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序説 ある男の話
ひとりの男がいた。
彼は魔族を統べる王であり、常に孤独を感じていた。
力による支配。力による君臨。彼はすべてのことに疑問を持っていた。
そんな彼にはひとつだけ願いがあった。
「死」である。
永久の時を生きる彼の唯一にして最大の願いは死である。
そんな彼を殺すものが現れた。
名は「クレセント」
金色の髪を持つ聖女であり、光を統べるものであるとされた。
しかし、その実態は彼によって見出されたただの少女である。
彼の旅はいまなお続く。ただ死を求めてー。
彼、リク・レインはただの独りの男であった。