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レティシア5歳 シエルの戸惑い

侍女シエル視点


私はルーン公爵家のレティシア様にお仕えしています。

お嬢様はある朝突然号泣をされてから変わられました。


今までは趣味は読書とお茶。

起きてる時間はほとんど令嬢教育です。

奥様の命通りに日課を静かにこなしていたお嬢様が突然マール公爵邸に訪問したいと申されました。

先触れもなく訪問予定もないのに突然の訪問は非常識なことです。

ただマール公爵夫人は奥様のお姉様なので多少の無礼は目を瞑ってくれるでしょう。

旦那様と奥様は外出されています。

こんな必死にお願いするお嬢様ははじめてです。

私はお嬢様の初めてのお願いを叶えてさしあげたいです。


執事長に相談しにいくと執事長も驚いていました。


「執事長、相談が」

「シエル、お嬢様になにかありましたか」

「お嬢様が本日マール公爵邸を訪問されたいと」

「お嬢様が?」

「はい。必死にお願いされるのでできれば叶えてさしあげたいのですが」

「あのお嬢様が」


執事長も混乱しているんでしょうか。

「はい。」


執事長が笑いだしました。

「旦那様が悔しがりますね。お嬢様のお願いはなんとしても叶えないといけませんね。マール公爵に確認しましょう。後は私が引き受けますよ。結果は後で誰かに言付けさせましょう。仕事に戻りなさい。」



執事長は旦那様にルーン公爵邸を任されています。

旦那様とは幼馴染です。

マール公爵家へ手紙を早馬で出してくれました。

執事長、早馬ですか!?

執事長もお嬢様の初めてのお願いに興奮してるようです。執事長はマール公爵とも顔見知りなので任せておけば大丈夫です。

旦那様と奥様にも執事長が報告してくれるそうです。

お嬢様は私達使用人の宝ですもの。

お嬢様の願いをかなえるのは使用人として当然ですよね。


しばらくするとマール公爵より歓迎すると早馬で返事がきたそうです。

もしかしてマール公爵もお嬢様の初めてのお願いに興奮されてるんでしょうか。

お嬢様の部屋に戻るとお嬢様がいません。

書庫かしら?

丁度、お嬢様が戻られましたね。

厨房に行ってきたんですか!?お一人で!?

めまいがしました。

人形のように可愛らしいお嬢様は使用人たちに人気です。

様子をみると戸惑う様子はないので大丈夫だったみたいですね。

料理長がお嬢様を抱きつぶさなくてよかったですわ。


お嬢様に訪問できることを伝えると目を輝かせて喜ばれました。

今日のお嬢様は少し様子がおかしいですね。

失礼ながら、普通の子供みたいです。普段は穏やかに微笑まれるだけですから。

どんなお嬢様でも私はお仕えすることには変わりありません。

支度を整え、お嬢様を馬車まで見送ります。

付添は不要とのことです。

マール公爵邸にも使用人はいますので、私はお嬢様のお帰りをお待ちしましょう。


その夜、お嬢様は帰ってきませんでした。

マール公爵夫人の手紙を読んだ旦那様が眉間に皺を寄せてました。

執事長が旦那様に初めてのお嬢様のおねだりの話をすると唖然としておりました。

執事長が言うにはお嬢様は旦那様にお願いや我儘を言わないので悔しがってたそうです。

お願いする可愛いお嬢様を見たかったみたいです。



翌日お嬢様はマール公爵夫人と帰宅されました。

マール公爵夫人は執事長と旦那様と奥様と話があると場所を移動されました。

時々、お茶をお運びしましたが私は中の光景に固まりそうになりました。

ルーン公爵夫妻が叱られております。執事長が時々言葉を添えると余計にマール公爵夫人の目が鋭くなりました。お嬢様の教育方針について話し合っているようです。

お嬢様のためにありがたいのですが・・。マール公爵夫人は恐ろしい方ということがわかりました。

逆らわないようにしましょう。


翌日よりお嬢様のスケジュールが組み直されました。

週に1回のマール公爵邸訪問ってなんですか?使用人風情が気にしてはいけません。


お嬢様の初めてのお願いからお嬢様は変わられました。

好奇心旺盛といいますか、なんでもできるようになりたいと。

お嬢様のお願いに振り回される日々になりましたが、本望ですわ。

昔のおしとやかなお嬢様も可愛らしかったですが今の瞳を輝かせるお嬢様も格別です。

今日もお嬢様の笑顔が曇らないようにお仕えしましょう。

最近、お嬢様は使用人とも仲良くなりました。

お嬢様はお優しいので使用人の無礼を気にしません。

その点は私がしっかりしないといけませんね。



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