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特訓初日(魔法編)

休憩が終わった後、ソピアはラック達に指輪のような物を渡した。

ラック「何だこりゃ?」

コル「これって確か、指輪ですよね?でも何で男の僕達に?」

ソピア「その指輪の石をよく見て下さい。それは魔法石を百分の一にまで薄め、訓練用に作られた魔道具です。それと指輪は今時、男でもはめますよ。」

ソピアはそう言い放つと、コルは納得したと同時に失礼な事を言ってしまった事に反省した。

コル「な、なるほど...すみません...」

ソピア「いえいいんです。それよりも二人共、魔法を扱うことで大切な物とは何か分かりますか?」

二人はソピアの質問が分からず、頭を傾けた。

ソピア「分かりませんか?なら仕方ありません。答えは“理解力”と“想像力”、そして“集中力”です。特に戦場となれば、ありとあらゆる事に対応し、より冷静な判断と決断を有されます。ですのでまず、貴方方が魔法を使えるかどうかチェックします。」

ソピアはそう言うと、二人にある本を渡した。

コル「これって...まさか魔法書!?ガレラさんが言っていた、魔法に関する本!?すごい!本物を見るのは初めてです!」

ラック「おーすげぇ!色んな魔法が書いてある!で、でもどれも難しそうだぜぇ...」

ラックよりコルが興奮して、本の中身をパラパラと読み出したりした。

ソピア「今から貴方方には我々が魔法を扱う上で必ずやる特訓の一つ、立体魔現(プラナイト)をやってもらいます。」

ラック•コル「立体魔現(プラナイト)?」

ソピア「立体魔現(プラナイト)とは、貴方方の今ある魔力でこれから出されるテーマに沿った物を、我々に目に見える形に映し出してください。その物の大小、細部、動きや色彩までで、どの位の魔力があり、そしてどの戦闘(スタイル)が貴方方に合うのかが分かります。やり方はその本の五ページに書いてあります。」

ソピアの説明が終わると、ラックは困惑した顔で質問した。

ラック「えぇと...つまり、ソピアさん達に俺達がその魔力とかで、自分達の想像した奴を見せるって事っすか?」

ソピア「はい」

ソピアは即答したが、コル達は戸惑っていた。生まれたときから魔力があることは分かっていたが魔法どころか自分達が魔力自体をあまり意識していなかったから、そんないきなり難しいそうなのが果たして出来るのか不安だった。

コル「ちょ、ちょっと待って下さい!いくら説明があるからと言って、魔法なんかやったこと無い僕達がそんなこと出来るわけ...」

ソピア「出来る出来ないではなく、まずやるかやらないかを決めて下さい。仮に迷い者と一戦交えるのなら、なおさら使えなければいけません。」

ソピアの言葉にコルは昨日の事を咄嗟に思い出した。ラックと共に迷い者を倒す位に強くなることを約束した事を...

コル「...すみません、魔法という分からない力につい戸惑ってしまいました。」

ソピア「まぁそうでしょうね。魔法とは使い方を誤れば、ご自身の身体を破壊してしまいますからね。ですが逆に、使いこなせば今後の道に役立ちます。」

ソピアの若干怖いような話を聞いたが、コル達は迷い者に勝つためにも魔法を使いこなそうと改めて誓った。

コル「あのソピアさん!最初は僕からやってもよろしいでしょうか?」

ソピア「いいでしょう。ならコルさん、魔法書を開き、そこに書いてある説明を読んで下さい。準備が出来ましたら早速、テーマを言います。因みに時間は五分しかないので、なるべく早くお願いします。」

コルはそう言われると本を開き、立体魔現(プラナイト)のやり方を読んだ。

コル(まず一度、深呼吸をするなど心を落ち着かせ、次に言われたテーマに沿って自身でイメージし、整ったら全身の魔力を目に集中させるように力を入れ、最後に立体魔現(パラナイト)と唱える)

コルは一通り読み、最初に深呼吸をして、落ち着かせた。

コル「フゥー....フゥー....」

コルは自身で心を落ち着かせた事を認識し、ソピアに話した。

コル「ソピアさん...お願いします。」

ソピアはコルが落ち着いたと確認し、テーマを言った。

ソピア「それでは行きます。“広大なる海を跨ぐ者”!」

コルは言われたテーマを聞き、早速考え出した。

コル(海を跨ぐ者?海は確かガレラさんが話してくれたな。とても大きく、何処までも続いていて、そこには湖以上に星の数ほどの魚達が泳いでいるって...。という事は、それらを跨ぐまでの巨大な生物だって事だよね?でもそんな物、想像出来るのかな...?いや考えろ!とにかく何か思い浮かべるんだ!)

