レティシア3年生 見守る会
ステラ視点
今日は私は見守る会のお茶会に来ております。
最近、レティシア様のマール様への態度が変わったので皆さま興奮されてます。
リール様が微笑んでいます。
「マール様がレティシアを大事にしていることは有名でしたが、とうとうレティシアが自覚しましたね」
「リール様?」
「私も傍で二人を見てましたのよ。レティシアは無自覚でしたけど、ずっとマール様を視線で追いかけてましたもの」
「どうゆうことですの!?」
ご令嬢の目がギラギラしてきました。
「レティシアは困ったことがあるとまずマール様を探すんですの。マール様を見つけると安心して笑うの。マール様はレティシアの様子に気付くとすぐに動かれますわ。レティシアは気付いてないですが」
「ルーン様があんまりマール様にはご自分から甘えに行くことは少ないですよね」
「レティシアが甘える前にマール様が甘やかしますからね。最近、いっそう表情が柔らかくなったマール様にレティシアは見惚れてますわ。忘れてましたが今日の差し入れはマール様からですわ」
マール様?
「ここって中々手に入らないお店のケーキですよね」
「恥ずかしがり屋のレティシアには内緒にしてほしいって。いつも暖かくレティシアを見守ってくれて感謝していると伝えてほしいですって」
「さすがマール様ですわ。もちろんこれからも邪魔はせずに見守りますわ。普段は冷たいのにルーン様が絡むとかわりますものね。」
レティシア様は知らないんです。
マール様がレティシア様以外には冷たい方ということを。
いつか冷たいマール様を見てお心を痛めないか心配です。
「エイミー様、ルメラ様は放っておいていいんですか?」
「彼女は言葉が通じませんわ。相手にするだけ無駄よ。男爵令嬢ごとき気にする価値もありません。嫌がらせなんて下賤なことをする者は私の周りにはいないはずよ」
リール様が冷笑を浮かべました。
レティシア様はリール様にはルメラ様の相手は大変と思っていますが、大丈夫そうですよ。
むしろレティシア様より頼もしく思えますわ。
「リール様やルーン様への無礼を見過ごすのですか?」
「ええ。マール様が動かないのはレティシアが止めてるからでしょう?」
リール様に視線を向けられました。
「はい。レティシア様は私達に関わらないことを望まれています。ルメラ様にはレティシア様ご自身が対応されています。私達には危険だから近寄らないでと」
「ルメラ様の取り巻きは殿方ばかりですから。手を出されたらかないませんわ。私やレティシアの名で関わることは禁じます」
この見守る会はレティシア様と同派閥の令嬢も多い。
派閥の筆頭はレティシア様ですが、上級生のエイミー・リール様がまとめてます。
その前はカトリーヌ・レート様がまとめていたそうです。
公爵家のリール様に逆らう者はこの場にはほとんどいません。
「せっかくの楽しい茶会がしらけてしまいましたね。なにか楽しいお話はないかしら」
「私ありますわ!!」
ブレア様が挙手されました。
「レティシア様がマール様との仲が深まってしばらくしてからです。いつもより表情が柔らかいレティシア様を愛でていましたの。そんなときにマール様が会いにきましたのよ。マール様を見つめて首を傾げるレティシア様は可愛いかったです。」
「あの時ですね。マール様はにっこり笑ったレティシア様を真剣に見つめてましたね。手を伸ばすレティシア様を抱き上げて保健室に行かれました」
「セリア様も気づきませんでしたね。レティシア様は熱があったみたいです。」
「マール様がレティシア様を抱き上げてしばらくすると眠られましたものね。眠るレティシア様を見るマール様の表情は柔らかくて、お二人一緒だと絵になりますわね。」
ブレア様とサリア様がうっとりと語られてます。
そんな光景でしたっけ?
あの時って、
セリア様とマール様が苦笑してレティシア様を見てましたが…。
セリア様も気づいてましたよ!?
ただレティシア様は言っても聞かないのでマール様にお任せしたみたいですが…。
マール様はレティシア様に何かを囁いて無理矢理抱き上げてましたよね。
セリア様が何かの香りをかがせてレティシア様は意識を飛ばされてましたが。
あのお二人が協力するなんて、初めて拝見しましたわ…。
余計なことを言ってはいけませんね。
ご令嬢達の目が輝いてます。
ここの皆様の想像力はすごいですわ。
このケーキ美味しい。
さすがマール様です。
今日はマール様とセリア様のレティシア様の取り合いの勝者はどちらかしら。
最近、お二人ばかりレティシア様とご一緒してずるいです。
レティシア様がお二人を特別に思っていることはわかりますが寂しいです。
「ステラは何かありませんか?」
ぼんやりしてましたわ。
「申し訳ありません。レティシア様のお話ならありますが、マール様関連は」
「構いませんよ。聞かせてくださいませ」
レティシア様個人のお話ですが…。
ここにはレティシア様のファンもいますのね。
「では、」
ルメラ様の取り巻きの殿方が婚約者ともめてましたの。
「俺はお前とは結婚できない」
「そんな」
「だから、お前から説得してほしい」
「あんまりですわ」
泣きそうなご令嬢と詰め寄る殿方にレティシア様が近づいていきました。
「お話中失礼しますわ。ご令嬢が怯えてますので、その手を離していただけますか」
「お前は…」
「はじめまして。レティシア・ルーンと申します。どなたか存じませんが、ご令嬢への礼儀がいかがなものかと」
「ルーン嬢、これは俺達の問題です。」
レティシア様が優雅に微笑みました。
「私は怯えている後輩を放っておけませんわ。まさか、自分本意なお願いを年下の婚約者にすることはありませんよね。」
