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追憶令嬢の徒然日記 小話  作者: 夕鈴


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おまけ 昼寝事件

セリア視点


いつも朝早く来ているレティが登校していなかった。

体調不良で休みかしら?

帰りに部屋に様子を見に行こうかな。

レティは体が強くないので突然休むことはよくあるから。

お昼休みにレティの食事を持ったシエルが現れるまでは、誰もレティの休みを気にしていなかった。


「セリア様、お嬢様はリオ様の所ですか?」

「レティ今日は休みじゃないの?」

「朝早くに登校されましたが」


シエルの言葉に空気が凍った。


「俺、訓練場見てくるよ」

「僕、リオ様の所に。シオン嬢はここにいて。」

「私、図書室に行ってきます」

「1年生の教室に」

「お嬢様の散歩コースを見てきます」

「私は寮を見てきます」

「音楽室に」


各々がレティの行きそうな場所に探しに行った。

レティ、行動範囲を把握されすぎよ。

止める間もなく皆が出ていったけど、スワン様が正解。

リオ様はレティの場所を把握できるように手を回している気がする。

レティが問題をおこすと必ず近くに現れるもの。

偶然にしては、出来すぎている。

リオ様も魔道具が作れるから、なにか仕掛けてあると思う。

ただリオ様が作った魔道具の魔法陣って記録にないものが多くて解明できないのよね。

リオ様はレティのためにしか作ってくれないもの。

相当手がこんでいる。リオ様がレティに贈っている魔道具や魔石を研究所に売れば屋敷が買える。

きっとレティは価値をわかっていない。

危機感皆無のレティに色々贈りたくなる気持ちはわかるけど。

私もレティに色々贈ってるからリオ様のことは強く言えないわ。


昼休みが終わるころに皆が戻り、最後にレティとグランド様が教室にきた。

やっぱりリオ様が見つけたわね。


「「レティシア様!!」」


ステラ様とハンナ様がレティに飛びついた。

後に倒れそうになるレティをグランド様が支えた。

泣いてる二人に戸惑いながら背中に手を回すレティ。


「ご無事でよかったです」


レティに、怪我はなさそう。

スワン様がグランド様に事情を聞いてるわ。


先生が来たので、ステラ様達がレティから離れて席についたわ。

カーチス様がレティの髪をグシャグシャにしたわ。

レティだけがこの状況についていけてない。

放課後、詳しく話さないとかな…。


レティはいつもと変わらずに授業を受けていた。

周りがレティの無事に安堵しているなんて全く気づいてない。

授業が終わったわね。


「レティ、昼間どこに行ってたの?」


レティが驚いた顔をしている。私が聞くとは思わなかったのかな。


「朝の散歩に出て、日向ぼっこしてたんです。そこから記憶が…。」


「一人で?」

「はい。」

「レティシア嬢、外で居眠りしたの?」

「眠るつもりはなかったんです。ただうっかり」

「レティシア様、もっと御身を大切にしてください。私、どれだけ心配したか」

「ステラ、お願い泣かないで。」

「レティシア、さすがに不用心だ。」

「木の上の方が良かったですか?」

「居眠りすることがよ!!木登りなんて危ないわよ」

「私、木登り覚えましたの。いつかセリアにも披露しますね」

「いらないわよ。レティが行方不明で皆心配したのよ!!わかってるの!?」


泣いてるステラ様やカーチス様達の様子をレティが見た。


「ごめんなさい」


しょんぼりしたレティに周りはため息をついた。


「レティシア様の御身になにかあれば私もあとをおいますわ」

「ステラ!?」

「私も!!」

「ハンナ!?」

「レティのうっかりが大変なことになるわね。エドワード様が学園の木を全部燃やすわね」

「まさか…。」


信じられない顔をしているけどエドワード様ならやるわよ。

重度のシスコンだもの。


「レティシア嬢、学園は安全とは言い切れないんだよ。武術ができても、力では男に敵わないでしょ?特にレティシア嬢は注意しなきゃいけない理由はわかるよね?」


レティがスワン様の言葉に頷いた。

魔法が使えないレティは私達以上に気をつけなきゃいけない。


「今回は運がよかっただけだよ。次も無事かはわからないよ。クラムのバカがその辺で居眠りするのと訳が違うんだよ」

「ニコル!?」

「クラムが攫われても誰も探さないけどレティシア嬢はそうはいかない。」

「さすがに探して、探してもらえるよな…。」

「クラム様?」

「レティ、カーチス様のことはどうでもいいの。ちゃんと反省して気をつけて。うっかりですまされることじゃないのよ」

「セリア、」


レティの目が虚ろになった。

たぶん色々言われすぎてわかってない気がする。

この状況についていけてないよね。

レティの容量こえたかな…。

どうしようかな。


「シア?」


リオ様が来たわね。

タイミングとしては、よくないわ。

レティは怒られると思って泣きそう顔でリオ様を見上げた。

駄目だわ。

リオ様はこのレティをきつくは叱れない。

やっぱり。

リオ様はレティを甘やかしはじめた。

俺が守るからって無理よ。

リオ様がそんなんだからレティの危機感が壊れてるのよ!?

リオ様を睨んでも全くやめる気はないらしい。

シエルの首が飛ぶとレティが暴走して泣き出した。

これはもう、駄目だわ。

リオ様は泣いたレティに敵わない。

抱き寄せて慰めるだけ。

きっと、レティが泣いたことが醜聞にならないように手を回す方法を考えてるわね。


翌日、レティに手を出した三人が停学処分になった。

この事件で怯えても気丈に振舞うルーン公爵令嬢に婚約者が余計に過保護になったと噂が広まった。

噂と令嬢フィルターの力ってすごいわ。

リオ様がレティの送迎をして独占してるだけなのに。


レティは翌日から普段通りに戻っていた。

これが気丈に振舞うルーン公爵令嬢ととらえられていた。

時々リオ様が甘やかす様子を見て、レティを慰めてるってどうしたらそう見えるのか不思議でたまらない。

ご令嬢たちの妄想力は凄いわ。

レティは一人の散歩が出来なくなって不服そうにしている様子を憂いの表情ととらえられている。

レティ、一人で自由気ままに動き周りたいタイプだけど大丈夫かしら。

今回はレティが悪いけど。

そのうちリオ様の過保護に息がつまらないといいけど。


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