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18話


「まずはこちらをどうぞ!」


 開始と共にアリスはマリの足元へ向けてフレイムを放った。マリは後ろに下がる形でそれを避けた。アリスはマリへ接近しようと駆けようとした。


(場外でも勝ちなら、近距離ブッパで吹っ飛ばして……)

「地よりこの世を掴め」


 だがマリがそう呪文を呟くとアリスの足が急に止まった。


「なっ!」


 半透明な腕のようなモノが地から生え、アリスの足を掴んでいた。


「空よりこの世を押せ!」


 そして続けて呪文が唱えられた。

今度はアリスの目の前から足を掴んでるモノとサイズ以外は同じような腕が現れ、アリスに迫っていった。このまま何もしなければ腕に場外へ押し出されるだろう


(掴んでるってことは実態がある。少し火力高めで)


 アリスは炎で掴んでる腕を焼いて、腕を回避した。火力を高めにしたのは、もし予想より腕に強度があって焼ききれなかったときに備えてだ。


「外よりこの世を引け」


 今度はアリスの周りに先ほどに比べ細い腕が現れた。それはアリスがすぐさま放った炎により消された。

 腕が現れアリスを足止めしようとするが、すぐに燃やされる。それの繰り返しとなった。だがどこからでも腕を出し、攻撃ができるマリとその腕を一瞬で消すことができ、なおかつまだまだ余力があるアリス。どう考えてもアリス有利であり、ほぼ勝ち確であった。

 マリは突然呪文を唱えるのを止めた。


「もしかしてと思いましたけど、無詠唱ですか」

「はいそうですよ『アリス』は才能があるので」


 アリスは自慢げに言った。『アリス』が自慢できる、なんて良い気分なんだろう。

 マリは難しげな顔をして顎に手を置いた。アリスを視界から外していた。今、身体強化をして急接近し、フレイムをブッパすれば場外にできる。いやそんなことをしなくてもその場でフレイムを撃っても場外にできるだろう。それはそのぐらいのスキであった。


(罠? いやそんな感じじゃないし……)

「止まっちゃってどうしたんですか?」

「少し黙ってて、今考えてるの。それとできれば攻撃はちょっと待ってて」

「え……」

「顔はもちろん良し……これはふむふむ……」


 そのまま何やら考え込み始めてしまった。

 念のために言うがこれは勝負の最中である。観戦していたカレンからは「ちゃんとやれー」という野次が飛んできていた。

 待つべきか、待たずに場外にするべきか。どうした方が良いのか? アリスは悩んでいた。だがすぐに答えは出た。


(待ったほうが面白そうだし、待つか)



 そうして5分ほど経過した。

 カレンからの野次はもうかなりの数飛ばされていた。


「……アリスは才能あるんですよね」


 やっと口を開いたマリは呪文を唱えずそう言った。


「まあ、そうですね」


 悪い気はしなかった。自分で自慢するのもいいが、やはり誰かの反応が一番気持ちいい。


「なら、ならなら! ちょっとだけアリスの体を貸して!」

「はい?」


 マリの発言にアリスは素っ頓狂な声を出してしまった。


「ほんのちょっとでいいから貸して!!」


 マリはアリスへと駆け寄る。

 念のためにもう一度言うがこれは試合中だ。

 マリはアリスの全身を見て、何度も頷いた。そしてアリスの腕を掴み、ブンブンと振り始めた。


「どういうこと? ってちょっ何!」

「ちょっと私の作品の登場人物になってほしいだけだから! すぐ終わるから! だからだからちょっとだけ体を貸して!

 あれっ? 紙とペン……あっちに置いてきたんだった。アリス、ちょっと待っててね」


 そう言うとマリは舞台を下り、紙とペンを取りに行った。そう舞台を下りたのだ。

 その決着に場の空気は変になる。


「えっと、思ったのと違うけど……まあ良いか。

試合終了、勝者アリス!」


 カレンが宣言をし、1回戦はアリスの勝利で終わった。アリスとしてはさすがにこれはという決着であった。


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