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追憶令嬢の徒然日記 小話  作者: 夕鈴


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レティシア1年生 お守り

61話の後日のお話です。


リオ視点


俺の部屋で魔導書を読んでいるシアが顔をあげた。

友人から貴重な魔導書が手に入ったと聞いたので借りて、シアを誘うと喜んで読み始めた。

読み終わったのか?



「リオ、どうすれば人気がでるんでしょうか?」

「は?」


書類を書いていた手を止める。


「リオは自分の人気についてどう思いますか?」

「は?」

「参考までに」

「興味ない。」

「嬉しい?」

「全く」

「どうしてですか?」

「俺に得なことある?」


シアが目を閉じて考えこんでいるな。

思いついたみたいだな。


「味方が増えます!!」

「人気があるからといって味方が増えるとは限らない。」


シアがきょとんとしてる。


「リオのファンの方々はリオの味方では?」

「無関係の人間だ。味方じゃないよ。」


シアにはそのあたりは難しいかな。

ファンなんて理想を押し付けてくるだけ。

好意を受け取ってもらえて当然と思ってるおめでたい令嬢達。

令嬢達を敵にまわすと厄介だしシアに手を出される可能性もあるから適当にあしらってる。

俺の手落ちでシアを危険な目に合わせたことがあるから尚更。

味方を増やす相談をしたいのか。

俺はシアにはこれ以上は人気が出てほしくないんだけど・・。

絶対にシアには言えないけど。



「複雑ですわね。人気があっても味方は増えないんですね・・・。贈り物や美味しいお菓子がもらえる?」

「お返しが面倒。なにが仕込まれてるかわからないから受け取らない。関わる気もない」

「え?チョコケーキも?」

「ああ。」


気不味そうな顔をしてるけど、なんで?


「贈り物は迷惑ですか?」

「ああ」

「そうですか。迷惑…。わかりましたわ」


シアが困った顔でため息をついて考えこんでるけど、なんで?

贈り物の話題あたりから表情がかわったけど。・・・もう少しで武術大会か。令嬢達になにか言われたかな。納得。

本当にシアは俺のことわかってないよな。


「シア、もう少しで武術大会だな。訓練はどう?」

「クラム様達と解放日に訓練してますわ。リオはやっぱり強制参加ですか?」

「ほぼな。力試しに個人戦だけな。クラム達はもう少し鍛えてやるか。ニコルに覚えさせたい魔法の追加は書き出しといて」


シアが目を大きくあけて驚いてる。

俺の前だとすぐ顔にでるから可愛いよな。


「リオ、また訓練付き合ってくれるんですか!?」

「ああ。後輩を鍛えるのは先輩のつとめだからな」


武術大会への参加は止められないからシアの危険が少しでも回避されるように二人をもっと鍛えるか。

一度訓練に付き合ったけど、大会までにもう少し鍛えたいな。


「相変わらずリオは優しいですね。」


俺を優しいというのはシアだけだ。

シアの頭を撫でる。頭を撫でられるの好きだよな。

無防備にふんわり笑うシアが可愛い。他のやつには絶対に見せたくない。


「可愛いシアのためだからな。」

「私を可愛いって言うのはリオだけですわ。リオにはお世話になってばかりですね。」

「好きでやってるから気にするな。俺はシアからの贈り物だけは嬉しいよ。ポケットに入れてるのは俺にくれるの?」


シアが固まった。話してる最中にポケットに手を入れたり出したりしてたよな。


「いえ、えっと」


シアがポケットをおさえてる。


「俺の勘違い?」


「リオに隠し事はできませんわ。お守りです。ただ迷惑ですよね」


シアが苦笑しながら小さい青色のお守り袋をとりだす。

袋も自分で縫ったんだろうな。


「嬉しいよ。ありがとな」


「無理してない?」

「してない。」


シアからお守り袋を受け取る。中には小さい魔石が。

大会の規定に引っかからないように作ってくれたんだな。純度が高い。青い魔石はシアの瞳とそっくり。

シアから魔石を贈られるのは初めてだ。それにシアの魔石を持ってるのは俺だけ。まずいな。顔がにやけそう。

シアに見られてるな。俺が嫌がってないか見てるんだろうな。


「シア、凄く嬉しい。全部作ったんだろ?」

「はい。迷惑にならないならよかったです」

「俺はシアから貰えるものは嬉しいよ。」

「リオは身内に甘いですわね。」


俺が甘いのはお前だけなんだけど…。

伝わらないよな。


「俺はレティシアが大切だからな。」

「ありがとうございます。」


伝わってないよな。


「俺はシアからの贈り物だけは嬉しいって覚えておいて。」

「よくわかりませんがわかりましたわ。」


そろそろ遅くなるから帰らないとだな。

シアと二人でゆっくりするの久々だな。

シアが学園に入学してから顔をみる機会が増えたけど、昔が懐かしいな。

毎週、俺の部屋で過ごしていた日々が恋しい。

あの頃はあの時間の尊さなんて気づかなかった。

シアの世界がほぼ俺だけだった頃が夢のようだ。

きっとこれからもシアの周りには人が増えていくんだよな。



不思議そうな顔をしているシアを抱き寄せる。

安心して俺の胸に顔を預けるシアに複雑だ。

先は長いけど、いつか俺をえらんでくれればいいのにな。他のやつに渡す気なんてないけど。


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