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追憶令嬢の徒然日記 小話  作者: 夕鈴


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レティシア2年生 体調不良

サイラス視点


朝からリオの様子がおかしい。

なぜか殺気をまとっている。話しかけても生返事。

友人にリオをなんとかしろって懇願されてるけど、俺には無理だ。

リオが言葉を耳に傾ける人物なんてただ一人だけ。


昼休みにルーン孃のもとを訪ねる。

シオン嬢達と食事をしている彼女に声をかける。


「ルーン孃」

「グランド様、どうされました?」

「リオと何かあった?」

「いえ、とくに思いあたることはないと思いますが」

「レティ、またやらかしたの?」

「わかりません」

「リオの様子がおかしいから見てくれる?」

「レティ、行ってみなさいよ。呼びにくるなんてよっぽどよ」

「わかりました。シエル、ここの片付けお願いしますね」


ルーン孃を連れて教室にいく。

ドアからルーン孃がリオの様子をじっと見ている。

「グランド様、リオと喧嘩してます?」

「してない。朝からあんな感じ」


ルーン孃が、リオの側にいきリオを見つめてる。


「リオ?」

「シアが見える。」

「リオ兄様?」


ルーン嬢が不思議そうに見つめている。

リオが立ち上がりルーン孃を抱きしめた。


「俺のシアが可愛い」


ルーン孃が固まって、少しすると復活して背伸びをして、リオの顔に手を当てている。


「グランド様、熱あります」

「なんで、サイラスを」


ルーン孃の視線が俺に向いたのでリオが殺気を飛ばしてくる。

具合悪かったの?


「リオ、保健室行きましょう」

「シア、大丈夫?」


リオが心配そうにルーン孃を見ている。

なんで調子悪いのに、顔色変わんないの?


「リオがです。お薬もらってお休みましょう」

「必要ない」

「グランド様、気絶させてください。駄目です。ちゃんと判断できないみたいです。」


聞き間違えかな。気絶させるって言った気がするけど。


「ルーン孃?」

「シア、サイラスなんて放っておいて」

「リオ、体調崩すと言うこと聞かないんです。伯母様は魔法で眠らせてる間に治療してました」


伯母様ってマール公爵夫人・・?

リオがよく物理で解決するのってマール公爵夫人の影響?


「無理。」

「エイベルよんできてください。風魔法を頼みます」


ルーン嬢と話している俺への殺気が痛い。ビアードなんてつれてきたら大惨事がおこるよ。


「校則違反だから。ルーン孃が必死に頼めば言うこと聞いてくれるからがんばって」


「リオ、すぐ戻ってきますので離してくださいませ」

「嫌」


ルーン孃がリオから離れようともがいてる。


「ルーン嬢、諦めて説得して」


ルーン孃がため息をついた。


「リオ、最近忙しかったからお休みしましょう。ね?」

「大丈夫だから心配しないで」


微笑みながらルーン嬢の髪をなでる様子にため息がでる。

きっと欲望に忠実に動いてるんだよな。

リオを動かすには、


「リオ、ルーン孃が離れ離れで寂しかったから一緒に休んでほしいって」


リオが嬉しそうに見つめてる。


「シア、寂しい?」


ルーン嬢頑張って。俺の視線に気づいたから平気かな。

彼女、社交は優秀らしいから意図さえ伝わればうまくやってくれるといいんだけど。


「え?、うん、寂しいです。午後の授業はお休みして一緒にいてください。駄目ですか?」

「シアの頼みなら叶えるよ」

「ありがとうございます。保健室行きましょう?」

「なんで?」


リオは自分が具合の悪い自覚ないんだよ。


「あ、えっと、リオの部屋に行きましょう。お茶をいれさせてください」

「うん。わかった」


満足そうな笑みを浮かべたリオと不安そうに俺を見るルーン孃の視線に負けて、リオ達と一緒に移動する。

ルーン孃がリオの侍従に色々命じている。

ルーン孃が侍従から何かを受け取りリオにお茶を飲ませたらすぐにリオは眠った。

俺の訝し気な視線を感じて彼女は笑った。


「薬湯と眠り薬を少々ですわ」

「ルーン孃なんで、そんなの持ってるの?」

「伯母様から預かってるそうですよ。先程受け取りましたわ。リオ、数年に一回体調崩すんです。起きたら治ってると思いますわ。」


侍従がリオに毛布をかけている。


「グランド様、あとはお任せしてもいいですか?」

「え?」

「起きても具合が悪そうなら、保健室に運んでください。」

「ルーン孃、行くの?」

「ええ。グランド様がいるほうが安心ですわ。私は失礼しますね」

「起きた時に、君が側にいてあげたほうがいいと思うけど」

「私は魔法も使えませんし、力もありません。なにもできませんわ」


そうゆう意味じゃないんだけど。


「ごめん。次の授業さぼれないからリオについててあげてくれる?」

「わかりましたわ」


俺の嘘を信じたルーン嬢が了承してくれた。

ルーン嬢は午後の授業平気なのかな。まぁだめならリオがなんとかするか。

俺はリオの邪魔をしないように部屋を後にした。

翌朝、リオはいつものリオに戻っていた。

ルーン孃に怒られたと締まりのない顔で話していた。

おまけ


レティシア視点


グランド様が部屋を出ていきました。

侍従に聞きます。


「リオは寝不足ですか?」


頷きました。この方は寡黙なんですよね。

お話してるの見た事ないです。


「リオと半刻ほど二人にしていただけますか?」


静かに頷き立ち去っていきました。

口が固くて命令に忠実で邪魔にならないからって彼を選んで学園に連れてきたみたいです。


リオに体力回復の治癒魔法をかける。

薬湯を飲んでるので熱は下がるはずです。




リオの机にある書類の山を見上げる。

私が目を通してはいけないものはこんな所におかない。

リオの椅子に座って、ペンを進める。

私、筆跡真似るの得意なんです。

言ってくれれば手伝いましたのに。

リオ、いくつか貴方の仕事じゃないもの混ざってますよ。

仕事をふってる殿下に一言物申さなければいけませんかね。

今回は仕方ないから終わらせます。


「シア?」


呼ばれた声に顔をあげると目の前にリオがいます。

立ち上がって、リオの体を触ります。もう大丈夫ですね。


「リオ、仕事しすぎです。私、殿下に一言申し上げますわ」

「は?」

「今日はゆっくり休んでください。失礼しますわ」


いつの間にか腕を掴まれてます。


「これは俺が了承していることだ。殿下には関わらなくていい」

「限度がありますわ」

「レティシア、俺にも事情があるんだよ。殿下と関わりたくないんだろ」

「リオが体調を崩すなんてよっぽどですわよ。こんなの許せませんわ」

「久々にやったか。ごめん。気をつけるよ。確かに最近忙しかったから」

「言ってくれれば手伝います」

「今まで一人でやってたから平気だよ」

「怒りますよ」

「シアが怒るなんて、珍しいな」

「伯父様に言いつけますわ。」

「父上か…。」

「カナ兄様達にも手紙を書きます」

「ごめん。わかった。ちゃんと寝るし、無理なら頼むよ」

「約束ですか?」

「ああ、約束する」

「わかりました。今日はゆっくり休んでください。失礼しますわ」


もうできる仕事は片付けました。ここにいては邪魔になります。


「シア、送る」

「必要ありません」

「駄目。もう暗い。」


窓の外は真っ暗。集中しすぎましたわ。

シエル、心配してるかなぁ。

こんなに暗いなら一人で帰してはもらえませんね。

仕方ないので病み上がりのリオと一緒に帰りました。


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