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君が大好きな君へ  作者: シュット
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6.進&倫子

進は自転車を自宅の駐車場に停めた。前後する二台の車の間に立てかける。

彼の家には車が三台ある。田舎というところは基本的にそうだが、両親で一台ずつ車を所有しているのだ。それくらいないとどうも買い物に支障は来すわ、共働きの場合には不便であるわとなかなかに生活困難に陥るのである。

進の家はそれに加え、車ヲタクの父親がいる。それもかなりの通だ。以前進がチラリと彼の読んでいる雑誌を盗み見たところ、彼が読んでいたのはどうもタイヤの雑誌であるということが分かった。車関係の会社に落ち着き、設計にも携わっていたそうだが、その関係だろう。この三台目の車も父親の興味からのものだ。―進が生まれるよりも10年ほど前に、彼の父親がレーシングカーを買ったと聞いた。現在はそれ相応の設備を抜かれていて、走ることはままならず完全に置きもの状態だが、覆いを取ってよく見ると確かに装飾がレーシングカーのそれに近いと言えなくもない。再び道路を走る日は来るのだろうか。それよりも恐らくは、進が自分の車を買って運転するようになることの方が先にくるだろう。

鍵を開け、家に入る。大抵の場合、一番に着くのは進だ。母親は働きに出ているし、双子の妹もまだ高校にいるだろう。

彼は洗面所に行き、脱いだ制服のシャツをかごに投げ込んだ。自転車登校は季節に関係なく、すごい量の汗をかく。それが肌についている状態を気に入らない進は帰宅後すぐにそれを脱ぐのだ。それが終わると二階に上がり、鞄を放る。すこし休んでから、宿題。それが終わると今度は彼が受講している通信講座の教材に手を付ける。何せ高校生の午後は短い。進が受講しているのは全教科だが、その全てを月が終わるまでにやりきる、ということは殆どない。それでいいのだとも思っている。その通信講座は彼が幼稚園の頃からのおなじみの会社からのもので、小学生の時から「貯め込み癖」がついていた。周りの人間で同じものをやり切った人の話など聞いたこともないし、それが当然とも思っていた節があった。加えて、進は好きな教科から手を付けるため、優先度の低い強化ほどその進みは遅い。ちなみに彼の好きな教科は倫理と英語である。

勉強にも飽きると、今度はベッドに横になり、今度は気晴らしに好きな動画を見ている。そこからは夕飯までのリラックスタイムといくわけだ。この、動画を見ている時間に大抵妹「倫子」は帰ってくる。彼女は進とは違い、公立に通っている。彼の通う私立よりも自宅からは離れている為、帰宅が遅くなるのだ。だから、進はそれまでの一人の自由な時間を楽しむことができるのだ。

一階で「ガチャ」と音がした。倫子が帰宅したのだろう。とはいえ、先も述べたようにこの時間は進の動画タイムなので、彼はイヤホンをしていて気づかない。階段を上る音を聞いて初めてその存在を感じるわけだ。部屋同士は隣り合っていて、多少の物音は共有して聞こえる。しかし、このときの倫子からしたらベッドでぐったりしているだけの進は寝ているのか起きているのか想像もつかない。彼女は彼女で帰宅後は読書に勤しんでいるので彼のことを気に掛ける余裕もあまりない。つまり、夕食まで二人が顔を合わせることはない。


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