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追憶令嬢の徒然日記 小話  作者: 夕鈴


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レティシア2年生 レティシアとエイベル

76話と77話の時間軸のお話。

エイベル視点


「エイベル、失礼しますわ。これ出ませんか!?」

「お前、先触れを出せ。立場を考えろ」


突然、入ってきたレティシアに頭を抱える。

お前と俺が二人でいる状況ってマールに見つかったらまずい。

レティシアから差し出された「狩りを覚えよう」と書いてある紙を受け取る。


「平民向けのイベントですって。不定期で開催されるらしいです。ロンに教えて貰い調べましたの。二人一組が参加条件ですって!!」


興奮してんな。

ターナー伯爵家で馬の世話を教えてもらった時もこんな感じだったよな。

やりたいことを見つけると態度が急に変わるんだよな。


「ルーン公爵家の許可は?」

「無理ですから頼みにきたんです。私、動物のさばき方を覚えたいんです。エイベルも覚えたいでしょ?」

「マールと行けよ」

「リオは駄目です。絶対にさばかせてくれません。これに参加することじたい許してくれませんわ」

「なら、俺も行かない」

「なら、ロンを誘おうかな。でも護衛の面を考えると不安なんですよね。私に、なにかあればシエルの首が飛びそうですし。」


「シエルと行けば?」

「シエルも許可をくれません。セリアに、アリバイ工作を頼みますわ。」

「そんなに反対されてるなら諦めろよ。」

「エイベルだって必要でしょ?遭難したときに動物をさばけなかったら困ります。」


遭難って…。

ルーン公爵令嬢か遭難するってどんな状況だよ。

もしお前が遭難したら、マールとお前の弟がすぐに探しに行くと思うけど。


「こんなイベントに行かなくても狩りに行けばいいだろ?」

「ルーン公爵令嬢を狩りに連れていってくれる方はこのあたりにはいません。唯一許してくれそうなターナー伯爵家の皆様は遠すぎます…。」


お前が必死に頼めばマールが連れていくって。


「マールに頼めよ」

「無理です。リオは忙しいんです。なにより、リオは私にさばかせてくれません。」


お前が、頼めばやらせると思うけど。


「俺も暇じゃない。」

「ならいいですわ。ロンを誘いますわ。失礼しました」


ロン?

俺が名前を知らないってことは弱いやつだろ。

これは絶対に止まらないよな。

仕方ないか。

レティシアを一人で行かせるよりマシか。

一応、影から護衛をつけるか。伯父上にもレティシアのこと頼まれてるしな。


「待て、わかったよ。一緒に行くから俺の言う事聞けよ。側を離れないって約束できるか?」

「もちろんですわ!ありがとうございます」


この満面の笑み、ほかの奴らに見られたらまずいよな。

勘違いする奴ら出てきそうだ。

外だと令嬢らしい顔してるもんな。品行方正、麗しのルーン公爵令嬢がこんお転婆だとは、誰も思わないよな。

翌日レティシアの我儘に付き合って学園を出た門で待ち合わせをする。

馬車にのりこむと着替えを渡された。


「借りてきました。大事にしてくださいね。洗濯は私がするので終わったら返してもらいますわ」


あぁ。納得。平民の服か。

は?


「待て、何してる?」

「着替えようかと」

「お前さ異性の前で着替えるのは淑女としてどうなの?」

「エイベルですし。外で着替えたほうがいいですか?」


馬車を止めさせる。

マールきちんと教育しろよ。


「俺が外に出るから絶対に馬車から降りるなよ。着替えたら声かけろ」


レティシアの返事を待たずに馬車を降りる。

馬車の陰で着替えをすます。

レティシアが着替えが終わったと言うので馬車に乗り込む。

着替えても平民には見えないよな。

目的地の近くで馬車をおりる。あとで迎えにくるように御者に命じる。


集合場所に行くと平民と猟師が何人かいた。

やっぱり浮いてるよな。身分を隠すのは諦めて貴族のお遊びと思わせとけばいいだろう。

狩りをして、さばき方を見学する。

へえ。こんなさばき方もあるんだな。

俺は自分の分をさっさとさばいて隣をみると、危なっかしい手付きに驚いた。

お前、鳥をさばいてたよな?ウサギはなんでそんなにへたなの?

