レティシア3年生 ステラの決意
95話の後日あたりのお話です。
ステラ視点
レティシア様と帰るために階段を降りようとするとルメラ様に会いました。
ルメラ様はレティシア様に嫌がらせをされていると騒いでいる不届き者です。レティシア様が関わってはいけないと言うので、視線を向けずにすれ違います。
今日は取り巻きの殿方を連れてませんのね。
「レティシア様!!」
レティシア様の前に出ようとするとレティシア様に視線で止められます。
もう少し頼ってくださればいいのに。男爵令嬢ごときを公爵家のレティシア様が相手をされなくてもいいですのに。
「なんでしょうか?」
「嫌がらせはやめてください」
「身に覚えがありませんわ。」
「酷いわ」
「私を告発したいなら生徒会を通してください。」
レティシア様が去ろうとすると、ルメラ様がレティシア様の肩を掴まれました。
「おやめください。」
「邪魔なのよ。」
え?ルメラ様が階段を踏み外して落ちそうになるのをレティシア様が後ろに思い切り突き飛ばしました。
「レティシア様!!」
レティシア様がバランスを崩して階段から転げ落ちます。
急いで階段からかけ降りる、レティシアが倒れてます。頭から血が
「レティシア様!!レティシア様!!レティシア様!!」
「レティシア様、突き飛ばすなんてひどいですわ」
上から騒ぐルメラ様なんてどうでもいいです。
絶対に許しません。
保健室、でも動かしていいのか。
人が集まってきます。先生は、あれはマール様とグランド様。
「シア!?」
「ルーン嬢!?」
グランド様に声をかけられます。
「何があった?」
「レティシア様がルメラ様を庇って階段から落ちて、レティシア様。」
「大丈夫だから落ち着いて」
グランド様が走って去っていきました。
「マール様、レティシア様が私を突き飛ばしましたの!!」
「黙れ。」
マール様の声に寒気が。
「マール様騙されてます」
この方は。レティシア様に庇われたのに。
「いい加減になさいませ。貴方のせいでレティシア様が落ちたんです。これ以上の無礼は許しません」
「ひどい。勝手に落ちたのに。私、突き飛ばされて」
あれは!?
グランド様が先生を連れて来ましたわ。レティシア様に治癒魔法をかけています。
きっとこれで大丈夫ですわ。
「先生、レティシアは」
「じきに目覚めると思うけど、頭を打ってるから。保健室に移動しましょう」
マール様がレティシア様を抱き上げて移動しています。
私も追いかけます。騒いでいるルメラ様はグランド様が相手をしてくださいます。
マール様はレティシア様をベットに寝かせ手を握って見つめてます。本当に大切にされてますわね。
レティシア様が目を醒ました。良かった。
レティシア様は、勢いよく起き上がりふらついたのをマール様がささえます。
「ステラ!!」
「レティシア様?」
「よかった。何もされてない?」
この方は。本当に…。安心して泣きたいけど我慢です。
レティシア様が気にしないように笑顔を作って微笑みます。
「シア、グレイ嬢の前に自分の心配をしろ。お前階段から落ちたんだよ」
「リオが運んでくれましたの?」
「バカ。なんで、他人かばって落ちるんだよ」
「ありがとうございます。うっかり。ごめんなさい」
「もう絶対にやめろよ。」
「体が勝手に」
「心配で心臓止まりそうだからやめて」
「大げさですわ」
笑っているレティシア様を真剣な顔でマール様が見ています。
レティシア様、申しわけありませんが私もマール様のお気持ちがよくわかりますわ。
「笑い事じゃないから。明日から送り迎えする」
「お気持ちだけで」
「譲らない。」
レティシア様がため息をつかれました。
「誰かと一緒に行動しますわ。」
「無理。」
「シエルに頼みます」
「譲らない」
レティシア様が困った顔をされてます。
「リオ、忙しいんですから無理はしないでください」
「お前にだけは言われたくない」
「失礼ですわ。私もリオには言われたくないですわ」
「俺は自己管理できるけどシアはできないだろ?」
「できますわよ。」
お二人の言い争いは初めてみました。
公爵家のお二人に恐れ多いですが、ためらってはいけません。
大事なのはレティシア様のお体です。
「お二人とも落ち着いてくださいませ。レティシア様は病み上がりです。安静にしてください」
言い争いをやめたお二人が静かに見つめあってます。
誰か来ましたわ。
