第16話
「銀、ランバ、街で暮らすわよっ。嫌になったら、また、ここに帰って来れば、いいし。」
私達は、ランバに乗り、街へ向かった。
街に着くと、門番のおじさんの横に二ベスが待っていた。
「おはよう。一晩、ゆっくり考えたかい?」
「はい、ここで暮らすことにします」
「じゃあ、冒険者登録しないとだね。案内するよ」
二ベスは、冒険者ギルド入り口まで案内すると「ここだから」と言って「昨夜は楽しかったよ。またね」と去って行った。
ギルド内には、沢山の人がいた。受付らしき所に、私は真っ直ぐ向かう。
「いらっしゃい。初めて見る顔だね。冒険者登録かい」と声がするが、受付カウンターには誰もいない。
「こっち、こっち」と声のする方を見るとカウンターの下から、小さな手がヒラヒラ振られていた。
「ちょっと待ってねー。お立ち台に登るから。ヘグッ」
「あいててて。要改善だな。このお立ち台は」
私の膝ぐらいの子供が、踏み台に登ろうとして、転げ落ち、尻をさすりながら、愚痴を言っている。
「子供が、ここで、なにをしている。留守番か?出直してくる」
「ま、待てぃ。受付一筋20年の、僕に向かって失礼じゃないか。僕は小人族だぁー」
「それは失礼した。登録をお願いする」
「パーティと個人での登録が出来ますが、どうします?」
「パーティってなんだ?」
「5人まで、登録可能です」
「ああ、まとめて登録してくれるのか?」
「それで、頼む」
「承知しました。では、パーティ名をどうぞ」
「パーティ名?」
「いや、ですから、貴方達のグループ名です」
「グループ?小僧、解りやすく言ってくれ」
「え?えっと、し 集団の名前?」
「2人と一匹だが、集団なのか?」
「え?じ じゃあ小集団?」
「ん?」
「え?」
「ふにゃー」
「え?」
「すまぬ。溜め息だ」
「もう、なんでもいいから、登録名を」
「なんでもいいとはなんだ、無礼な」
「もうー、この人面倒くさーい。」
「くすくす。お困りでしょうか?」
二ベスが、笑いながら、私とちんまい受付の会話に割り込んできた。
こやつ、こうなる事が解ってて、一人で行かせたな。後で、しめる。
「ナナシさん。あなたの好きな言葉とかで、登録したら、どうですか?」
「好きな言葉かー。うーん」
「ご飯で、頼む」
「ブハッ」
「えー、本当にいいんですか?」
「好きな物なら、ご飯だ」
「わ、解りました。あなた方のパーティ名は、『ご飯』で登録です」
「ギルドクエストを受注される場合は、掲示板の受注票をこちらにお持ちください。魔物討伐の場合は、角、牙、骨などを、こちらにお持ち下さい。賞金をお支払いします。ようこそ、冒険者ギルドへ」
「ほむ」
「クエストとは、なんだ?」
「え?」
「ん?」
「もう、やだー。僕帰る」
「ふにゃー」