レティシアは昔から途中で手を出されるのを嫌がるので、見守る。マールがさせない理由がわかった。これ危ない。こいつに過保護なマールは耐えられない。



なんとかさばけたみたいだな。

その場で焼いて食べて残りは持ち帰れというので、近くにいた子供に渡す。俺達には必要ないから。


馬車で着替えてから、学園を目指す。

レティシアは、うさぎをさばいたことに興奮していた。自分でやれたのが、嬉しかったみたいだな。素直に喜んでるの珍しいな。

学園に入る前に興奮を、おさめさせてたらうっかりしていた。

レティシアと一緒に門を通ると最悪だ。

別々で帰ればよかった。

今、一番会いたくなかった相手が門の側で待っていた。



「おかえり」

「あら?リオ、どうされましたの?もう、帰りましたの?」


マール、今日は外出予定だったのか。

レティシアなりにマールにばれないようにしてたのか。



「報告だけだからすぐ終わったよ。外出届けをだしてどこに行ってた?」


外出届け、俺が処理したのになんで知ってんの?

レティシアが令嬢モードの笑顔を浮かべた。

動揺してんのばれてるよ。


「気分転換ですわ」

「なんで、ビアードと?」

「さすがに一人で出かけるのは危ないので。」

「婚約者がいるのに二人で出かけるのはよくないよな?」

「リオ、忙しいから」

「そうか。叔父上から外出許可もらってきたけど、残念だな。明日はお前の好きなサーカスを観に連れて行こうとしてたけど。」

「リオ!?」

「俺、忙しいから行けないみたいだな。チケット誰に譲るかな。」


レティシアがマールの腕に縋り付く。


「軽率でした。ごめんなさい。リオ兄様。」

「じゃあ、シアゆっくり休めよ。気分転換できたんだろ?」

「リオ兄様、連れてってくださいませ。お願いします」


マール、遊んでんな。俺に見せつけなくてもいいからさっさとこの茶番終わらせてくれない?


「シア、ビアードと何してたの?」

「お散歩です」

「へえ…」

「リオ、もういいでしょ?エイベルのことは気にしないでください。明日のためにお仕事しましょう?手伝いますわ。明日は構ってくれるんですよね?ね?ちゃんと約束守ってリオの側を離れないから連れてってください。リオとお出かけしたいです。お願いします。」

「あざとい。」

「やっぱりお忙しいですか…?」

「わかったよ。仕方ないな。お茶入れてくれる?」

「もちろんですわ。リオ兄様のためなら何でもしますわ!!」


マール、お前それでいいの?

必死にマールに縋り付くレティシアに機嫌がよくなったみたいだけど。

俺は二人を見送って寮に戻った。

俺の見解は甘かった。


寮の部屋にマールが訪ねてきた。

今日の詳細を聞かれたので話すと珍しく謝られた。


「悪い。世話をかけた。」

「珍しいな。お前が謝るの」

「お礼に手合わせ付き合うよ。たまには先輩として見てやるよ。」

「遠慮する」


結局手合わせをして、負けた。

こいつなんでこんなに強いんだろうか。

いつもより、えげつなくなかったからそんなに怒っていないのか?

こいつが俺に手合わせを頼む時って大体レティシア絡みだよな…。

レティシアとは町へは二人で行くなと釘を刺された。

言う事を聞かない時はマールに報告か。

お前、なんであんなお転婆娘を囲もうとしてんの?

ここまで婚約者を束縛するやつも珍しいよな。

レティシア、お前厄介な男に好かれてる自覚あんの?

全くないだろうな。レティシアはマールに執着されてることにさえ気づいてないだろうし。あいつ大丈夫なんだろうか…。



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