「ルーン様」
「あなたに道理があると信じてますわ。彼女をお借りしても?」
「随分、噂と違うんだな」
「なんのことでしょうか。ただ私の言葉を覚えておいてくださいね。行きましょう」
ご令嬢を連れて移動しました。
ルーン公爵家のレティシア様に逆らえるのはごく少数の方々だけです。
男子生徒と離れたレティシア様はご令嬢を心配そうに見られました。
「大丈夫ですか?」
「ルーン様、私どうしたら」
「当主様に相談ですね。言葉が通じない方々は相手にするだけ無駄ですわ」
「私、がんばりましたの。それなのにあんな理不尽を」
「わかりますわ。捧げた時間を返してほしいですよね。」
「ルーン様?」
「失礼しました。大丈夫ですわ。もしつきまとわれたり困ったら生徒会に相談してください。きっと次は良いご縁に…。良ければどうぞ。」
「ルーン様、これは」
「素敵なご令嬢がいたら是非と招待状を預かってますの。怪しい夜会ではありませんわ。ご当主様の許可が出ればですが。素敵な出会いがあるかもしれませんわ。いらなかったら捨ててくださいね。」
優しく微笑むレティシア様にご令嬢の顔が明るくなりました。
「よろしいんですか!?」
「ご当主様と相談してください。これは先輩から後輩への贈り物です。ルーン公爵令嬢としてではありませんわ」
レティシア様はお優しい。
公爵家の命ではないから、好きにしてって。
しかもレティシア様が出席される社交は上位貴族ばかり。
ここで良縁を見つければ、勝ち組です。
「ありがとうございます。ルーン様」
「あなたの良縁を願ってますわ。ステラ、行きますよ」
私はレティシア様と一緒に後にしました。
レティシア様がカバンの中から数枚の招待状を出しました。
「ステラも行きたいなら好きなのをあげますよ。社交会に行くと是非またご友人も誘って来てくださいとたくさんいただきますの。あの子には初心者向けですわ。」
きっと、さきほどのご令嬢は婚約破棄をして、新しい婚約者を探すことを確信しましたわ。
ちゃんと彼女むけの招待状をレティシア様が選んだんですから。
リール様が微笑まれてます。
「レティシアと握手をすると良縁に恵まれるっていう噂の出処はそこですのね。」
「レティシア様から招待状を受けとったご令嬢が感謝を伝えに来たのがはじまりです。いつの間にかレティシア様のファンになられた方々もいますが」
「レティシアは、自分が誘われてることに気づかず招待状を配っていますのね。マール様がいらっしゃるのに諦めの悪い方が多いですわ。」
「レティシア様の魅力ゆえですわ。」
私はリール様もレティシア様に魅了された方だと知っていますわ。
リール様以外の皆様もレティシア様の話に穏やかな顔をされていますわ。
レティシア様はご自分が嫌われてると思ってますが違いますよ。
たくさんの方々に慕われてますよ。
いつか気づいてくださるといいのですが。
おまけ
リオ視点
シエルに呼ばれてシアの様子を見ると父上から贈られた異国の本を読んでいる。
連日夜明けから読んでいたらしい。
夜ふかしは叔母上に怒られるって、朝早く起きて読むって…。
セリアも飽きれてみている。
「シア」
呼んでも気づかないシアから本を取り上げる。
不思議そうに見てくるシア。
「リオ?読み終わったら貸しますよ」
「シア、保健室に行こうか」
シアの額を触る。やっぱり微熱が出てるな。
シアは熱中すると睡眠と食事をぬく。食べる量も極端に減る。
結果体調を崩す。ただ興奮しているから気づかない。
俺も時々やるけど、シアのほうが頻度が多い。
「熱あるだろ?」
「今日はだめです。午後の授業に出ないといけません」
「リオ様、レティは午後の武術の授業に出るまで休まないんですって。」
「成績をこれ以上落とすわけにはいきません。」
シアは武術の成績だけは平均なんだよな。
叔父上達も武術での好成績は求めてないけど。いや叔母上は別か。叔母上は武術だけは飛び抜けて成績が良かったって母上が言ってたよな。
シアは武術以外は成績優秀だけど。
「補講の手配はしてやる。先生に頼んで俺がみてもいい。」
「レティ、休んできなさい。」
「あとこの本預かるよ。シアの熱が下がったら返してやる」
「リオ!?早く読みたいからってひどいですわ」
「俺、この本読めないから。」
「伯父様も訳したら欲しいって」
「急ぎじゃないだろ。父上に伝えていいの?」
「駄目です。お母様に怒られます。熱が出るなんて修行がたりないって」
「休まないなら、シアから頼まれた本ほかのやつに譲るかな」
「嫌です。リオ兄様」
「どうする?」
今はしょんぼりしても譲らないよ。
シアが折れたな。
「ごめんなさい。リオ兄様」
しょんぼりしているシアの頭を撫でる。
保健室につれていくか。
微熱なら寝かせればすぐに下がるから俺の部屋でもいいか。
シアを抱き上げると、暴れだした。
セリアがシアの口にハンカチを当てると眠った。
「セリア?」
「弱い眠り薬です。この興奮したレティは寝ないでしょ?」
「確かにな。いや、俺寝かしつけられるから。シアを被験者にするな」
「レティのためです。リオ様、レティに手を出さないでくださいね。今日は譲ってさしあげます」
「いい加減やめろよ。」
「レティは嬉しそうですよ」
「発明に夢中のセリアが遊んでくれるってな。シアは俺に任せて研究してろよ。」
「まだまだ嫌がらせはやめません。」
セリアには言っても仕方がないよな。
シアを連れて俺の部屋に行くか。
保健室だと静かに眠ってるかわからないしな。
俺達の様子に目を輝かせている令嬢達は気にしない。
きっと後日見守る会のネタになってるんだろうな…。
たまには差し入れでもするかな。




