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君が大好きな君へ  作者: シュット
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8.紗恵

舞台は放課後のコンビニ。二人のお気に入りの場所の一つでもある。二人とも、新商品が入っているとか、何か買いたいものがあるとかが気になってここに来ているわけでもない。ただ勉強漬けの一日が終わった後には、こういった場所に来て気晴らしをする習慣があるだけだ。

「最近、なーんか物足りないのよね」南は呟く。「高校生活ってこんなもんなのかしら?なんかもう、もっと刺激があってもいいというか・・・」

「私はいまのままでも満足だけどな」紗恵は答える。

「いや、私達には変化が必要よ。こんな上に行くこともなければ下に行くこともない平凡な毎日、克服する方法があるはずよ」

「うーん、そう言われても・・・」

「確かに新しいクラスになってから、大抵の人とは話したし、仲良く関わってきたつもりよ。だけどまだこれから踏み込んだ関係になることができる人もいるはず」

「踏み込んだ関係・・・」

「そう、今みたい一緒にコンビニ行ったり、遊んだり、ただのんびりするときのお供みたいな感じかなあ」

「確かに、増えると賑やかにはなりそう」と紗恵は言いながら、内心はあまりつるむ人が増えてほしくないとも思っていた。彼女の性質は静。南とは対極的な性格をしている。南が人との関わりや「騒がしさ」を通じて幸せ度を上げていくことと反比例して、彼女はあまりそういうのは好まない。どちらかといったら一対一の真摯な関係を増やしていく方が好きだ。だから、ときどき南のこういうところは理解できない。

「誰かいないの?そういう一緒にいてもいいかなーって人!」早速聞いてきた。―こういう場合、本当に南ちゃんは抵抗がない。私だったら頑張って自然に引き出そうとする質問を、全く考えなしに飛ばすことのできる、先天性の素直人。

ー私のそういう人は、一体誰だろうか。南ちゃんが一体どういう意図でこの言葉を口から出したのか、全く見当もつかないけど、ひょっとしたら本当に何も深い意味はないのかもしれない。だったら、ここでクラスメイトの女の子の名前を答えるのはどうだろうか。別にいわゆる「いつメン」を増やしたいだけのことだったら、何も問題のない解答のハズだけど。とはいえ、私には大して中の良いクラスメイトなどいないかもしれない。南ちゃんの他にそういう人が加わったとして、自分は満足できるか?多分ムリ。だったら、本当に今気になる人を言ってしまった方が自分のためかもしれない。何より、南ちゃんの行動力と顔の広さには定評があるのだから、本当に引き入れてしまうかもしれない。ちょっと期待してもいいかな。

紗恵は最近気になっている男子の名前を、勇気を出して言ってみた。


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