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傭兵隊長の帰還

山を降りたラック達は、家に帰って朝食を済ませた後、部屋に戻り、今朝の事を話し合った。

コル「兄さん、これからどうする?女神様にああ言われたけど...」

コルはレントに迷い者の無力化を頼まれた事をどうするかラックに聞いた。

ラック「そりゃ勿論、やるしかねぇだろ。せっかく神様がくれたチャンスなんだ。俺達で迷い者共をぶっ飛ばそうぜ!」

ラックは悠々と答えたが、コルは否定するかのように聞いた。

コル「でも兄さん、今の僕達じゃ迷い者の前ではカエルとイモムシ同然だよ。仮にこの解放石(エネジュウム)があったとしても、もし見破られてもしたら...」

ラック「じゃ迷い者に負けない位に修行して、強くなる!」

コル「兄さん、簡単に言うけど、修行って大変なんだよ。あの時の人位に強くなるとなると、相当の鍛錬と時間がかかるよ。」

ラック「別に良いよ。例え一年かかろうが、あいつらをぶっ飛ばせる位に強くなってみせる。」

ラックは本気のつもりで話したが、コルは余計に心配した。こんな僕達なんかで大丈夫なのかと。すると、外が何やら騒がしくなっており、二人が窓を見ると、村の人達が入口で集まっていた。

ラック「なんだなんだ?皆集まって何騒いでるんだ?」

コル「分かんない。とりあえず行ってみる?」

そう言うとラック達は、皆が集まっている所に向かった。

ガヤガヤ....

ラック「なぁ、誰か来たのか?」

村人「それがよ...」

?「おー!そこにいるのはラックとコルじゃないか!」

村の人達や鎧を身につけた男達よりも高身長でガタイが良く、銀色の髪にとても大きな鞄を背負った男がラック達を見つけ、大声で掛けた。

ラック「あー!ガレラおじさん!」

声を掛けた男は“ガレラ•アクスト”国に、村の安全保障の代わりとして村から傭兵の一人として雇われ、今は傭兵隊長として活躍していた。どうやら他に傭兵として雇われた男達と共に村に帰ってきたらしい。ラック達はガレラの方に近寄った。

ラック「おじさん久し振りじゃん!今回は帰るの早いな!」

ガレラ「あぁ、少し村長と話があってな。二人共、元気にしてたか?」

コル「はい!ガレラさん、思い出話、また聞かせてくださいね!」

ガレラ「分かってるってコル。お前はいつも飽きないなぁ。」

コル「当たり前ですよ、ガレラさんが外の世界での面白い話を、毎月楽しみにしていましたから。」

ガレラ達の話が弾む内に、一人の女性がガレラの後ろから出てきた。

?「ガレラさん、こんなことしてる場合じゃありませんから早く村長に会いましょう。」

ガレラ「分かってます、分かってますって。」

ラック「ん?おじさん、その人は誰だ?」

ガレラ「そう言えばお前らは初めて会うよな。紹介するよ、ソピアさんだ。」

ガレラの身長の半分で眼鏡を掛け、緑の髪にポニーテールで、服の全体の色が青の女性は“ソピア•アストロギア”アイオスでの魔術教師の一人であり、魔術部隊の隊長でもある。

ガレラ「ソピアさんは俺が新米の頃からお世話になってもらってね、何度も助けてくれた命の恩人なんだよ。」

ソピア「貴方は無鉄砲過ぎなんですよ。何も考えず、ただただ最前線に突っ込むだけ。傭兵隊長になれたことが不思議でなりません。」

ソピアに説教じみた事を言われ、苦笑いをするしかなかったガレラの所に、ガニアが来た。

ガニア「おぉガレラ、皆無事に帰ってきてくれてなによりだ。しかし、珍しいのぉ。月一に戻るから、帰るのは明後日のはずじゃ?」

ガレラ「そのことで村長、少しお話が....」

そう言うとガレラ達はガニアの家に行った。

ガニア家...

