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サブタイって百字まで打てるけど、そんなに長いタイトルつける人っているんですかね…?


この作品を見返して思った。後書き空気読めてねぇなと。




妹、美華が誕生して早2年。幸多は4歳、愛美は6歳になった。幸多の前には1人の金髪の、西洋人形のような幼い美少女が立っている。



ーー彼女は誰か?



ーーこれまでのお話で登場している人物だ。



ーーならば幸多との関係は?



ーー家族だ。



この金髪の少女が恋仲美華。幸多の妹である。






ーーーーー

ーーー






姉の愛美は母の恵の性質を受け継いでおり、明るいちょっとポンコツな性格をしていた。美華は逆だ。幸多の様に冷静な性格をしている。念のために言っておくが、決して恵も愛美もお馬鹿ではない。寧ろ頭は良い。ただちょっとポンコツなのだ。ちょっとだけ… かな?まあとにかくポンコツなだけだ。



美華は気づいた。自身が家族と違うということに。普通このぐらいの歳ならば自身の見た目など、それほど気にならない。だが美華は自我の成長が早かった。それ故に自身と家族の見た目の違いがとても悩ましい。



気分はまさに、みにくいアヒルの子だ。童話と違い誰も美華の容姿についていじったりしないし、美華はとても可愛らしい。愛美に関しては美華の自身にはない美しさを羨んでたりする。



だが美華はそれが悩ましい。母や兄、姉の様な黒い髪が美しいと思っている。何故自身だけ違うのか、仲間外れにされているという意識が芽生え、彼女の心に孤独を育てた。



仲良くしてくれている皆は自身と見た目が違う。実は仕方なく接しているのではないか、本当は関わりたくないのでは、そういった不安が募る。孤独が心を蝕んでゆく。



その様子は成長するにつれて顔にも出てきた。可愛いことには変わらないが、その表情は憂いを含んでいてどことなく儚く見えた。今にも消えてしまいそうな、それこそ2年前の幸多の様に。



だから家族は皆気づいた。母は2年前の幸多を思い出し、幸多は自身の過去を投影し、愛美は美華が何かに落ち込んでいると気づいた。だが"彼女達"には理解出来ない美華の気持ち。しかし幸多にはわかる。



このままでは美華がこの孤独と幸せに挟まれ潰されてしまうと。2年前、美華が産まれた時に幸多は誓った。必ずこの子を守ると。



「おかあさん」



「どうしたの?幸多」



「みかのことはぼくにまかせて」



恵は悩んでいた。自身が何とかしたい、そんな気持ちがあるが美華が金髪に産まれてきたのはある意味、産んだ自分の所為でもあると思っているからだ。自身に美華を助ける資格は無いのではと思う。



決して恵は悪くなどない。たまたま西欧人の血が混じってしまっただけなのだ。病院の管理の甘さが1番いけないわけだ。



丁度よく、と言うのも変だがそこに幸多が申し出た。幸多の目には確かな決意が宿っている。それに、初めてなのだ。息子が自分から何かをお願いしたのは。ならば、母としてその願いを叶えなければ、そう思い承諾する。



「不甲斐ないお母さんでごめんね… 美華のことお願いね…」



「うん、まかせて」



美華の元へ歩いて行く幸多、ただその背中を眺めることしか出来ないのが悔しかった。






ーーーーー

ーーー






「ねぇ、みか」



「ん、どうしたのにいさん」



「なにがこわいの?」



「なにが?なにもこわくないわ」



「ううん、うそだよ。ぼくにはわかる」



少し腹が立つ。自身と違う容姿で悩んだことない癖に、孤独がわからないのに、そんな言葉を飲み込み冷静に返す。



「なにがわかるの?」



「そうだね、たとえばひとりぼっちとか」



「…」



「あたり、かな?ぼくもね、そうだったよ。まわりのにんげんがこわかった。だからひとりになったってかんじだけどね。おなじなやみをもっていたんだ。だからぼくに、はなしてみない?」



「…わたしは、わたしがきらいです。だって、みんなとちがうんだもん…」



「そうだね」



兄さんは私のことを見捨ててしまうのだろうか… ただただ不安だ。



「だから!わたしは「けどね」」



「みんなちがうのはあたりまえだよ。それとね…」



「それに?」



「みんなおなじものをもっている。それはわかる?」



私にはわからない。一体何が同じだと言うのか。



「それは…」



「わからないかな?それはね、こころだよ」



「こころ?」



「うん、こころ。みんなね、みかのことがだいすきなんだ。みかだってぼくたちのことだいすきでしょ。ほらおなじだ」


内面的なことではない、そう言いたいが言えなかった。正しくは思考が回らなかった。たった今、愛してると言ってくれた。単純な事だが気持ちを教えてくれて嬉しかった。



「…」



僕は沢山の愛を貰ってきた。だから今度は僕が与える番だ。そう思い幸多は美華を抱きしめる。



「ぼくがね、なやんでいたときに、かあさんはこうしてくれたんだ。それでね、どんなときでもあいしてるって、かならずまもるっていってくれたんだ。だからぼくもみかにいうよ。あいしてる、かならずまもるから」



「ぐす…ひっく… うぅ… 」



「だれもなかまはずれになんかしないよ。かあさんも、ねえさんも、そしてぼくも。どんなことがあってもみすてないよ」



「うわぁぁぁぁん!!こわかった、こわかったよ!いつか、いつかすてられちゃうんじゃないかって!だって、だってみんなとちがうんだもん!ぐすっ、ひとりは、ひとりはいやだよ…」



「だいじょうぶだよ、だれもすてたりなんかしない。それにね」



「うん…」



「ぼくはみかのこのかみ、きれいでだいすきだよ」



想定外の言葉に赤面する。



「うっ…」



「うん、そのみためもふくめて、ぼくはみかのことがだいすきだよ。みかはぼくのことすき?」



「あぅ… うん…」



「ふふ、そっか。よかった。それじゃかおをあらおうか。そのあとあそぼう」



「うんっ!」



差し伸べられた手を握り2人仲良く洗面所へと向かう。彼女が見た目を気にすることなどなくなった。これで円満解決だろう。



「えへへ… にいさん…ニイサン…」



「ちょっとちかいかな… あるきにくいよ、みか」



円満解決かなぁ…?





ナイス天然ジゴロ。



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