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立候補。私ライバルキャラやりたいですっ!  作者: 星ヶ里のブタネコ
9月

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文化祭前に波乱の予感2


「誰かー、下にゴミ捨てに行ってー」

「私、行くよ」


教室大改造、午後の部。

段ボールの端っこや、ペンキに汚れた新聞紙など、教室内の汚さが半端じゃない。


その代わり、内装は大分形になってきている。

なんか、あの有名な某アイスクリーム屋さんを彷彿とさせるデザインだ。

うん、分かりやすくていいと思う。


教室の出入り口にまとめられた、数個のゴミ袋。

皆忙しそうだし、私が捨てに行こう。

でも、明らかに手の数が足りそうにない。なにこのゴミの数。私に新たに四本くらい腕を生やせと挑発してるのか?!


どれをどう運ぼうか迷っていると、文化祭委員が飛んできてくれた。さすが!


「コレとコレだけ持っていって。これだけ捨てる場所違うんだ」

「分かった」

「外のゴミ捨て場に持って行けばいいから」

「はーい」


なんて頼もしいんだ!

パパっと袋の色が違う二袋だけを渡される。


頼まれたからには、ちゃんとゴミ捨てミッションをこなしてみせよう!

案外重さのある二つを両手に持って、教室を出る。

どこもかしこも人だらけである。ジャージにペンキがついてしまっている人もちらほらいる。

文化祭って一年に一回しかないもんね。そりゃ、気合も入るか。


いつもと雰囲気の違う校舎を興味深く見渡しながら、昇降口で靴を履き替える。

ゴミ捨て場は外にあって、校舎裏まで行かないといけないのである。めんどくさい場所に作ったものだ。


とっとと行ってきちゃおう、とゴミ捨て場へ。

私が持ってきたゴミ袋と同じ色の袋が積みあがってる場所があったから、そこにゴミ袋をそっと置いていく。

よーし、教室に戻ろうっと!


昇降口に戻って靴を上履きに履き替える。


昇降口から階段へ向かう廊下の途中。

階段から降りてきたらしい美鈴ちゃんが目の前に出てきた。


なんだか、今日は美鈴ちゃんとよく会う日だなぁ。

思わぬところで出くわしたせいで驚いたけど、美鈴ちゃんに沢山合えるってのは嬉しい。

たとえ、睨まれちゃうとしても……。


美鈴ちゃんはというと財布を握っていた。

もしかしたら昇降口の脇の自動販売機で飲み物を買いに来たのかもしれない。

美鈴ちゃんも一瞬だけ私の存在に目を見開いたけど、すぐに刺すような視線を投げかけてきた。


今って、もしかしてチャンス?

葵先輩は私のものなんだからねっ!とか言ってみる?

あー、でも先輩は別に私のものじゃないしな。ああ、千香ちゃんの立場なら妹だし自然だったのかもしれないけど、私は妹の友人って微妙に遠い立場だったー!どうしよ、どうやってつっかかっていこう。

まだ全然作戦考えられてないよー!


全然考えていなかっただけに、大混乱の内心。


嘘でもいいから、私と先輩は超仲良しだって言ってみる?

でも、美鈴ちゃんが先輩に聞いたらすぐに微妙な関係ってバレちゃうし。

あっ!そうだ。

妹みたいに可愛がってもらってるってどうだろう?

実際、勉強とか見てもらってお兄ちゃんみたいだし。一緒に出掛けたりとかするし。

よし、それならいけるでしょう!


葵先輩は私のお兄ちゃん(仮)なんだから、ちょっかいださないで!だね。

これで台詞は決まった。完璧だよ!


え?なんかパンチが弱い?

お兄ちゃんを取られたくない妹的な雰囲気だよ!

好きな女の子じゃなくって、妹もどきな私を構って!みたいな。

(仮)が胡散臭さを出してるって?

しょうがないでしょ。実際の兄妹じゃないんだから。私は西川さん宅の子じゃないんだよ。


「橋本さん、だったよね?」


頭の中フル回転は、美鈴ちゃんの静かな声でピタっと止まった。

周りの人の声や存在が気にならないくらい、美鈴ちゃんの声に引き込まれる。


「そう、だけど」


え?え?

なんで美鈴ちゃんが私に話しかけてくるの?

いや、すごく嬉しいよ?嬉しいんだけど、私たちまだ全然仲良くないし。

今だって、声は落ち着いているように聞こえるけど、目が笑ってないし。


「私、あなたに言いたいことがあるの」


え?ヤバイ流れじゃない?

こっちが仕掛ける前に、美鈴ちゃんから宣言されちゃう?

葵先輩に近づかないでよ、この泥棒猫!みたいな?

この前先輩といるところ見られてるし、十分可能性はあるよね?


唾を飲みこんで、美鈴ちゃんからの言葉を待つ。

もし予想通り宣言されたら、私だってさっき頭の中で決めた言葉を言い返してやる!

そうしたら、きっと美鈴ちゃんのライバルとして立ちふさがっても大丈夫だもん。


心臓の鼓動が早くなりだす。

やっと、やっと。ずっと願っていたライバルキャラの役目を果たすときが来た!

その第一歩である。


いつ言われてもいいように、何度も台詞を口の中で唱える。

いつでも言い返せる!さあ、来い!



「あなたには葵さんがいるのに、コウヘイ君に手を出さないで!」


「へ?」



予想と違う台詞。

口内で繰り返した言葉が吹っ飛んで、間抜けに口から音が漏れた。


「私は絶対にあなたなんかに負けないんだからね!」


それだけ言うと、美鈴ちゃんは階段の方へ走り去る。

髪が揺れてて後姿すら可愛いけど……、って逃避はさておき。


え?なんて言った?

コウヘイ?葵先輩じゃなくて?


……誰?




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