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レティシア7歳 リオとセリア

セリア視点


神殿に行くとリオ様に会った。

庭園に誘われたので後ろを歩く。

普通は殿方はエスコートするけどリオ様はレティ以外をエスコートしない。

リオ様はレティ以外を女性と認識しているかも怪しい。


「リオ様、どうしました?」

「セリア、聞きたい事がある」

「答えるかは内容次第です」

「レティシアの嫌がらせっていつから始まった?」


今更ですか。本当にレティもよく隠したよね。

レティが全く気にしてなかったから気付きようもなかったのか。


「リオ様にしては遅かったですね。調べてあるんでしょ?」

「ああ。確認に」

「アリア様主催のガーデンパーティが終わってすぐからです」

「やっぱりか。お前は知っていたの?」

「ええ。殿下に見初められたと噂のレティに令嬢達が嫌がらせするのはわかってましたから。聞いたら教えてくれましたよ。実験用の燃やすものを探してる話をしたら令嬢達の手紙をくれましたもの。たくさんあるから有効活用してって」

「なんで教えてくれなかった?」

「頼まれてませんもの。教える必要がありました?」

「レティシアが一人で耐えてたって」

「リオ様、その顔は絶対にレティの前でやめてください。レティは令嬢からの嫌がらせは全く気にしませんがその所為でリオ様が落ち込んだら気にしますわ。」


眉間に皺を寄せるリオ様に呆れてため息が出たわ。

レティは令嬢達の嫌がらせなんて全く気にしていない。その意欲を是非殿下に向けて誘惑してほしいと笑っている。

殿下からの手紙は嫌がってるけど、面倒だと苦笑するだけで全く落ち込んではいない。

あの子は自分のことには強いというか無関心だから。将来、辺境伯に嫁いでもいいように色々覚えることに夢中だしね。

嫌がらせのことをルーン公爵夫妻に隠していたのは夫妻の仕事を増やさないため。自分のことは自分でこなしたかったみたい。


「本当に全く気にしてない・・?」

「はい。ただレティの好きなリオ兄様が気にしたら話は変わりますわ。私の所為でリオ兄様が・・って。きっと距離をおかれて一切頼られなくなりますね。仕方ないからレティは私が面倒みてあげます」

「距離を置かれる・・・。」


リオ様が遠くを見つめている。

愉快ね。リオ様はレティに惚れてる。放っておいてお祈りに行こう。この慣習は面倒よね。いい加減になくなればいいのに。


「セリア!!」


聞きなれた声に振り返るとにっこり笑ったレティがいた。


「レティ、来てたの?」

「はい。まさか会えるとは思いませんでした。リオ?」

「お祈りしているみたいよ。一人にしてあげましょう。せっかくだから一緒に行こう」


不思議な顔をしているレティの手を繋ぐ。

レティがリオ様にまたねと小さく手を振ると復活した。


「シア?」

「リオ兄様ごきげんよう」

「もう来たのか。今日は早かったな」

「早い?」

「なんでもない。訪問日は一緒に行こうって言ったろ?なんで知らせなかったの?」

「忘れてましたわ」

「次は叔父上に聞く」

「ごめんなさい。ちゃんと伝えます」


リオ様、神殿にもついてくるの・・。

さすがに過保護すぎでは・・。

レティ、きっと今日は待ち伏せされてたわよ。いつの間にかリオ様が復活した。

きっとレティは頼りになると思っている従兄が全然頼もしくないことを知らない。

リオ様はレティの前では格好つけるしね。

レティの裾が汚れている。


「レティ、また転んだ?」

「はい。うっかりぶつかってしまいました」

「気を付けてね。なにか贈ろうか?」

「お気持ちだけで。セリアの作品は物騒だもの」

「シア、頭は打ってない?」

「リオ?大丈夫ですよ。」

「相手は?」

「リオ、私の不注意ですわ。小さくて見えなかったそうですわ。お母様には内緒にしてください。私はお祈りに行ってきますわ」


レティはリオ様の追及する視線を笑顔でごまかして逃げるように立ち去った。

レティは神殿で令嬢達にわざと転ばされることに気付いてない。

あの子の中では神聖な大神殿でそんなバカな振舞いを貴族がするとは思っていない。

悪意なんて気づかなくていい。命に関わるときはルーン公爵とお父様が作った訪問着が守ってくれるから。ふんわりしたドレスで見えないけど最近はシエルが膝あてを作ってはかせている。

お父様もルーン公爵も娘に友人ができたのが嬉しいみたい。時々二人でお酒を飲み交わしている。酔った勢いでレティの訪問着ができたから驚きよね。

お父様の発想にルーン公爵の魔力があればなんでもできそう。


公爵令嬢のレティはこれからもたくさん誹謗中傷を受ける。ルーン公爵家を追い落としたい貴族は多いから。

リオ様はレティを過保護に守りたがるけどきっと無理。

リオ様の想像以上に貴族令嬢の生きる世界は薄汚い。

レティは自分のことは強いからきっと大丈夫。隣で悠々自適に私達が過ごしているのが一番。

実は寂しがりやで甘えたがりだけど、私達の負担になるなら笑顔で離れていくわ。

レティにとって庇護するべき存在になれば絶対に甘えてくれなくなる。

だからリオ様、レティに頼られたいなら弱った姿なんて見せたら駄目なの。

レティはリオ様がどんなことにも動じない揺るぎない人だと思ってるから。レティのイメージもどうかと思うけど。まぁリオ様の努力の賜物かしらね。


リオ様を放っておいて歩いていくレティを追いかける。

お祈りをすませたし後は帰るだけ。


「レティ、せっかくだから家に寄ってく?」

「行きたいけど、午後はお勉強です。」

「残念。また時間ができたら泊まりに来てね」

「一緒に寝てくれますか?」

「ええ。また時間ができたら教えてね」

「うん。先生に合格もらってセリアのとこに行きますわ」

「楽しみにしてるわ」


手を振るレティを馬車まで見送ると不機嫌そうなリオ様がいた。


「シアと一緒に寝てんの?」

「レティ、いつも一人だから寝るまで誰かが一緒にいてくれるのが嬉しいみたい。寝起きのレティは可愛いですよ」

「俺とシアの方が付き合いが長いのになんでセリアの方が懐かれてるんだろうな」

「さぁ。私はレティの友達ですから暖かく見守るだけです」

「俺の邪魔をして?」

「そんなこと言っていいんですか?」

「悪かった。やめて。お前に邪魔されたら笑えない」

「残念です。いくらでも相手しますよ」

「これからもよろしくな」

「レティのことはお任せください。リオ様の応援はしませんが」

「そこは自分でなんとかするよ。」


リオ様は苦笑して去って行った。

リオ様はレティの信頼を得ているけどまだまだ。

令嬢に人気のマール公爵三男がレティに振り回されるのは見てて楽しいけど。



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