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君が大好きな君へ  作者: シュット
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3.雄哉

彼は漢字テストの範囲に目を落としていた。実際は他にも「表現」や「四字熟語」なども対象なので、漢字だけというわけにはいかないのだが、彼にはどっちにしろ苦難の道であった。おかしいな。中学までは得意だったハズなのに。

彼は頭の中でも更に頭を抱えていた。でも表面上はクールを装っていた。俺はクール男子を目指しているし、多分ほかのみんなもそう思っている。だから期待通りに、苦労している姿は外には出さない。気持ち得意顔で進の方を見る。彼も頑張っているのだろうか?いや、彼は既に「終えた」らしい。すごく眠そうに目をとろんとさせている。見なきゃよかった。雄哉は考える。どうしたら漢字テストで良い点数を稼げるのだろうか?もしかして、前日に家で勉強するべきだったのではないか。進に倣って当日にやるなんて、少しばかり無理があるのではないか。彼だって本当は家で勉強していたのかもしれない。汚いヤツだな!或いは毎回落ちてる?そうに違いない。あのやつれた感じ、多分進は諦めてるんだ。そういう言う意味の「余裕」だ。それなら俺はつられないぞ。むしろ満点取って見せつけてやろうという気さえ起きてきた。いや、とはいえ今回の範囲は少しいつもより多いかもしれない。やはり朝に勉強しておくべきだったか?それも無理だ。俺は朝に絶望的に弱い。いつも目覚ましを時計と携帯の二つでかけているが、それでもまた寝てしまうときがある。朝の勉強は俺に向いてない。じゃあ夜?それもダメ。大体前日の宿題やらが残っている。皆一体どうやって漢字テストの対策をしているんだろうか。そういえばこの手の話題はなかなか生徒間でも上がらない。秘密として各々心の中に秘めているものなのであろうか。―汚え!力を持っている者はもっていない者に教えるべきだ。それが同級生というものなのではないか?

「カチッ」

――ハッ!

明かりだ。目が覚めてきた気がする。そもそもどうして暗かったのだろうか。時間は8:10。まだ20分ある。大丈夫。余裕でしょ。

しかしさっき、進に範囲が分からなくて尋ねたが、基本的に範囲を覚えていない自分が悪い気がする。これでは落ちても仕方がない。俺は悪いことは悪いと認める男だ。そこは信用してほしい。クラスの男子の中でも、俺は人情の厚さ、正直さ、素直さには自信がある。特にこの進という男と比べてみてほしい。その差は歴然だ。俺の方が当然、モテていいはずだ。なのにこの「冷めた」男に対して好意を抱く者もいるというから驚きだ。

そういえば今電気を付けたのは誰だ?-月島か。昨日も付けていた気がする。うちのクラスに電気係なんてのはないぞ。それか、電気を付けるのが趣味なのかもしれない。

―何をやっているんだ。今はそんなことは関係ない。問題なのは、彼女だったら俺か進か、どっちを好きになるかということだ。彼女も考えの読めない人間の一人であるからなかなかに難しいが、まあ俺だろう。十中八九な。

「何ニタニタしてんの?」

進がちらっとみたアホ面にツッコミをいれる。しまった。勉強に戻ろう。そういえば、今日国語の授業は1限だが、それまでに休み時間はあと何回あるんだっけ。―――やられたぜ。


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