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追憶令嬢の徒然日記 小話  作者: 夕鈴


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レティシア2年生 レティシアの勘違いの後始末

第77話 おまけです。

サイラス視点


不機嫌を隠さないリオが俺の部屋に来た。

これ読めと渡された本をみて固まる。

題名で固まり、内容を見て吐き気がした。

俺とリオとルーン嬢のモデルの話…。

どちらかというと、ルーン嬢よりもリオの方が悪役似合うんだけど。


「これどうしたの?」

「シアが俺達の邪魔をしないでって忠告されて渡されたみたい」


嫌な予感がする。


「もしかして、信じたの?」

「ルーン公爵に手紙を書くって」

「手紙?」

「俺達の婚約破棄の相談だろ」


まずい。この婚約はリオが望んだもの。

一度破棄された婚約が再び結ばれることはほとんどない。

しかもお互い公爵家。

破棄した翌日には縁談の申込みの嵐だよな。

破棄の手続きを進められてたらリオはもっと荒れてるよな。


「それで?」

「俺がグランド伯爵家潰すって言ったら、やめてって」


まじかよ。

そこで口説けば良かったんじゃないの?

リオも混乱してたのか。

公爵の判断には逆らえないって言えばおさまったのに。


「脅して内容のことを、有耶無耶にしたと」

「ああ」

「痴話喧嘩で俺の家を潰さないでくれる?」

「シアが俺の言葉信じないから」

「それ、いつも言ってるけど自業自得。お前らは話し合いが足りないんだよ。」

「それは」

「ルーン嬢はリオに好かれてるの気づいてないんだろ?」

「シアの中では優しい頼りになる従兄だから仕方ない」

「単なる小煩い保護者かもよ?」


呆然としてるな。

その顔は自覚あるみたいでよかったよ。


「うるさい」

「告白すれば?」

「もう婚約してるし大丈夫だろ?」

「本当にそう思ってんの?」


俺はお前がそんなことで満足するなんて思えないんだけど。

遠くを見てるな。


「好きって言っても一緒にいたいって言っても伝わらない」


「ルーン嬢の言葉に同調してるだけだろ?雰囲気作って自分から言ったことあるの?」

「それは…」


初恋こじらせてるよな。

全てにおいて自信満々な奴なのにな。


「余裕ないよな。もし彼女が他の男に口説かれたらどうするの?令嬢たちみたいに落とされるかもよ。免疫ないだろうし」


「害虫駆除してるから問題ない」


自信満々。確かに牽制すごいもんな。

学園内でお前らが婚約者って知らないやついるか怪しいもんな。

ただリオの片想いって噂もあるけど。

リオに嫉妬したやつらが流した噂だけど、事実なのが面白いよな。

リオへの当てつけにルーン嬢を落とそうとした奴を即行潰してたもんな。


「どうだろうな。もし誰かが先に告白したらどうするの?」


ルーン嬢優しいから、強引に迫られたら、対処できるかあやしいよな。

貴族じゃなくて平民相手だときつい対応は取れなそうだ。


「それはない」

「なんで?彼女人気だろ?」

「シアの手紙はシエルに管理させて、先に俺にまわさせてる。」

「お前、やりすぎだろ!?」

「もちろんルーン公爵家にも了承を得ている」

「それ、公爵じゃなくて、弟の方だろ?」


ルーン公爵令嬢の弟が姉を大事にしているのは有名な話だから。


「叔父上はもう諦めてるから好きにしなさいって。やるからには不満や怨恨に、シアが巻き込まれないようにしっかり手をまわせってさ。できないならシアに対処させろだってさ。」


直接会ったことないけど、公爵より弟のほうがつよいの?

他家のことだから気にするのはやめよう。


「ルーン嬢に対処させろって言われてるじゃん。」

「俺、ちゃんとシアに手を出さないように手を回してる。不満や怨恨なんて持たせないよ」


遠回しに自分で対処させるように言われてるのに。

すべての不満を抑えるのは無理だろうって忠告されてるだろ?

