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10話


 クランたち4人を突然裏切ったアリスは満悦の表情で歩いていた。手には奪ったコインが4つある。


「やっちゃったなぁ~、ホントやっちゃった~。さすがに裏切んの早すぎると思ったけどさ、あのグループ絶対うまくいかなそうだったし。行動が思ったより制限されそうだったからな……。うん、反省はする、後悔はしてないけど」


 裏切ったことを特に悪びれる様子はなかった。むしろ最初っから裏切るつもりだったようだ。


「まあだけどあいつが言ってた通り、一人はきつそうだよなぁ。誰か人見つけて、手でも組んでもらうか……。いやそれはなんか『アリス』は一人で戦えないみたいで嫌だな。……暴れまくってほかの人たちを委縮でもさせてみるかな」


 アリスはひとまず暴れるため、人がいるところへ行こうと耳を澄ませる。

 そのとき激しい爆発音が前方から聞こえた。そしてそれを始まりの合図にあちこちから激しい音が聞こえてきた。


「おお、やってるな。意外とほかのところでも裏切り発生してんのかな?」


 アリスは面白そうだなと笑い音が最も激しく、土煙が上がりまくる方へ足を進めた。



 その場所では4つのグループがぶつかり合っていた。


「ウォーター!」

「ソイルブリット」

「おいこっち回復くれ!!」

「分かってる!」

「サンダー」

「撃て、撃て、どんどん攻めろ」

「フレイムボム!!」


 水が飛び、土の弾丸が飛んでいく。雷が放たれそれを上位の魔術で迎撃する。爆発音が轟き、人が吹き飛ばされる。

 負傷者を下がらせ回復の魔術が使える者が癒す。相手は回復できないようにそこを集中的に攻撃する。


「静かに行くぞ……」

「了解」


 そして漁夫の利を狙う二人組。

 二人はインビジブルで姿を消し、吹っ飛ばされ気を失った人間からコインをちゃっかりと奪っていた。

 だがそんな漁夫の利もすぐに終わってしまった。


「よ~し、次は……」

「おいっ! 敵いるぞ!!」

「バレたっ!」

「逃がすな! コインを取られてる!」


 インビジブルは強力な魔術だが、生命体と接触している間は姿が消えなかったりするため無敵ではない。


 攻撃はどんどん激しくなる。

 放たれる魔術に込められる魔力も大きくなり、強力な魔術も放たれるようになる。

 彼らは自分の使えるできるだけ強力な攻撃を撃ちあう。


「なんで……?」

「悪いな」


 だがその裏では裏切りも起こったりしていた。

 背後からの攻撃。

 戦線からの逃亡。

 乱戦地帯であった。

 その戦闘の激しさから試験監督たちもそこを注視していた。



 そしてそこへアリスがやってきた。


「こりゃすごい。これなら少し後ろのほうから攻撃してれば集中攻撃はされないかな」


 アリスは乱戦地帯から少し下がった位置で腕を構える。

 使う魔術はもちろんフレイム。だがただのフレイムではない。アリスの膨大な魔力を大判振る舞いに注ぎ込んだフレイムだ。


「デカいの来るぞ!!」

「避けろっ!」


 巨大な魔力に反応した者は僅かにいたが何か行動することはできなかった。

 炎が襲いかかる。

 撃たれてあっていた攻撃をも飲み込んでしまう。

 すべてを飲み込み、爆発を起こす。

 一瞬の静寂が生まれた。

 そこで起きてた乱戦は無理やり終わった。

 地面にはチリチリと燃えた葉が落ちていく。

 人があちこちに倒れている。

 そこはきれいに吹っ飛ばされた。


「一撃粉砕! 気持ちが良い!」


 アリスの声がその場に響いた。

 その後彼らが目を覚まさない内にコインを貰っていき、その場を後にした。


 *  *  *  *  *


 森の外では試験監督たちが水晶を通して試験の様子を監視していた。

 アリスのところを映していた水晶には多くの試験監督たちが覗き込んでいた。


「彼女すごいね~」

「ええ、フレイムであの火力。グレイが驚いただけはある」

「ねぇねぇ、私あの子欲しいんだけど!」

「変な発言はやめてくださいカレン先生。それに皆さんもそこだけ見てないで他も見てくださいよ。僕一人で全部はキツいんですよ」

「他のところも見ますよ~」

「了解で~す」


 そしてその水晶から何人かが離れていき、別の水晶を見ていく。

 しばらくするとアプルが水晶をみて声を上げた。


「おっ、この子もすごい」

「なんだ?」

「ああこの子、確か東の方から来たって……」

「へー、面白そうですね」


 そこに映っていたのはフードを被った人間。そしてその周りには人が何人もうめき声を上げながら倒れていた。


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