家出少女とぬいぐるみ
あ、ヤバイ。
見られた。
しかも女の子。
私と同じくらいかな?12、3歳位。
可愛いよりの美少女だ。
いやそうじゃなくて、ヤバイよね?
人食べてる所を人が見たら…人によっては発狂モンじゃね?
しかも女の子だし。大事だから二回言うよ?
私だったら気絶してるね。
どうする?殺すのは流石にしたく無い。
「ねぇ」
うわ、話掛けて来た、でも私喋れないんだよね。
発声器官はあるんだよね、でも声が出ないの、マジ意味わからん。
「ねぇ…」
返事出来ないし、どうしようかな。
「……喋れないの?」
お!ナイス!いや、全然ナイスじゃ無い、このままだと他の大人に報告されかも…
違うんだお嬢さん、向こうから襲って来て、私は逆に被害者……!
いや、喋れないし意味ないか、
「言わないよ。」
え?偶然かもだけど伝わってない?
「伝わってるよ」
マジかよ、どうやって?
「魔法だよ」
まほう!そう言えばステータスにMPがあったな!
まぁ、話が出来れば私はあんまり使わなそうだな、多分物理で殴ったほうが早い。
「そうなの?」
あ、ごめんこっちの話。
「ふーん…」
でも、何でもこんなところに?危ないから帰りなよ。
「………帰りたくないの」
………ワケありって奴か、少し教えてくれない?
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ここは、ロイド大陸都市部にある大きな屋敷…メアリス家である。
伝統を重んじる由緒正き家であり、都市部有数の富豪の家だ。
そんなメアリス家に次女として、ペルーシュは生まれた。
ーーーただし、アルビノを持って。
産まれつき真っ白な髪、肌と、血のような色の瞳をもったペルーシュを、家族や親戚はメアリス家の恥とし、
数年間、窓もない地下室に監禁していた。
そのかわり、一ヶ月に一体ずつ、ぬいぐるみを与えられていた。
そのぬいぐるみと話している内に、ペルーシュはいつの日かものの心や言いたい事がわかるようになったのだが、それにより、更に気味悪がられていった。
そんな日々に痺れを切らし、地下室から一番付き合いの長い二体のぬいぐるみと共に逃げ出した。
幸い、家族は旅行に行っていて居なかったから、窓を割って逃げ出したのが昨日のことだ。
ーーーーという事を、女の子……ペルーシュは丁寧に説明してくれた。
その家族から暴行とかが無かったのは、流石にかわいそう過ぎるからか、単に恥と関わりたくないからか…。
多分後者だろうな。
にしても、アルビノ……、フツーに綺麗だと思うけどね、真っ白で。
髪染めなくて良いし。
…でも、ひっでー家族だな!
ドンドン私にヘイトが溜まってくわ…。
で、長年付き合ったぬいぐるみとやらは、リュミエールとフォンセというらしい。
どちらも結構でかくて、ペルーシュは二体で限界だ。
竜のような方がリュミエール、ポケ○ンの身代わ○ぬいぐるみの目をメタモ○にした奴がフォンセらしい。
かわいい。
「それで……」
ん?なに?
「私を貴女の妹にしてください!!」
は?
「私のことを気味悪がらず、しかも話までしてくれたのは、貴女が初めてなんです!!」
お、おう、ちょと待ってて、少し考えるから……。
「あ、はい」
……さて、どうするかな、話を聞くと結構良いとこから来てるみたいだし…。
あ、でも翻訳は欲しい、人と会った時助かるな、なんか利用する感じがしてあれだけど………。
でも、良いんじゃないかな、私も家族は居ないし、うん、決定。
少し離れてたペルーシュのとこに行こう。
「ほ、ほんとに良いんですか!?」
うん。
「じゃ、じゃあ、これからよろしくお願いします!姉さん!」
お、おうなんか照れ臭いな…!
「あ!名前は何なのですか?」
名前……無いんだよね、そう言えば。
「じゃあ、…シエルってどうですか?空って意味です」
良いじゃん、じゃあ、君はネージュ・ノワールだ!
「えっ、わ、私の……」
あれ?気に入らなかった?
「い、いえ…なぜ私の名前も?」
いや、せっかくだし、あんな奴らに付けられた名前、嫌じゃ無い?
「は、はい……、ありがとうございます!!では、姉さんはシエル・ノワールですね!
あ、あと…これ!どうぞ!」
え…なんでフォンセを?
「姉さんの言いたい気持ちに反応して、言葉を発言する魔法をかけました!受け取って下さい!」
おお!発声器官ゲット!ありがとうございます!!!
そうやってハシャいでいた私達は、少し遠くから覗いていた目に気付かなかったんだ。
やっと発声器官ゲット、やっぱ喋れないと書くのに苦労します。
明日多分更新します。