姉
なんと、皆様のおかげで日間ランキングに載ることが出来ました!ありがとうございます!これからも頑張っていきますね。
やはり好きなテーマで好きな様に書くのは楽しいですね。あと今回はちょっと読みにくいかもしれません。幼さを表現した結果です。
姉。皆さんは兄弟や姉妹がいるだろうか?弟や妹が中学生になると生意気で腹が立つ、なんて言う兄や姉は多いだろう。逆に姉や兄がいる人はそう思われている可能性が高いだろう。
少年には前世、兄が1人いた。もっとも少年はその事を知らないが。まあこの話には関係のないことだ。前世では兄、なら今世では…
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少年の目の前には1人の少女が立っている。猫の様に大きく、くりくりとした瞳、庇護欲を掻き立てる幼児特有のぷにぷにとした可愛らしい顔、そしてその顔によくマッチしているツインテール。間違いなく将来美少女になるであろう少女がいた。少女の名前は恋中愛美。苗字から分かる通り少年の姉である。そして少年の2歳歳上だ。
ちなみに少年と姉弟なので少年も姉によく似ているのである。将来は優しい雰囲気の美少年になるだろう。
少年は愛美との距離感に困っていた。人と関わりたい。その気持ちは間違いなくある。やはり前世のトラウマだ。トラウマはきっかけがあれば克服出来るものだ。少年が転生して2年、未だトラウマが克服出来ていないのは、それだけ根深く、心を侵食しているからだ。もっとも、時間がまだ短いというのもあるだろうが。
少年を傷つけたのは大人である。近所の大人や母でさえ、関わることに怯える。だが愛美は子供だ。悪意や欲望に満ちた瞳をしていない、純粋な子だ。愛美が少年に良い影響を与えてくれるかどうか、それはまだわからない。
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「ふふーん!まなみおねぇちゃんがこうたのためにえほんよんであげるー!!」
突如少年の前に現れ返事もしていないのに抱えていた本を開く姉。やはりどう対応すれば良いのかわからない、少年は心の中で呟く。
手に持った本の題名はシンクレア。こちらの世界のシンデレラの様な本だ。主人公は少年だったり、ガラスの靴ではなくガラスの指輪だったりと相違はかなりある。
絵本とは幾つになっても面白いものだったりする。飛び出るギミックがあったりと退屈させない。この本はこの世界の男の子に興味を持たせる為に、表紙にキラキラとラメの加工などが施されている。
「こうたはおとこのこだからね!おうじさまとかだいすきでしょー」
「あっ、うん」
どうよこの姉の気遣い、愛美のドヤ顔がそう物語っている。別に少年の好みという訳ではないが、とりあえず返事はしておこう、そう思い声を出す。
「それじゃあはじまりはじまりー!むかーしむかしーあるところに、えーっと、し、しそくれあというしょうねんがいました」
姉よ、シソではなくシンだ。随分と特徴的な香りのしそうな少年だな。そう心の中でつっこむ。
愛美の朗読会は続く。
「まほうつかいがきゅうりにまほうをかけると、なんと!きゅうりがうまにへんかしました!すごいねー!!」
カボチャではなくきゅうりなのか。しかもこれお盆で見る精霊馬って奴なのでは?どうやらおかしいのは男女関係だけではないらしい。
「12じのかねが、あとすこしでなってしまう。さあたいへん。しそくれあはおひめさまのまえで、わざとガラスのゆびわをおとしました」
この男、随分と打算的だ。この本を読んで成長している子は多い。こうして小悪魔は製造されていく訳か… この世界の男の子達に少し恐怖する。
「ほかのきょうだいたちはゆびがふとすぎて、ゆびわがはいりません。しかし、しそくれあのゆびにはぴったりと、はまりました!」
明らかに兄弟達は太っている。細身であるシンクレア何人分だろうか。入るわけがない。
「こうして、しそくれあはおひめさまとしあわせにせいかつしました!!めでたしめでたし!!」
結局最後までシソクレアだった。所々つっかえていたし朗読としては大失敗だろう。本の内容も大体は知っていたし好みという訳ではない。
けど自分の為に必死に尽くしてくれた事が何よりも嬉しい。少年にとって、万の富を得るよりも、どんなおもちゃを与えられるよりも嬉しい出来事だった。
「へへーん!どう?おもしろかった?」
「うん、ありがとう。お姉ちゃん」
前世含め初めての心からの笑顔。僕は上手く笑えているだろうか?不安になってくる少年。
「わぁぁぁ!!!おかーさーん!!こうたが、こうたがわらったよぉぉぉ!!!」
何もそんなに、驚かなくても良いじゃないか。すこし恥ずかしくなってきた少年であった。
こうしてまた幸せと、そして初めての笑顔を知ることが出来た。愛美は無事、少年に良い影響を与えてくれた様だ。きっとこれからも与えてくれるだろう。
今のところほとんどタグ詐欺ですね。これはいけない。幼児期を越えればそれなりに逆転要素出せそうなんですけどね…