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作者: 青豆
掲載日:2015/09/17

目を覚ますと私は箱の中にいた。

真っ暗で、横に寝転んだまま身動きも取れない。


服装は昨日着たパジャマのままだ。なんでこんなところにいるんだろう?


弟の仕業かな。へんないたずらしやがって。

何時だかはわからないけど、早く出ないと、学校に間に合わない。


天井をガンガンと叩く。しかし開かない。

足元を蹴ってみたけれど、びくともしなかった。


えっ、ちょっとまって、どうして?いたずらじゃないわけ?


こういう時、どうしたらいいんだっけ、酸素がなくなっちゃうから、まず酸素を確保すればいいの?

でも穴も何もないし。


途方にくれてしまった。

お母さん、お父さん、助けて、誰か、助けて


叫んでも叫んでも、箱の中で響くだけで、誰の声も聞こえない。

このまま死んじゃうのかな?


それとも、もう死んじゃったのかな?

じゃあここは天国?


天国ではなさそう、地獄と呼んでいいかもしれない。


今頃、お母さん達はなにしてるんだろう。

私がなかなか起きてこないと、心配してるだろうか。

朝早くからバイトに行ったのかと、特に気にもとめてないかもしれない。

そうなると、探してくれるのは夜になるだろうなあ。

といっても、今が何時なのか、朝なのか昼なのか夜なのか全くわからないけど。


それとも、私はもういないものなのかもしれない。

お母さんもお父さんも弟も、私がいない世界を普通に生活してるかも。

学校も友達も、特に気にしないで生きていってるかも。

そうしたら、私は、どうしよう。今ここにいるのは、誰?生きてるの?死んでるの?


シュレディンガーの猫って話を思い出した。

生きてるのか、死んでるのか、箱の外からは誰にもわからない。

だから、無いのと同じこと。

私の姿は箱の外から見えないし、声も聞こえない。匂いだってしない。

だから、無い。


私はもう、世界から無いものになってしまったのだ。それってつまり、死んだって事になるのかな。


ただ、箱に入って、埋まってるんだか置いてあるんだかわからないけど、箱に入っているだけで、私は死んだ。


自分でさえ、自分が生きているのか証明ができない。

つねったら痛いし、引っ掻いたら皮だってむけたけど、死んだ後だってつねったら痛いかもしれないじゃん。地獄の人は苦しむのだから、苦しみや痛みは死んだ後だってあるはずだ。


そうおもうと、私が生きていようが死んでいようが、どうでもよくなった。


学校も、家族も、全部全部夢だったのだ。


少し、苦しくなってきた。

これで、本当に死ぬのかな。


あーあ、彼氏欲しかったな〜、夢なんだから、先輩に告っちゃえばよかった。

夏に先輩と海に行ったり、

誕生日をお祝いしあったり、

バカなことしたり。したかったな〜。


マキとユリナとももっと遊んだらよかった。

今頃、今日カスミいないねー、なんていいながら、私に「今日こないのー?」ってLINE打って、それでから、今日一時限目なんだっけー?とか、昨日の恋仲みた?とか、そんな話をしてるんだろう。


お母さんの肉味噌炒め、またたべたいなー。

お味噌汁と白いご飯も。

お父さんとデートもしてあげたらよかった。

弟にもゲーム貸してあげればよかったな。


結構いい人生歩んでる!って思ってたけど、思い返すともっともっと、やりたい事あったんだなあ。

もう、なにもできないんだ。


涙をポロポロと流すと、耳に涙が入ったり、髪が濡れたりして、なんだか気持ち悪い。


本当に、息がくるしい。

ぼーっとしてきた。

ああ、私は本当に、内側から、死ぬのだ。

こんな考えをしてただとか、死んでから箱に入ったのかだとか、箱に入ってから死んだのかだとかは、もう外側からはわからない。

内側の、私だけ知ってる。


それで、いいのかな。

なんだか、さみしいな。



私は目を閉じて、手を組んだ。

そして、「おやすみなさい。」と言ってから、動かなくなるまで、もう少しだ。

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