魔法か根性か
開始と同時にラックが宗助に向かって殴り掛かった。
ラック「うおりゃ!」
キン!
突然、宗助が右手を出し、氷の盾らしき物を出現させ、ラックの攻撃を防いだ。
ラック「い!?てめぇ炎だけじゃないのか!?」
ガニア「?」
宗助「悪いな、説明する暇無いから、とっとと終わらせてもらうぞ。」
そう言うと宗助は左手に黄色の魔方陣を出し、バチバチと音を立て、電撃らしき物を繰り出そうとした。
ラック「ま、まずい!」
ラックはとっさに左に避けようとしたが、宗助は構わず人差し指から電気を出した。
宗助「電気絶!」
バシュン!
電撃はラックの右腕に刺すように当たり、全身に電撃が通った。
ラック「グワァァァ!!」
コル「兄さん!」
村長•村人達「!!」
ラックは電撃を喰らい、膝から崩れそうになったが歯を食いしばり、何とか踏み込んで堪えた。
宗助「へぇ、大抵の奴ならすぐ倒れるのに...」
ラック「畜生!やりやがったなてめぇ!」
村長「もしや、彼奴....」
ラックはそのまま駆け出し、また殴ろうとしたが、宗助が今度は土色の魔方陣を右手に出し、それをラックの前に出した。
ラック「!?」
宗助「目潰砂」
ザッ!
宗助が唱えると突然、大量の砂粒がラックの目に当たった。
ラック「うわ!目、目が!目が!」
ラックは砂のせいで目をやられ、前が見えなくなり、後ろに下がる所を、宗助が走って来た。
宗助(このまま、強風で腹を貫通させ、気絶させるか...)
宗助が右手を握り、緑色の魔方陣を出し、ラックの腹目掛けて殴ろうとした。
シュッ
宗助「!?」
突然ラックがしゃがみ、そのまま回し蹴りをし、見事宗助の足に当たり、宗助が後ろに倒れた。
ドサッ!
宗助「グッ!」
村人「おー!やった!」
コル「ふぅ...」
アラン「宗助さん!」
ラックが目を擦りながら立ち上がり、宗助に近づいた。
ラック「ハァ...ハァ...やっと、見えてきた...!やっぱりお前が見えない俺に向かってに来やがったな!」
ラックは宗助を両手で胸ぐらを掴み、頭を近づけさせた。
宗助「な、何をする!?」
ラック「さっきのお返しだ!」
ガツンッ!
ラックは宗助の頭目掛けて、思いっきり頭突きをした。
宗助は頭をやられ、視界が一瞬真っ白になって、額から血を流した。
宗助「ガハッ!」
ラック「まだまだ!」
ドスッ!
更にラックは、宗助の腹目掛けて殴った。宗助は腹を殴られ、唾液や胃液が混じった物が口から出て来た。
宗助「うぐわぁ....」
ラパン「宗助さん!」
宗助「...クソッ!」
ビシューン!
宗助は大きな緑色の魔法陣で風を起こし、ラックから吹き飛ばした。しかし、先程のダメージがあり、宗助は頭と腹を抑えられずには居られなかった。
ラック「トドメだ!」
バコンッ!
そしてラックは宗助が抑えてる隙に、顔目掛けて殴った。
宗助「グハッ.....!」
ドサッ!
宗助は殴られたショックで、目の前が真っ暗になり、鼻血を流したまま、仰向けに倒れてしまった。
ラック「ハァ...ハァ...。良し!勝った!」
村人達「おぉぉぉぉ!」
村人1「うおー!旅人が倒れたぞ!ラックが勝った!」
村人2「さすがラックだ!」
カナン「ま、まじかよ...」
アラン「宗助さん!」
ラパン「う、嘘でしょ...」
村人達やアラン達の声が飛び交う中、ラックは頭から血を流しながら腕を上げ、言わゆるガッツポーズをした。
コル「に、兄さん!血が!」
ラック「おー、コル!大丈夫だこれくらい!」
コル「全く兄さんは...。勝つためだからって、自分の体を自分で傷つけないでよ。」
ラック「ニシシッ!でも勝ったぜ!」
ユラッ...
ラックが自慢気にコルと話してると、後ろで宗助が起き上がった。
コル「に、に、兄さん!後ろ後ろ!」
ラック「な!?こいつまだやる気か!?」
宗助「......」
宗助は黙ったままだが、明らかに魔法陣が両手から出現し、それぞれ緑と黄に光っていた。そしてその両腕からは少しながらオーラらしき物が漂っていた。
アラン「そ、宗助さん...?」
ラパン「な、何!?魔力がどんどん上がってる!!こんなの今まで無かったのに...!?」
ラパンの“探知視力”には、宗助の両手から、凄まじい勢いで、魔力が上昇していた。
ラック「何だ!?来るならさっさと来やがれ!!」
ラックが怒鳴ると、宗助がラックをギロリと睨み、小さく唱えた。
宗助「...爆嵐...」
ドシューン!!!
それと同時に、風と雷が合わさった物がラックに真っ直ぐ突っ込み、巨大な爆風を起こして、ラックはそのまま吹き飛んでしまった。