第3話
うーん、これはどういうことだろうか。うーん、わからぬぞー
目覚めたら、私の膝を枕に、男の子がすやすや、いやスピスピと寝ている。
しかも、頭に見慣れぬ犬のような耳があり、ぴくぴく動き私の太腿をサワサワしてる。
おでこに刀傷もあるし。服も着てない。
足を、動かしてみると
「むにゃ、姉ちゃん。」とスピスピしながら、寝返りをうつ。
膝から、頭が地面に、とんと落ちて、犬耳男児が目をさました。
立ち上がり、ぼーっと私を見ている。私もじーっと見つめる。
「ふぁー、腹減ったね。姉ちゃん」
「坊主、ここで何をしている。しかも裸で」
「ん?坊主って、姉ちゃん。おいらのことわかんないの?」
「わからん。裸の犬耳小僧に、知り合いはいない」
「おいら、望んだんだ。姉ちゃんと一緒にいたい。話をしたい。ヒトになりたいって」
「なんの話だ」
「狭間のじいちゃんにお願いしたんだってばさ」
「狭間の爺など知り合いにはおらんが。」
「あのう、よろしいでしょうか?」声が、頭の中にひびいた。
「わたしはウィズダムです。その子は銀です。あなたの相棒の」
「のわっ、勝手に人の頭の中で、しゃべるな。心の臓に悪いっ。うずだむ?めんどくさいからダムにしよう。えっ、銀って言ったか?」
「うん、おいら銀だよっ。お腹すいたー」
うーん、まだ、私は寝てるんだな。これは夢だ。よし、夢だ。寝よう。
「姉ちゃん、腹減ったってばー。飯くって、朝の修行もしなくちゃだよー」
ん、裸犬男児が、まだ何か言ってるが、夢だし、無視無視。ぐーすかぴー。
「あ、寝ちゃった。寝つきの良さは、あいかわらずだなあー。くすくす」