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立候補。私ライバルキャラやりたいですっ!  作者: 星ヶ里のブタネコ
11月

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私が差し出す新たなルート3

「十和に何を言ったの?」


扉の外からヒョコっと部屋に入って来たのは、私をここに連れてきた璃々さんである。


「特別なことは何も」

「嘘ね。実はうち、外で話を聞かせてもらってたから成り行きは分かってるの。でも……だから、うちはあなたにお礼を言うわ」


璃々さんが、静かに頭を下げた。

それに慌てるのは私だ。だって、どうしてお礼を璃々さんに言われるのか分からないから。


「ありがとうね」

「あ、あの。頭を上げて下さい」

「十和がスッキリした顔をしていたよね?あんな顔を見るのは久しぶりなの」


璃々さんが泣きそうな顔をして笑う。

そのことに驚きを隠せない。


「うちと十和の付き合いは小学一年の時からなの」

「はい」

「当時の十和は女の子らしい子だったのよ。でもいつからか、そういう服を着るのを止めた。理由はすぐに教えてくれたけどね」


懐かしむように語る璃々さんは、遠くを見るように目を明後日の方向へ向けた。


「璃々さんは、保健医をどう思ってるんですか?」


十和様に変化をもたらした存在。十和様を傷つけることしかしてこなかった存在を


「十和が大切な人だから、うちも大切だと思うようにしてる。本当に困った時には手を貸してくれたし、頼りにはなったからね。十和に想われてるから個人的にはそんなに好きにはなれないけどね」


こんなに璃々さんか正直に教えてくれるのは、私を信用してくれたということだろうか。


「十和は幸せになることを諦めていたように思うの。忍ぶことを長く続けたせいで、自らを省みるのを止めていたように見えたのよね。だからうちが十和を守って大切にしようと思っていたの」


璃々さんが、部屋の中へ歩を進める。

それはゆったりと動いて考えを纏めているようにも見えた。


「十和は幸せにならなきゃいけない。そう思ったから、小学生の時に十和が好きなモノを表に出さなくなって焦ったの。中学生の頃には、高身長を活用して今みたいなことを始めていたから十和は皆の理想であり続けるために無理をした。高校でも同様ね。むしろ、もっと自分を押し殺すようになったの」

「そんな……」


そこまでのことを十和様はやっていたのか。

正直驚きである。


「だからうちは思ったのよね。うちが十和を幸せにしなきゃって」

「はい」

「うちは十和が好きだから、このままの十和を見ているのは正直辛かったの」


うんうん、そうだよね。そこまで無理していたんならなおさら心配だっただろう。


「でもさっきの話を聞いてて、十和の幸せはうちじゃないって気づいたの」

「はい?」

「十和はあの人を想ってて、うちではないんだって。橋本さんが聞いたでしょう?今も好きなのかって」


ん?ちょっと話が微妙にずれている気がするぞ?

気のせいかな?


「うちは十和を愛してるけど、十和のためを思って身を引いて見せるね」

「んん?」

「それも気づかせてくれてありがとう」


璃々さんは部屋を歩き回るのをピタッとやめて、私の方に顔を向けた。


「お礼は言うけど、しばらくの間は失恋の原因の一つである、あなたを少しだけ恨ませてね」

「え?!」

「どこかに気持ちをぶつけてないと気が済まないのよ」


璃々さん、今までもちょっとバイオレンスな人だと思ってたけど、それは結構正しかったらしい。

璃々さんは一応笑顔だけど、こうなんというかにじみ出てる、コノヤロウ余計なことしやがってオーラが隠せていない。


って、あれ?もしかして。

璃々さんは十和様が好きだったの?!恋愛的な意味で。


あれ?

私別に女の子同士ならそんなに偏見ないんだけど。むしろいいじゃん、とか思っちゃうけど。

もしかしなくても私璃々さんの恋路の邪魔をしたの?

このまま報われずに傷ついた十和様を優しく癒す璃々さん、みたいな?

スポーツ少年とその幼馴染の方法とおんなじだ!


というか、そうだよね。

第三者の璃々さんは十和様と保健医の関係のちぐはぐさにどこかの段階で気が付いていてもおかしくない。

十和様を通じて璃々さんも保健医と古くから付き合いがあったんだろうし。その証拠に、いつだったか私と保健医のヤバい現場を目撃された時に、保健医かあいつならなんとかなるみたいなこと言ってたし、事実付き合いは同じくらい長いのだろう。

保健医からきっかけの話を聞く機会ならいくらでもあったはずだ。

もしも全てを知った上で璃々さんがあえて(・・・)行動を起こさなかったのなら……。

そうなると十和様と保健医がくっついてしまうと分かっていたから、なら。


そうすると、確かに、十和様と保健医の中を応援しちゃった私は失恋の原因だ。

というか、元凶だ!


となると、もしかしてゲームの中でも十和様には語られないだけで救いが存在していたのかも。

語られない裏設定なら、私が知らないのも無理はないけど。


璃々さんを見やる。

笑顔を浮かべつつ、攻撃に転じそうな雰囲気を醸している。これはヤバい。


「え、えへ。ご、ご、……ごめんなさーい!」


そりあえず、私には『たたかう』のコマンドはありません!

『にげる』一択です!




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