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追憶令嬢の徒然日記 小話  作者: 夕鈴


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学生時代の思い出

セリア視点


レティは弱気な令嬢作戦をしている。ただもともと好戦的な性格のため時々剥がれてしまう。リオ様が傍にいる時は設定を思い出して、庇われる様子は確かに弱気な令嬢にみえる。残念ながらレティと親しい生徒は気付いている。ただ気をつかってあえて、見て見ぬ振りをしている。素は弱気な令嬢、ただ突然優雅な令嬢に豹変する様子に戸惑わない周りはすごいと思う。特にレティに心酔しているのはステラ様とハンナ。周りにレティの取り巻きと思われているのは、この二人とブレア様とサリア様。レティは全く気付いてないけど。


「ルーン様、お友達は選んだほうがよろしくてよ」


レティが言われた意味がわからずに、よわよわしい笑みを浮かべた。

今回は設定を忘れていないみたい。


「私は先輩として忠告しているの。おさがりを」

「ご忠告ありがとうございます。私の大事なお友達をおさがりなど聞き間違えでしょうか・・」


レティはすでに設定を忘れている。首を傾げる動作から冷気がでてる。レティはステラ様を気に入ってるし、本人の前で言ったから怒ってるのかしらね。


「派閥の違う人間を」

「平等の学園です。家のことなど関係ありません。」

「まぁ。これが公爵令嬢とは。嘆かわしいわ、マール様もお可哀想に」


目の前にいるのは派閥の違う侯爵令嬢、リオ様のファンかしらね。



「ルーン公爵家は学園で必死の根回しなど必要ありません。学園では自由に過ごさせていただいております。絶対にありえませんが、私のお友達がルーン公爵家に害を与えるならきちんと対処致しますのでご安心下さいませ」


凄い嫌味を言っている。レティはやっぱり怒ってるわ。リオ様のことはどうでもいいみたい。


「失礼するわ」


侯爵令嬢を見送り、レティが申し訳なさそうな顔をした。


「ステラ、嫌な思いをさせてごめんなさい」

「いえ、私のほうこそ」

「ステラは関係ありません。あのご令嬢は長い付き合いですから。もし困ったことがあったら教えてください。」


レティが顔を覚えるなら相当絡んでくる令嬢なのね。私は気になることがあった。


「レティ、対処ってどうするの?」

「そうですね・・。グレイ伯爵家をうちの派閥にいれます。両家の利もありますし、周りも取り込めそうですわ。必要ならです。やりません。私は学園に家のことを持ち込むことなど致しません。」


レティがステラ様の視線を勘違いをして言い訳をしている。ステラ様はレティに尊敬の視線を送っている。


「レティシア様、私、頑張ります」

「はい?」


きょとんとしているレティは先ほどとは様子が全然違う。レティの観察は楽しい。ステラ様はレティを目指しているけど、やめたほうがいいとは思っても口に出さない。


***



登校するとレティは窓を見てぼんやりしている。

レティの肩を叩くとしょんぼりした顔を向けられた。


「おはようございます」

「おはよう」


またぼんやりしている。カーチス様達が登校してきたわ。


「レティシア、まだ落ち込んでいるのか?」

「クラム様・・・」

「調子が悪かっただけだよ。次は勝てるって」

「ニコル様、私は昨日は一度も勝てませんでした。」


昨日は武術の授業あったからそれ関連か。このレティを放っておけないリオ様がいないのね。


「昨日はそんなに落ち込んでなかったのに」

スワン様が苦笑している。


「片っ端から勝負を挑んで惨敗だったから。後半は体力も集中力も切れてたし」


カーチス様の言葉にレティが儚げに笑ったわ。レティ、授業中に何をやったのよ…。そろそろ勝てないことに気づかないのかしら。


「放課後、リオにも瞬殺されましたわ」

「あの後まだやったの!?」

「私、授業の結果をお母様にお話したらお説教ですもの。もしかしたらって」

「なんで、リオ様に勝てると思ったんだよ」

「エイベルがいなかったんです。他に監督生の知り合いはリオとグランド様しかいません。」


レティは正常な判断ができていなかった。カーチス様より強い三人に勝てるわけがないのに。


「ビアード様にも、勝てないんじゃ、」

「エイベルの所に行ってきます!!」


レティが勢いよく立ち上がった。


「シア、どこか行くの?」


いつの間にリオ様がいた。リオ様がレティに会いに来るのはいつものことだから驚かないわ。


「エイベルを探してきます」

「え?ビアード忙しそうだよ」

「そんな…。」


リオ様は嘘ついてる。いや、ビアード様が忙しくなるように手を回すのか。レティがしょんぼりしてしまった。

「叔母上には報告しないように手をまわそうか?」

「いえ、怒られます。私が受け止めるべき咎です」

「ほら、父上から預かった。お土産だってさ。」


レティが本を受け取って目を輝かせた。そういうことね。


「ありがとうございます」

「シエルの言うことちゃんと聞くんだよ」

「はい。」


レティは上機嫌で本を読み出した。リオ様はレティの気をそらして機嫌をとりにきたのね。レティは夢中で読み過ぎて、また熱を出しそうね。弱い睡眠薬でも作っておこうかな。

カーチス様達もレティの切り替えの早さに慣れているから気にしない。私も退屈な授業の仕度をしようかな。


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