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君が大好きな君へ  作者: シュット
14/25

14.典人

2回目の休み時間だった。やはり、この手の模擬試験や期末テストでの休み時間にはありがちだが「あの問題の答えは~」だの「あそこ難しかったよなあ」だのいった共有が行われている。これを聞くのは典人は好きではない。次の教科の勉強をすればよいものの、なぜこういった気分の上下にしか関わらないものに時間を費やすのか。しかも解答がまだ配られていない段階で答えを確認し合ったって、それが正しいという保証もないのだから最悪時間を浪費するだけで終わってしまう。更に、それを聞いてしまった周りの人々が自身の回答について余計に心配してしまうということも十分あり得る。全くもって煩わしい。そこで、つまらなそうな顔をしてみせた。当然、彼のことを気に留める人などいるべくもないが逆に典人は雄哉を見つけた。彼は休み時間も落ち着きがなく、色んな人のところへ声をかけに行っては邪魔をしている。せっかく集中力を解いて楽になっている時間なのだから、勉強に充てることもない、そういうことなのだろう。典人は自分の気分転換の為に雄哉の行動を目で追っていた。今話しているのは吉岡南。彼女は2組にも知り合いを多くもっていて、こちらのクラスでもたびたび話題に上がる人気女子だ。さすがに会話内容までは分からないが、どうせ大したことは話していないだろう。

今回の模擬試験にこれといった目標は掲げていないが、クラスでの順位を更に上げたいという野望はある。現在、4位という順位を1位とは言わないまでも2、3位にまでは引き上げたい。具体的に誰が自分の上にいるのかは分からないが、恐らく岩城このかや土田推司だろう。クラスでトップ3に入るくらいでなければ、志望校への道も遠ざかるというものだ。とにかく、今日は全力で臨まねばならない。

ここまで思って、典人は考えた。時間が余りに余っている。ただ座って考えていたり、勉強しようとしたり、どちらにせよ退屈しのぎにできることは限界がある。先ほど嫌いだと思った「感想共有組」の持て余す感じが彼にはようやくわかったような気がした。とにかくすることがないときに、友達と意味のないことを話すのは有意義なようだ。典人も丁度となりにいた男子に話しかけてみる。

「どうだった。さっきの試験は」

そこまで仲の良い友達でない場合は、これ以上の会話の切り口を思いつくことができなかった。

「全部難しかったよ」

彼の隣に座るこの男の名は船木静馬。今日を始めとして、この二人の仲はクラス内でもかなり良好なものとなっていく。


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