兄の決闘
モーニグ村....
村の広場には、ラック達が決闘すると聞いて、見物に来る村人で一杯だった。ラックは家で決闘に備え、準備をしていた。
ラック(えーと...戦うためのバンダナとお守りと、あと武器は...まぁ良い、素手でいいかな。)
ラックは黙々と準備をしていたが、そんなラックを心配し、コルが話し掛けた。
コル「兄さん、本当にあの人と戦うの?何か嫌な予感がするんだけど...」
ラック「大丈夫だコル!俺はこの村では一番喧嘩強いの知ってるだろ?だから絶対負けねぇよ!」
ラックは自信満々に言ったが、それがコルを余計に心配させた。
コル「でも兄さん、あの人魔法が使えるんだよ。魔法相手に素手は無理だよ。今ならまだ間に合うから、今回は出て行って貰おうよ。」
コルは提案したが、ラックにそんな気は無かった。ラックは自分達の自立を邪魔した宗助とケリを付けたかった。
?「準備出来たラック?」
ラック「あ!母ちゃん!いつでも行けるぜ!」
部屋に入ってきた長い赤髪の女性はラック達の母“パレス•リベルダー”(因みに父の名はウィル•リベルダー)
パレス「よし!じゃあいってらっしゃい!」
コル「母さん、そんなこと言わないで止めてよ!僕やっぱり兄さんを戦わせるのは嫌だよ!」
コルはパレスにそう言ったが、パレスはコルの頭を撫で、言った。
パレス「ラックを心配しているのね。でも大丈夫、あの子はそう簡単に負けないわ。だから一度は信じてみたら?それに、ああなったラックを止めれる人なんて、今まで居た?」
そう聞くとコルはラックの方を振り向き、やる気満々のラックを見て、あぁこれは駄目だと悟った。
コル「ハァ...分かったよ母さん。でももし、兄さんが危なくなったら止めてくれるように、村長に約束して貰ってもいい?」
パレス「分かったわ。じゃ先に広場に行って、村長に聞いてみるから、早く来なさいよ。」
ラック「うん!分かったぜ!」
コル「ありがとう母さん。」
そう言うとパレスは家を出た。そしてラックも早く行こうと準備を終えようとする為に、戦う用のグローブを取りに、家の後ろにある小屋に行こうとするとコルが腕を掴んだ。
ラック「コル?どうした?」
コルは俯いたまま、こう言った。
コル「兄さん....無茶はしないでね。でも、頑張って」
そう言うとラックはニシシッと笑い、分かったと明るく答えた。
一方、広場では村人の他にも、宗助達が居た。
宗助(まさか異世界に来て早々、こんな事になるとは...。しかし、村の掟だけで戦う事なんてあるのか?これも昔の兵士達の名残か?まだまだ分からない事だらけだなぁ。)
アラン「宗助さん、戦うならせめて相手を傷つけないようにお願いしますよ。あなたの魔力は常人以上なんですから。」
宗助「分かってるってアラン。僕もなるべく力を抑えてやるから。」
アランが宗助に色々と注意してると、ラック達が走って来た。
村人1「お!来たぞ!」
村人2「どうやら準備は出来たらしいな。」
宗助「逃げずに来たなラック。」
ラック「当たり前だ火柱野郎!男の勝負に背を向けられるか!」
宗助「それはそうだな。後、僕は清水宗助だ。火柱野郎って何だよ。」
カナン「まだ火柱の事怒ってるんだな。」
ラックと宗助がお互い睨み合うと、ガニアが前に出た。
ガニア「宗助殿はここには初めてなので戦いの説明をするが、互いに武器や魔法などは使っても良い。だが、決して殺さないこと。負けた者がラックなら、村の伝統儀式はまた来年にすること。逆に宗助殿なら、この村をすぐに出て行き、二度とこの村に訪れないこと。良いな?」
ラック•宗助「はい!」
ガニア「よし、なら二人とも一旦離れて、ワシが合図したら始めなさい。」
ラックと宗助はお互い、距離をとった。
村人1「頑張れよラック!」
村人2「負けんじゃねぇぞ!」
ラパン「宗助さん、頑張って下さい!」
カナン「思いっきりやっちまえー!」
アラン「どうかご武運を...!」
村人やアラン達の声援の中、いよいよラックと宗助の一騎打ちが始まろうとしていた。
ラック(ぜってぇ負けねぇ...!)
宗助(一応頑張るけど、ちゃちゃっと終わらすか。)
ガニア「それでは、始め!」