街+α
前回、確かに私はこの樹海を出る事を決意した。
……だけどね?でかくない?5日は経ってるよ?
嘘だろオイ、このまま遭難エンドは嫌だよ?お腹は空かないけどさぁー。
お、いい所に冒険者。
「すいませーん」
「はい?」
「迷ってしまって…良ければ、出口まで案内してくれませんか?」
「……一人で迷ってろ!」
「そーそー、あんたみたいなの、スグにモンスターに食われて終わりだって」
「人生の出口ってか?ぎゃははは!」
あ?何だその言い方、こちとらモンスター殺り過ぎて〔魔物殺しの悪魔〕っつートロフィー持っとんのやぞ?
まぁ見た目12歳の少女だし、仕方ないんかね?
「お前みたいなチッセェ嬢ちゃんは、お家にいる方が身のためだっつの!」
カチン。
私がコイツら殺したろかと思ってたら、なんかでてきた。
「ひっ!リムコスケイル!ヤベェ、逃げるぞ!!」
何かと思ったら、私が何十匹と倒した、ただの蛇さんじゃないか、久しぶり!
冒険者の奴らは、グダグダとまだ逃げる準備してるよ、えー。
「チッ!しょーがねぇ!お荷物もいるし、戦うぞ!」
そのお荷物って私か?オイ。
蛇が攻撃を仕掛けてきた。いや、ただの体当たりなんだけどさ、
「ぐあああああああああ!!!!」
冒険者の一人に大ダメージ、嘘だろ!?私あれ喰らった時鉄壁無しで5しか受けなかったんだけど?ヤワっ!
「うわああああああああああああ!!!!!」
「ヒッ!あ…あ……」
他二人も戦意喪失。駄目だこりゃ。
あいつはなかなか経験値美味しいし、やりますか!
ちょっと飛んでパンチ一発。蛇にはこれでじゅーぶん!
蛇の頭が吹っ飛ぶ。経験値美味しいです。
冒険者?ああ、あいつらならそこで唖然としてるよ。
そりゃ驚くわ、ただの女の子と思ってた子が、蛇をパンチ一発で倒しちゃうんだもん。
ザマァみろ!
「………出口まで案内してくれるよね?」
「お、お前…仕込んだな!?」
は?
「お前みたいなチビが、あんな蛇パンチ一発で倒せるわけがねぇ!!」
倒したのになーー。
「そ、そうよ!きっとあの蛇も機械かなんかで…」
いや、思いっきり血飛び散ってますやん。
「ただのイタズラで俺の仲間にこんな怪我させやがって!!」
あ、うん、それでどうすんの?
「ガキだろうが関係ねぇ!ぶっ殺す!!」
まさかの強行手段。
「いいぞー!やっちまえ〜!」
うん、何で同意なん?自業自得じゃん……。えーーやるのー?てか仲間の手当てしてやれよ…、出血多量で死ぬぞそれ。
「こんなガキ怖かねぇ!うおおおおおお!!!!」
うん、ガキガキうっさい。斬りかかってきたから取り敢えず避ける。
「ほらほら、仕込み無しじゃ避けるしかできないんだろ!?」
イラっ。
おっと、我慢我慢。さてどうするか、あ。
「嘘でしょ……隊長、隊長!!」
あーあ。
「嘘だろ…よくも、よくも隊長をおおおおお!!!!」
いや、あんたらが放ったらかしにしてたからでしょ。
「くらえ!!三流斬!!!」
避けます。からのカウンター!爆発四散。勝った。
「あ……あ……」
「案内。」
「は、はい……」
恐怖政治っぽいけどいいや。
と言う事で出口に着いたら迷わず殺します。ゴクローサン。
ふぅ、出口に着くまででどっとつかれた……。
………よし!街は目の前!
行くぞー!!
街を見つけて20分、街に着いたどー!!
私の格好が変に見えない位、スチームパンクだった。
蒸気で動くバイクとか椅子が空を飛んでる。私は飛べるから必要ないけど、ロマンだよね〜。
あの廃材の山にも納得いくね。
……さて、どうしよう。街に来たはいいけど、何も考えてない。
取り敢えず、路地裏にでも行って羽(翼)をのばしたいな。
お、あそこが良さそうだな。
………ん〜〜〜!!!やっぱ街はいいなぁ!とと、翼しまってと、さて、どうするか。
モンスター数百匹食べて来たから、かなりの間はご飯もいらないし、別に寝なくてもいいんだよね。
まぁ街を一通り回ろっかな!
……しっかし、この街、かなり治安が良くないらしいな。
所々で言い合いが起こってるよ、あ、時計屋さん。
丁度いいや、時間はわかった方が良いし、冒険者供から奪……貰ったお金があるし。
この世界のお金は、単位は円だけど全部硬貨なんだよね、幸い硬貨に幾らかかいてあるし、
RPGあるあるのご都合主義で文字も読めるし、ってことで「すいませーん」
「いらっしゃいませー!」
わぁ、綺麗な店員さん。
………おお!これは、昔懐かし?懐中時計!
「これ…いいな」
「お客さん、おいくつ?」
「……あー、12」
中身は17だけど。
「わっかいねぇ〜、お母さんは?」
「家族はいないよ」
生まれた?時は一人だったし。
「そうだったの!?ごめんなさいね!お詫びにまけるよ!」
「有難う、じや、これ…」
「それね!本当は12,500円の所、8200円でいいよ!」
めっちゃまけてくれた。買います。
「買います、はい」
「……うん、ぴったりね、はい!」
「ありがとう」
お店を後にする。
「いい買い物したなー!」
買ったのはみんなが懐中時計と言われて思いつくようなやつ。
只今の時刻13時20分。
もう1時か、時間が流れるのが早いなあ。
懐中時計を閉じて、内ポケットにしまう。
さて、時計も買ったし、どうするかな、……取り敢えず、今日泊まる宿を見つけよう。
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今日、不思議な女の子に会った。
12歳位の子で、大きなフード付きのコートを着て、大きなぬいぐるみを抱えた子だ。
顔はよく見えなかったけど、チラッと綺麗な黒がかった紫と黄金と言うには醜い黄色のオッドアイと頬に真っ黒な鱗があった。
多分この子は人間では無いだろう。色々な人を見て来た店長としての直感がそう言うのだ。
だけど、聞いてみた所、12歳にしては大人しく、悲しそうな素振りも無く、「家族はいない」と、言った。
悲しさを隠したのでは無く、いないのが当たり前の様に言ったのだ。
彼女は懐中時計を買って行った。
まけてあげたのもあるか、12歳ではなかなか持てない額を、彼女は軽く払った。
家族がいないならお小遣いも貰えないだろうに、かといって、12歳ではバイトも無いだろう。
ましてや彼女は人間では無いだろう、そんなのを雇う店など、この街には無いだろう。
だとしたら、余り考えたくは無いが、人間では無いものが金を手に入れるには、人を殺して奪うしか無いのだ。
だが、そんな事をしたら冒険者供が黙っていないだろう。
冒険者……モンスターを狩って生計を立てる者のこと。
依頼を受けることもあるそうだ。
最近はここらのどっかの金持ちの娘がモンスターに脅され無理矢理モンスターの妹にされた事件が有名だな。
物好きなモンスターもいるもんだ。
しかし、本当に彼女は何者だったのだろう。
これが、明日、またその『彼女』が来る事を知らない時計屋の主人の話である。