「リオ、心配なのはわかるけど落ち着け。ルーン嬢は今回はリオに送り迎えさせてあげて。リオの忙しさを気にするなら仕事を手伝ってあげればいい」
「グランド様、でも」
「ルーン嬢、当分はリオの側にいてあげて。リオは君の怪我をみて真っ青だったんだから。」
レティシア様がきょとんとされ、マール様を見つめています。
「ごめんなさい。」
「次からは気をつけて。サイラス、元凶は?」
「騒いでたけど黙らせた。」
「そうか。シア、どうする?」
「関わりたくないので私の不注意で片付けてください。彼女が私を加害者にするなら戦います。」
「レティシア様、私は許せません」
「ステラ、気持ちはありがたいけど、騒ぐだけ無駄です。関わらないのが一番ですよ。」
「シア、俺に任せて」
「必要ありません。マール公爵家の力を借りるほどのことでもありません。それに私の大事なリオやステラが彼女に関わるのも嫌なんです。彼女のための時間があるなら私の側にいてくださいませ」
自信満々の笑みを浮かべたマール様が赤面して固まられました。
わかります。レティシア様の言葉はとても嬉しいですが複雑です。
「シア…。」
「言葉が届かない方は相手にしないのが一番です。」
「リオ、お前が手を回しても、きっとルーン嬢が動いたと彼女に騒がれるよ。動く時は今じゃないだろ。何が大事なのかはわかってるんだろ?」
レティシア様がマール様の手を握りました。
「リオ、お願いですから関わらないで。」
マール様がため息をつきました。
マール様の様子にレティシア様は安堵されてますね。
「わかった。そのかわりにシアは俺の側にいて。送迎は譲らない。帰りも教室まで迎えにいく」
レティシア様がマール様と見つめあってため息をつきましたね。
「わかりましたわ。お願いします」
「シア、帰るよ」
「グレイ嬢は、俺が送るよ。気をつけてね」
「ステラまたね。気持ちは嬉しいけど彼女とは関わらないでくださいね。失礼しますわ」
レティシア様がマール様と一緒に帰っていきました。
「帰ろうか。」
「はい。」
「不服そうだね」
見抜かれてますね。さすが名門武門貴族。
「私はルメラ様を許せません。レティシア様を侮辱して怪我までおわせて。レティシア様は優しすぎます。男爵家の無礼をどこまで許すんですか」
「ルーン嬢はルーン公爵令嬢として相応しい行いかどうかが一番だからね。誇りや自分の大事なものを傷つけられない限りは怒らないし動かないよ」
「レティシア様が傷つけられるのに我慢できません」
「リオが動くし守るよ。」
「マール様は怒ると思ってましたわ」
「あれ、怒ってるから」
「え?」
「リオは怒ると静かになるんだ。ルーン嬢の心配の方が勝ったみたいだけど。動揺してたよ。いつものリオはルーン嬢と言い争いなんて絶対にしない。グレイ嬢はルーン嬢の望み通りに側にいてあげて。」
「私、お役に立てませんでした」
「君のルーン嬢を呼ぶ声で俺達は気づいたんだよ。もしあの状況でルメラ嬢とルーン嬢が二人だったらゾッとする。階段から落ちたルーン嬢と助けも呼ばずに罵るルメラ嬢。手遅れにならなくてよかったよ。リオも固まって動けなかったし」
「マール様が?」
「うん。君と一緒だ。ルーン嬢の側にいてあげて。何かあれば俺達に知らせて。」
「わかりました」
「今日のことはあんまり気にしないで。君が気にするとルーン嬢が落ち込むから。」
「レティシア様のことよくご存知なんですね」
「リオを通して長い付き合いだからね。」
グランド様に送ってもらいながらレティシア様とマール様の思い出話を聞かせていただきました。
私は強くなるためにお兄様に相談しようと決めました。
お兄様に伯爵であるお父様を説得していただきましょう。
残念ながら今から武術の授業は選べないので武術の先生方に訓練生にしていただけないか頼みにいきましょう。
私、交渉は得意です。
伯爵令嬢の手腕の見せ所です。
翌日、お顔を真っ赤にしてレティシア様が登校されたので、グランド様を呼びにいきました。
「セリア、リオが。心臓が…。」と赤面し目を潤ませてセリア様に相談されてからはマール様の送迎はなくなりました。
セリア様がマール様に物申したみたいです。
セリア様は社交は好まれませんが強いです。
私も見習わないといけません。
私はレティシア様との時間が帰ってきて嬉しいです。
これからは強くなれるようにがんばろうと思います。