ガニアの家には、ガニアとガレラ、ソピア、そして村の男達が数人集まっていた。外にはラック達や村の人達が話を聞いていた。

ガニア「して、話とは?」

ガレラ「実は近々、我が国アイオスで戦争が始まろうとしているのです。敵は、黄金の国“クリューソス”」

ガニア達「!!」

ガレラの言うクリューソスとは、この世界にある七つの国の一つであり、最も裕福な国だとも言われている。理由は簡単、その国の金や宝石などの輸出が一番多いからだ。

村人1「で、でもよ!そこって確か、一番デカいし金持ちな国だよな!何でよりにもよって俺達の国なんかに!?」

クリューソスは、他の国々よりも一番広く、どこよりも恵まれた国だったので、わざわざ国を奪う理由がどこにも無かったはずだったので、村人達は驚いていた。

ソピア「彼らは人口が増えたため、我々に土地の三分の二をよこせと要求していましたが、国王は既に別の目的を見抜いていました。」

村人2「別の目的...?」

ソピア「恐らく彼らの真の目的は、小さくなった我々と強制的に同盟を組み、我が国に古くから伝わる聖剣を狙っていると思われます。」

村人達「!!」

ソピアが言う聖剣とは、アイオスの初代国王がこの国を作った後、神々から国の繁栄と平和を約束された時に授けられたと言う伝説があり、それは今でも王国の何処かに保管されていると言われている。クリューソスはそれを手に入れれば永遠の幸福と平和が訪れると思い込み、アイオスと同盟を組んで聖剣を奪おうと考えているらしい。

ガレラ「国王達は何とか話し合いで解決しようとしたが、奴らは一向に聞く耳を持たなくて、とうとう戦争に突入しようとしているんだ。そこで国は、大きな戦に備え、村や街などから人を集めて、他の兵隊さんや傭兵の治療や看護、食事、装備の製造や修理などの手伝いをして欲しいとのことだ。だから、この村から何人か連れて行きたいんだがいいでしょうか?」

しかし村人達はそれは嫌だと断った。当然だが、戦に出れば死んでしまうと皆が思っているからだ。

ソピア「ご安心を、戦うのは悪魔で我々兵士か傭兵のみ。村や街の方々には、一切戦わせはしません。どうしても拒否するのならば、我々も無理強いはしません。」

ソピアの言葉を聞いた村人達は少しホッとしたが、やはり立候補はしなかった。

ガニア「まぁ、村の者達を戦に出さないとはいえ、今のわしらじゃやはり無理じゃ。しかしアイオスといえども、そんなにひ弱ではないはずじゃが、なぜそんなに急ぐのだ?」

ガレラがガニアの質問に対して少し口をつむんでいると、ソピアが答えた。

ソピア「...クリューソスが、迷い者を召喚したという情報が入ったんです。」

ラック達「!!」

ソピア「彼らは迷い者の力を使って戦争に打ち勝とうとしてます。ですので、なるべく早い内から手を打たなければいけないと急いでいるのです。」

ガニア「そ、そんなことが....」

ガニア達が戸惑い、ザワザワし出した。

村人1「まさかクリューソスがそんな厄介な奴を...」

村人2「もしかして、この前来た奴が...」

村人9「あり得るぜ。あんな奴、見たことねぇからな。」

ソピア「ん?それはどういう...」

ラック「俺をぶっ飛ばした奴だよ。」

ガレラ「ラック?」

ラックとコルが村長の家に入って来た。

ラック「あいつらがいきなり現れて、俺達の狩りの邪魔をしたんだ。」

ソピア「ま、迷い者がこの村に来たんですか!?」

ガニア「えぇ...、じゃがその迷い者がその召喚された者とは限らないと思うんじゃ。もしその召喚された迷い者なら、こんな山奥の村にわざわざ来ないと思うからのぉ...」

ガニアの話にソピアは少し納得した。

コル「で、兄さんはその後、村の掟に従ってその迷い者と決闘したんですが、相手の異常な魔力に押し潰されて...」

ガレラはラック達が話している間の顔が悔しさに似た表情に見え、余程のつらい思いをしたんだと思った。

ラック「そこでおじさん!それにソピアさん!一つ、頼みがあるんだけど!」

ガレラ「?」

ラック「俺達に、人との戦い方を教えて欲しい!」

ガレラ•ソピア「!!!」

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