コル「.....」

コルはひたすら考えていた。しかし時間は待ってはくれない。こうしている間に、既に三分経っていた。

ソピア「残り二分、もう時間はありません。早くして下さい。」

ラック「コル...!」

ガレラ「心配すんなラック、コルは頭良いだろう?きっとすげぇのが来るさ。それに、お前が不安になったららしくねぇだろ?」

コルを心配してそうなラックをガレラが励ました。

ラック「そ、そうだよな。いけねぇ、いけねぇ...兄貴である俺が心配してどうするんだってな!アハハハッ!」

ラックは何とか笑って誤魔化した。しかし、コルは時間が無いというのに今だに考えていた。するとコルは水に関して、あることを思い出した。

コル(ん?待てよ...そう言えば前に、蛇が川を泳いでるのを見たことがあるぞ。それに海を跨ぐ者は魚とは限らない。だとしたら....!)

ソピア「後、一分...」

ラック「コル!」

ガレラ「...!」

コル(よし!後はあのイメージをより繊細に且つ、大胆に...!)

コルは考えながら目をカッと開き、力を目に注ぐようにした。そしてコルは前に手をかざして、大きく唱えた。

ソピア達「...!」

コル「立体魔現(パラナイト)!!」

ザバーン!

コルが唱えた瞬間、腕からから青く、透き通った蛇が生えてきた。その蛇は腕を正に跨ぐように泳ぐ姿、更に形や鱗の細かさなどにソピアは驚いていた。

ソピア「素晴らしい...!小さいながらも初めてでこのような繊細な像が出来れば上出来です!ですが、貴方は少し考えるのに時間を取り過ぎています。ので、もう少し頭の回転を速めるようにしましょう。」

コル「はい!」

コルはソピアの的確な判定を聞き、感謝の言葉とご指導する上での込めた大きな返事をした。

ラック「やったなコル!よーし、だったら俺だって負けねぇぜ!」

ソピア「別にこれは競争ではありません。」

コルの番が終わると、今度はラックが出て来て立体魔現(パラナイト)の準備をした。

ラック(えーとまずはこうしてああしてこうするか...よし!)

ラックは魔法書を読んで、余裕そうな表情で準備が出来た。

ラック「では先生!お願いします!」

ソピア「それでは行きます。“嵐を駆け巡る者”!」

ソピアがテーマを言った数十秒後、少し考えたラックは大声で唱えた。

ラック「立体魔現(パラナイト)!!!」

ドシューン!

ソピア達「....!?」

ラックが唱えた瞬間、今度はコルのよりも大きな馬らしきものが背中から稲妻らしきものを纏って出て来た。

ソピア「こ、これは...」

ラック「ニシシシッ!どうすっか俺の像は!駆け巡ると言やぁやっぱり馬だぜ!それに雷も纏ってるから結構強そうに見え...!」

ソピア「こんな酷い馬は初めてです...!」

ラック「...へ?」

そう言われたラックは馬の方をよく見ると、尻尾や胴はなぜが以上に長く、足はぐにゃりと変な状態で走っており、何より顔が見たこともないほど醜かった。

ラック「あ、あれ、変だなぁ...もうちょいかっこいいイメージをしてたんだけどなぁ...」

コル「兄さん...恐らく速く出し過ぎて、イメージが整え切れなかったんだと思うよ....。後、大きければ良いって訳じゃないよ...」

コルが呆れて説明し、ガレラがラックにあることを聞いた。

ガレラ「おいラック、因みにあの頭に付いてるのは何だ?」

ラック「え?角だけど?」

ガレラ「おいおい、なんかあれ生えてると言うより、刺さってるように見えるぞ...」

確かにその馬の頭の角は取って付けたようにも見えた。

ソピア「どうやら貴方は、もう少し考える力を付けた方がいいですね。」

ラック「えへへ、すいません...」

ラックがソピアの言葉に苦笑いで返事をした。

十分後...

休憩が終わった後、ガレラとソピアは二人の行動や力、そして魔力などを話し合ってお互いに決めた。

ガレラ「よし!じゃ早速、二人の教育担当を教える!」

ソピア「もう目に見えてますが...」

ガレラ達は二人の内の誰の教育者になるのかを教えた。

ガレラ「まずラック、お前は体術、特に接近戦に向いている。よって、俺がお前の師匠だ!いいな!」

ラック「おう!」

ソピア「そしてコルさん、貴方は魔術に関する遠距離戦やサポートに向いています。ので、私が貴方に魔術を教えます。いいですね?」

コル「はい!」

こうして二人の師匠となる教育担当が決まった。そしてここからが、過酷で最も厳しい訓練への始まりでもあった。


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