、ミリアに勝てば珍しい聖魔術使いとの戦いができる。どっちにしろ面白い、そういう思いであった。


 舞台ではハルが不気味に笑いながら素振りをしている。ミリアは静かな様子だったハルの変貌に少し困惑した様子だった。


「あなたそんな感じだったけ……?」


 ハルは答えずに素振りをしてる。もはやこれから始まる試合に夢中で声が届いていなかった。


「じゃあ次もいい試合を! 試合開始」


 本日三度目となるカレンの声が闘技場に響いた。

 瞬間、ハルはミリアへ急接近する。ミリアが聖魔術を使えることを知らないハルであったが、この選択は最適解であった。

 聖魔術による堅牢な防御。アホみたいな回復力。それらを突破するには魔術を発動する前に勝つ。

 ミリアにはハルの姿が消えたように見え、「へ?」という顔をする。


 すでにハルはそこにいる。


「ヒヒヒッ!」


 笑い声が漏れる。

 拳が腹を捉える。


「破!」


 拳が放たれた。


 ガキンッ


 何かの衝突したような音が鳴った。

 ハルは不自然な手ごたえを感じ、放った拳を見る。

 拳はミリアの体の少し前で光る壁のようなものに阻まれ、止まっていた。


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