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追憶令嬢の徒然日記 小話  作者: 夕鈴


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41/92

レティシア3年生 決闘前前夜 

102話の中編の後の話です。

サイラス視点


「サイラス、力貸せ」


寮の部屋に突然現れるリオ。

このパターンはさすがに慣れた。

機嫌悪いな。


「いいけど、何があった?」


「もう無理。我慢できない。シアがルメラ嬢はビアードと殿下の好きなタイプって言うから見逃してたけど、見込み違いだ。」


なんで放っておくのか不思議だったけど、納得した。

理由がなくてもマール公爵家の力を使えば男爵家なんてすぐに潰せる。

ルーン嬢への態度を見れば、公爵家への不敬で裁ける。

リオにとって邪魔なビアードと殿下の排除を期待してたのか。

ビアードはわかるけど、なぜか殿下も敵視してたもんな。

ルーン嬢がなぜルメラ嬢が二人の好みと思ったか不思議だけど彼女の思考回路は特殊だから仕方ない。

リオがそれを信じたのも謎。ルーン嬢関連はリオはおかしくなるから仕方ないか。

この従兄妹二人は優秀なんだかポンコツなんだかわからない。

エドワード様は大丈夫なんだろうか・・。

他家のことは気にしてはいけないな。



「シアへの侮辱に階段から落とす、あげくにセリアの薬をかける、あげだしたらきりがない。俺はもう十分我慢した。シアが関わると不安そうな顔するから放っておいたけどもう無理。男爵家の取り潰し程度じゃ満足できない」


このパターンは初めてだよな。

いつもは静かに怒るのに、こんなにわかりやすく怒るの初めてなんだけど。


「ルーン嬢は無事なの?」

「シアの身になにかあったら殺してる。」


失言だった。ルーン嬢の身になにかあればここにはいないか。


「殺すくらいじゃ満足できない。地獄の修道院に送り込んでそのあとも…」


まずいな。リオがブツブツ言ってるけど聞きたくない。


「リオ、俺はなにをすればいい?」

「シアが決闘を挑まれた」

「決闘?」

「負けたほうが勝った方の命令を聞くんだと。」

「ルーン嬢が出るの?」

「絶対に出さない。ニコルが話をまとめてルメラ嬢の取り巻きと3対3。ニコルが仲裁しなければシア一人と戦わせる気だったらしい」

「それはさすがに、」

「ありえないことを実現するのがルメラ嬢だろ?」 


話を聞く限り理不尽を当然のように通す。

令嬢達もあざ笑うだけで咎めない。

あのルメラ嬢に惚れてる取り巻きは頭がおかしいと思う。


「俺はその決闘に出ればいいの?」

「ああ。競技場で生徒を集めてやる。ルメラ嬢の非道な振る舞いに振り回されるルーン公爵令嬢への同情を集める。決闘に勝ってルメラ嬢へ公衆の前でシアに関わらないことを約束させる。そのあと彼女がシアに絡んだら、修道院に送ってやる。決闘が終わった時点でシアに文句をいいにくるだろうしな。今までの罪状も含めて慰謝料も請求する。慈悲深く信心深いルーン公爵令嬢への不敬は神官や修道女たちの目も厳しくなるだろうしな。」


もう手回しは終わってるのか。


「ルーン嬢って神官達にも人気あるの?」

「シアは今も神殿に通ってるからな。魔力がないのに信心深く祈りを捧げるルーン公爵令嬢。ルーン公爵家は寄付金も多いし、シアの成長を見守る神官もいるからな。今はエドワードと二人で通う麗しのルーン公爵姉弟で有名だよ。」

「ルーン嬢、長期休暇だけじゃないの?」

「休養日に外出届けを出して行ってるよ」

「リオはついていかないの?」

「馬車に乗るまで見送るけど、エドワードに邪魔するなと言われてる。」


学園入学と共に神殿通いの令嬢は減る。

神殿通いは令嬢の教養の一つだから、入学前の令嬢達がこなすことが多い。

そこで信仰心やマナーを覚える。

わざわざ外出届けを出してまで出かける令嬢は珍しい。

該当者がいなければうちみたいに母上が寄付金を持っていっている。


「エドワード様はリオより強いんだね。」

「まあな。俺は相手を瞬殺したい。あっちはビアードがいるかもしれない。そうするとクラムやロダだと荷が重い」

「ビアードが?」

「ああ。ルメラ嬢はビアードに積極的に話しかけてるから。他にも武術の名門貴族出してくると思う」

「わかった。」

「助かる。俺が安心して組めるのはサイラスだけだから。」


話してるうちにリオが落ち着いたな。

リオに腕を認められてるとは知らなかった。

昔から一緒に修行してたもんな。

俺よりもリオの方が必死に修行してたけど。

昔は武門貴族じゃないリオとの実力差に悩んだけど、父上に覚悟と鍛錬の差って言われて驚いた。

まさかターナー伯爵家とグランド伯爵家の両家で修行してるとは思わなかったしな。

入学してしばらくするとロベルト先生に挑みに行ったのも驚いたよ。



ビアードがルメラ嬢側につくとは思わないけど、リオの予想って外れないんだよな。

誰が相手でも負けられないことには変わりないか。

リオと可愛い後輩のために一肌脱ぐか。



決闘当日俺はため息を我慢できなかった。

まさか、戦う直前にメンバーについて揉めるとは思わなかった。

ルーン嬢は意味のない決闘に俺達を巻き込むことを、必死でリオに抗議している。

ルーン嬢、リオを数に入れないのはまずいから。

カーチスよりも、まずリオの名前があがらないとおかしいでしょ!?

リオは君の婚約者だよね!?

もう少しリオに想われてること自覚してくれないか。

頼むからこれ以上はリオを刺激しないで。

俺は君が思うほど、リオの扱いに優れてないから。

間違いなくルメラ嬢のことを一番怒ってるのはリオだから。

予想外にカーチスがうまくルーン嬢をなだめた。

ルーン嬢、リオの言うことは聞かないのにカーチスの言葉は聞き入れるのか。

この雰囲気ならルーン嬢を説得できそう。

ルーン嬢さえ説得できれば、リオの機嫌とりはルーン嬢に任せればいい。



リオとルーン嬢はいつになったらわかり合えるんだろうな。

付き合いだしても、相変わらず手のかかる二人だよな…。

まさか決闘してる最中にルーン嬢が襲われたのは予想外。

殿下が観戦してるとも思わなかった。

リオ、お前どこまで予想してたの?

気づいたら相手が倒れて、リオが客席まで飛んだから驚いたけど。

決闘中もルーン嬢のこと気にしながら戦うのはさすがと思ったけど、リオはルーン嬢を見ながら片手間で戦ってたんだろうな。

ルメラ嬢がいなくなればルーン嬢の願う平穏がやってくるかな。

俺はもう少し二人がわかりあえたら安心できるんだけどな。


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