第26話
ステファンの指示の元、街は闘いの準備を始めた。海岸から街の間に、木柵を組み土嚢を積む。多数の上陸が想定される魔人やモレイを弓矢や槍で攻撃する拠点を、何ヶ所も組み上げていく。
魔法が使える者が集められ、それぞれの使える術と役割を確認していく。オンモは、自分の術式の確認も含め、試し打ちを闘技場で行っており、その異才に立ち会った魔術師を驚愕させていた。
オンモは、最初の内は、印と呪文で術式を構築し、発動させていたが、試し打ちを続ける内に、詠唱無しでも雷と炎、氷の術式は、展開できることに気づいた。
範囲と威力は自在に調整でき、魔力による発動と異なるため、枯渇も無くいくらでも、連発できたのだ。但し、同じ系統の術式の連発は、発動の度に威力が上がるも、制限がかかる事が解った。
結界についても、広範囲なものから兵士単位の小規模な、物理・魔力結界の展開ができた。
立ち会った魔術師からの報告を聞いたステファンは、驚き喜び、さらに万全の準備をと、張り切り各所を走り回った。
マコトについては、ステファンより遊撃を依頼された。
マコトは動きやすさを考え、袴を自作するとともに、足の保護を考慮した、ぶーつなる物を装備屋から購入し、服装を見直した。
その行為に、街の全男共は、涙し、マコトに袴用の布を準備したステファンは、末代にまで渡り、余計な事をした大バカ者として、名を残す事になったとかならないとか。
満潮を二日後に控え、迎撃に参戦する者たちが集められ、夜には酒と食事が振舞われた。
「らりを、いっれれんふぇふか、ステはんふぁ、あー、んあー、にょめい。にょめーい。」
「あ、ありゃひの、ひゃけがー、にょめにゃいのかー。」
すっかり出来上がり、呂律の回らないマコトが、ステファンに絡みまくっていた。
「おい、ダンコ。なんとかしろ」
「うおぃ、らんこー、なんろかー」
「ステファン様、巻き込まないで、下さい」




