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レティシア7歳 夏休みの出来事

ある侯爵子息視点


俺は友人のマール公爵次男レイヤ・マールのもとに遊びに来ている。

今日はレイヤとよく一緒にいる弟はいないらしい。


「レイヤ、リオはどうしたの?」

「ああ。今日は従妹が来ているからリオは来ないよ」

「従妹?」

「ああ。会わせないよ」

「なんで?」

「うちの可愛い従妹に悪い虫はつけたくないから」

「リオに任せて平気なの?」

「ああ。俺は家にいないことが多いからいつもリオが面倒みてる。」


ノックの音が聞こえる。

「兄上、よろしいですか?」


レイヤが部屋の外に出て行った。

今日は部屋には入れないんだな。


「リオ、どうした?」

「シアが帰る前に兄上に会いたいって聞かなくて。」

「レイ兄様、お邪魔して申しわけありません」

「レティは良い子だね。おいで」


好奇心に負けて部屋を出ると、レイヤが少女を抱き上げていた。

満面の笑みを浮かべる銀髪の少女は可愛い。

俺と目が合うと少女は目を大きく開いて固まった。

この青い瞳はルーン公爵令嬢か。


「レイ兄様、お客様のまえでごめんなさい」

「レティ、気にしないでいいよ。」

「あの、本ありがとうございました。」

「読めたの?」

「はい。楽しかったです。」


レイヤが少女を抱いたまま部屋の本棚から本を引き抜いて渡した。


「次はこれかな。難しかったらリオに聞いてね」

「ありがとうございます」

「シア、兄上の邪魔になるからそろそろ行くよ」


「レイ兄様お会いできて嬉しかったです。またお会いできるのを楽しみにしてます」

「また今度ゆっくりね」

「リオ兄様、ご挨拶しますか?」

「いらないかな。ほら行くよ。兄上失礼しました」


レイヤが少女を腕から降ろし、少女は礼をしてリオと手を繋いで去って行った。


「あれが従妹?」

「ああ。なんで出てきたの?見せる気なかったのに」

「気になって。確かに可愛いな」

「手を出すなよ」

「出すかよ。俺はロリコンじゃないから。さっき渡してた本って?」

「隣国の物語」

「あんなに幼いのに異国語読めるのか?」

「レティの家は教育が厳しいから。楽しく学べるならそれにこしたことはないだろ?リオがレティに語学力を負けてるんじゃないかって最近必死に勉強してるよ」


レイヤも異国語に堪能なんだよな。さすが外交官の家系。


「二人共幼いのにすごいな。」

「だろ?。レティはいつでもうちの嫁にこれるよね」

「お前・・」

「勘違い。もし嫁にもらうなら相手はリオだよ。俺はあんなに可愛いレティを物心ついてからずっと見ていたリオが他の令嬢を好きになれるとは思えないんだよ」

「確かに将来間違いなく美人になりそうだよな」

「性格も素直で可愛いしね。そんな可愛い従妹がいじめられてるんだよ」

「え?」

「レティは殿下に気に入られたみたいでね。嫉妬に狂ったご令嬢達にいじめられてる」

「彼女、どう見ても社交デビュー前だよな?」

「7歳になったばっかり。」

「嘘だろ?」

「嫌がらせは6歳から始まったみたい。俺も嘘だと思いたかったよ。レティは一人でなんとかしようとしたけど、最近偶然リオが見つけたみたい。

母上が真っ青になる内容の嫌がらせの手紙だけじゃなく神殿で突き飛ばされるし、魔法で攻撃されてるし、これ同じ学園生として恥ずかしいよな」


最近?6歳児が一人で嫌がらせを受けていたってほぼ1年も誰にも相談できなかった?

あんなに小さい子が・・?

しかもレイヤの言葉だと学園生徒が嫌がらせを?



「レイ、怒ってる?」

「リオはしっかりしてるんだ。あのリオが自分には何にもしてやれないから助けてって傷ついた顔をして言ったんだ。」

「お前、実はブラコンだよな」

「俺の大事な弟と従妹を傷つけてる奴らに地獄をみせたいと思っているだけだ」

「珍しいな。いつもは傍観を好むのに」


普段は穏やかな奴なんだけどな。自分から荒事に首を突っ込むなんて絶対にしないし。

いつも仲裁してるイメージばかりが思い浮かぶ。


紙を渡される。

容姿と特徴に名前がびっしり書いてある。


「これは?」

「レティに嫌がらせした令嬢達。まだまだいるみたいだけど、まだ調査中だって」


ありえないだろ。

かなりの人数いないか?そんなに常識のない令嬢達が多いの・・?

明らかに殿下の婚約者に選ばれない令嬢が嫌がらせをしてるのはなんで。

家柄もよく容姿端麗な令嬢を早めに潰そうとしているのか・・。

浅はかすぎるだろ。

一歩間違えればルーン公爵家を敵に回す。


「まずはご令嬢とそのご友人・関係者はマール公爵家との関係性を切ろうと」

「本気?」

「社交デビュー前の令嬢に手を出すという最低限の教育もできない家との繋がりは不要だ。父上と兄上の了承も得ている。ルーン公爵家を敵に回す方が怖いしな」

「学園がはじまったら荒れそうだな」

「うちは身内には甘いけど敵には容赦ないから。まぁ楽しみにしててよ。」


令嬢達が頬を染めるような綺麗な笑みを浮かべた友人に俺は寒気が止まらなかった。

でも自分の半分も生きてない子供に嫌がらせするのは令嬢達が悪い。

あの感じだとルーン嬢は良い子そうだしな。

俺の友人達にルーン嬢のファンが多くて驚いた。マール公爵邸で彼女に会えたら幸運らしい。

庭園で遊んでいる姿をみたことのある友人は天使と騒いでいた。

レイヤもリオも紹介したがらないので、偶然を狙うことがルールらしい。

俺もよくマール公爵邸に訪問するけど、そんな遊びが流行ってること知らなかったよ。

リオも俺に挨拶さえさせたくないくらいにルーン嬢を可愛がってたしな。

レイヤの悪巧みに俺も協力しよう。リオは弟分だしな。

あんなに可愛い子が不条理に傷つけられるなんて許されないよな。

とりあえず、父上に相談しよう。マールとルーンの両公爵家とのパイプがなくなるなら、令嬢達の生家との縁を切ったほうが家のためだ。

休暇明けは学園が荒れるだろうな。



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