わかっててやってるんだろうな。


「お前、そうゆうことするからルーン嬢、自分が学園で嫌われてると思ってるんだろ?」

「違うよ。シアは小さい時に殿下に見初められたせいで令嬢達から嫌がらけ受けてたろ?嫌がらせの手紙に暴言、魔法攻撃、とかさ。子供相手にえげつなかったよ。そのせいで令嬢には嫌われてるって思い込んでるんだよ。しかも声をかけてくるのはシアを嫌う令嬢ばかりだから尚更な。」

「嫌がらせって手紙だけじゃなかったの?」

「俺も気づいたのは偶然。シアが焼き芋するのに燃やそうとした嫌がらせの手紙に魔法陣と魔石が仕込まれてて爆発しそうになって家人がルーン公爵に報告したらしい。近くに魔道士がいて結界貼ってくれたおかげでシアは無事だったけど。シアがその手紙を一人で開封したと思うとぞっとするよな。しかもこの爆発の話は俺が調べてわかったこと。シアは俺に手紙を燃やしたとしか話さなかったよ。その後からシアへの贈り物は安全確認してから本人の元に届けられるようになったけどな。」

「もしかして、嫌がらせってすぐに気づかなかったの?」

「セリアには話してたみたいだけど。俺もシアがうっかり口を滑らさなきゃわからなかった。数カ月は一人で対処してたみたいだな。しかも相手に報復しないから助長するばかり。頭のおかしい令嬢達は恐ろしいよ。兄上達と一緒に調べて驚いたよ。あまりの多さと、えげつなさに。シアが自分でなんとかしないとっていってたけど、教育に良くないから家で動いたけどな。」

「だから好意に鈍いと?」

「ああ。直接言われないとわからないだろうな。周りが優しいから構ってもらえてるって思ってるよ。」

「リオの溺愛も気づいてないんだね」

「全くな。俺の可愛いシアに余計なことを吹き込んだ団体はどうすればシアに近づかないと思う?」

「もう考えてあるんだろう?」

「俺の方はな。ただサイラスのファン達をどう対処するか」

「この件って主犯はリオのファンじゃないの?」

「お前のファンも含まれてる」


すでに調べたのか。動くの早いな。


「わかったよ。他人に干渉するのはよくないって伝えるよ。特に俺の友人と婚約者には関わるなってうまく伝えるよ」

「頼んだ。」


ファンクラブは令嬢達の娯楽。お互いに協力と牽制しあって好みの相手を鑑賞する会だ。リオとルーン嬢を見守る会の縮小版みたいなもの。容姿が優れてると大体設立される。

俺は今まで害がないから放っておいたけど、忠告かぁ。

会長誰だっけかな?まぁファンクラブは忠実ってことだから、素直に言うことを聞いてくれるかな。

会長の名前を確認しようとリール嬢に声をかけたら、事情を聞かれた。令嬢のことは令嬢に相談したほうが賢明か。

事情を話しおえると愛らしい笑顔で


「私の妹分にそんな無礼は許しませんわ。芸術は自由ですが人に強要すべきではありません」


選択を間違えたかもしれない。


「グランド様、これは私達に売られた喧嘩ですので、お任せください。もちろんレティシアに近づかないことも確約させますわ。」


やばいかな。男性に人気のリール嬢の笑顔に周りの奴らの恨めしい視線が突き刺さる。これそんないいもんじゃないよ。

逆らったらまずそうなのでお願いする。


いつもより少し遅めに登校してきたリオが面白そうに見ていた。

リオの顔を見るともう片付けてきたのかな。


「サイラス、穏便な方法選ばなかったんだな」

「俺、なんでリール嬢が怒ったかわかんないんだけど」

「リール嬢は俺達を見守る会の幹部だから」

「納得。お前は終わったの?」

「もちろん」


良い笑顔だな。えげつないことしてきたのかな。

いつの間にかリオが廊下に向かっていった。

納得。気づくの早いよな。ルーン嬢が驚いてる。


「シア!!」

「リオ!?」


逃げられないのに明らかに安心した顔したよな。

令嬢達の忠告よりもリオの言葉を信じてくれたみたいだな。

信じてたら徹底的に避けまくりそうだもんな。

ルーン嬢にだけは優しい顔をみせるよな。令嬢達の顔が赤くなってるのなんてどうでもいいんだろうな。


「おはよう。どうした?」


ルーン嬢がリオをじっと見て、満足そうに微笑んだ。

「おはようございます。いえ。なんでもありません。失礼しますわ」

「送るよ」

「授業に遅れるので大丈夫ですわ。」


ルーン嬢が颯爽と去っていった。


「その、にやけた顔は隠さなくて平気なの?」

「サイラス!?」

「会いに来てくれて良かったな。」

「シアが可愛くておかしくなりそう」

「お前は十分おかしいから今更だ」


朝からルーン嬢が会いにきてくれて良かったな。

自分がリオの邪魔とか婚約破棄とかリオの心を乱したあとにしっかりフォローするからさすがだよな。

ルーン嬢はもしかしたら男心をくすぐる才能があるのかもしれないな。


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