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一家団らん?

読者の皆様応援よろしくお願いします。

一人で帰りたかったが、この奏という人物がいるので、それは儚く散ってしまった。


しかも、やたら質問攻めされて、


やれ、学校生活に馴染めそうか?だの、


やれ、友達が出来た?だの、


出来たと答えたら、


それはどんな人なのか。という質問ばかりだった。



それに、その友達が女子だと知ると一気に声のトーンが低くなり、普通のお化け屋敷よりも数倍怖かった。いや、もっと怖かった。



何とか鬼の質問攻めを回避し、自分の家に着いた。


「や、やっと終わった。」


さっきまでは生きた心地がしなかったが、やっと落ち着ける場所に帰って来たという安心感からか 、安堵の息が漏れた。


(咲良にも話さないとな。今日の事。)



そんな事を思いながらドアノブを捻ると鍵がかかっていた。


鍵をカバンの中から取り出し、扉を開けた。



家の中には、いかにも手料理感溢れる料理を食べながら嬉しそうにしている咲良と......え、何でいんの?普段滅多にいない両親がいた。



「おかえり澪。久しぶりだな」

「ああ、ただいま。久しぶりだな父さん」


(いつ振りだ?父さんと母さんがいるのは。)


「久しぶりね。澪。元気にしてた?」

「ああ、元気にしてたよ。母さん。そっちは?」

「二人とも元気よ」

「そうか。良かった。でもどうしてこんな真っ昼間にいるんだ?」


(最悪の場合を覚悟しておくか。倒産、破産、失業の類いなんだろうか。)


俺は両親の仕事を知らないが、大体こんな感じだろう、と予想をつけた。


「うん?ああ、長年やってきた仕事がやっと一区切りついて、子供とゆっくり過ごしたくてな。無理言って二人とも帰って来られたんだ。余計な心配だったみたいだな」

「そうみたいだな」


(良かったー。)


ホッと息をつくと、


「あ、澪。久しぶりにご飯作ったから食べて。自信作よ」

「ありがとう。食べるよ」


(母さんの料理は美味しいんだよなー。あれ?久しぶり過ぎて、あんまり覚えてないけど、そうだったけ?)


「はーい。召し上がれ」

「い、いただきます」


ルンルン気分でいつもハイテンションな母さんと、どこか大人な雰囲気を醸し出していて静かな父さん。


真逆な性格の二人が何故結婚したのかも、どこで会ったのかさえ、俺と咲良は知らない。少なくとも俺はそんな話は一切聞いていない。


二人とも年は四十代前半だが、普通に三十代前半いや、もっと若い年齢でも通用するような見た目をしていて両親のどちらも美形である。


その血が俺と咲良にも流れていると感じる時はかなりある。


その血のお陰で桐島先生に格好いいと思われているので素直に結婚してくれてありがとう。と言いたい。


まぁ、言わないけど。


とにかく、俺は両親の事はほとんど知らない。何の仕事をしているのか、何が好きなのか、などの事は一切知らない。




そんな事心を読めば解決だろうが。


自分の心の中で、そんな声が聞こえた。俺はそれに、


自分が嫌われていたら、一体どうするんだ?自分の家族に好かれてなく居場所が無かったらどうするんだ?世の中知らない方が良い事だってあるんだから。無理に見なくても良いだろうが!



自問自答なのに、自分という存在を守るために語気を強くしてしまった。


そうだ。俺は怖いんだ。


考えている事の全てが聞こえてくるのが俺の心を読む能力だ。


自分が望んでいる事だけじゃなく、人の裏側が聞こえてくる事が少なからずある。



例えば、仲が良いと思っていた友人は本当の意味での友人ではなく、ただただ顔が良いから、俺目当ての女子と仲良くするために、表面上だけ装っていたのだ。


その時は小学六年生で、この後からは極力目を合わせないようにしている。今となっては、良い教訓になっている。


だから自分の家族であろうと心の声を聞く事はしないようにしている。


だが、桐島先生はどんな事をしても好かれたいと思ってしまったので使った。反省はしているが後悔はしていない。今嫌われていても内面を知っていないのでどれ程でも取り返す事が出来ると考えたからだ。


しかし、家族にはそれは通じない。内面を知っていて、なおかつ一緒に住んでいる人なのだから、これから変えられる代物ではないからだ。


自己防衛のためだ。と言い張り続けてきたのだ。


だから俺は知らないし、聞いていないのだ。両親から話をしてくるまで待っている。



結構な時間考えていたのか、母さんに、


「どうしたの?ボォーとして。あ、まさか不味かった?」

「いや、美味しいよ。ありがとう」

「そう。良かったー」



心の声が聞こえなかったら良かったのに、と思う気持ちと、心の声がもしも聞く事が出来無かったらどうなっていたのだろう、と思う気持ちが入り交じっていた。


どちらにも良いものがあり無い物ねだりになってしまう事は分かっていたが食べながら考えてしまっていた。


世間話を交わしながら考えていると考えがまとまらなかったが一つだけ強く思った事があった。



(心の声が聞こえなくても安心して一緒にいられる人を見つけたいな。)


こう俺は食べきると同時に思った。

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