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プール 2


当然私の腹の音が聞こえたらしい千香ちゃんは一瞬きょとんとしたあと、笑い出した。


「何?お腹減ってるの?」

「うん、そうみたい……」


「お待たせ。って、どうしたの?」


ちょうどタイミングよく戻ってきたのはお茶を持った葵先輩。

声を上げて笑ってる千香ちゃんと、その横で恥ずかしさで小さくなっている私。

空気なんて読まなくたって、異常な雰囲気であることが察せられたのだろう。


「何でもないわ、兄さん。わたしが今度はちょっとつまめるような軽食を買って来るわね」


面白そうに立ち上がった千香ちゃんは、私が静止する声をかける暇すら与えずに、軽やかに行ってしまった。


元凶は私のせいなんだけど、千香ちゃん一人で大丈夫かな?

変な男にナンパされないといいけど。一応、目の届く範囲にはいるはずだから、周囲が怪しい感じになったら、走ってでも駆けつけよう!プールサイドは走るなって注意書きがあるけど、そんなの千香ちゃんのピンチの前にはそんなこと些事である!


「何を話してたんだい?千香があんなに笑うなんて」

「えっと……」


さすがに話したくはない。

一応、書類上は女である。その辺の恥じらいもほんの少しだけど持ち合わせている。

何か、別の話題に切り替えないと……。何かないかな……?


「あ!そんなことより、葵先輩。今日は無理やり誘っちゃいましたけど、大丈夫だったんですか?」


帰る時にでも聞かなきゃと思っていたのである。

最近疲れているようだから、誘ったのが大変迷惑だったのではないかと思っていたのだ。


「大丈夫だよ」

「良かった。でも、最近家にいないことが多いし、何をしてるんですか?」

「え……」


でも、その問いに先輩は珍しく目に見えるほどの動揺を示した。

慌てふためくとか、そういうことではないけれど。笑顔を張り付けたまま、表情が固まったのである。


あ、もしかしてこれって聞いたらまずかったのかも。

お祭りの時に美鈴ちゃんと親しそうにしているのを見たし、やっぱり美鈴ちゃん関連なんだよね?!期待しちゃうよ!

デートなら、妹の友達になんて聞かれても返答に困るはずである。先輩だって思春期の男の子である。年下の女の子に、恋愛事情など話したくないに違いない。


「あ、すみません。答えにくいなら、答えなくていいです。というか、もう聞かないので安心して下さい!」


美鈴ちゃんとどこまで関係が深まっているのかは、別に先輩から直接聞く必要もないだろう。

学校が始まって、二人の関わり方を見ていればライバルキャラがいつ介入すべきかは分かるはずだし。


うんうん、と一人で納得した私に、葵先輩が真剣な表情を向けた。


「未希がもう聞かないっていうのは、なんだか寂しいな。だからといって、今答えることはできないんだけど、いつか必ず教えるから。その時まで待っててくれないかな?」

「は、はあ」


真面目な先輩と対照的に、気の抜けた返事しか出なかった私。


美鈴ちゃんを彼女としてそのうち紹介してくれる、ってことでいいのかな?今はまだ付き合ってないから教えられないけど、将来的には口説いてみせるから、そしたら聞いてって感じ?

意外と葵先輩って、彼女を人に紹介して見せびらかしたい人なの?だから聞かないって言った私の言葉に寂しいなんて返したのだろうか。


うーん、分からぬ。

でもそのうち教えてくれるって言ってるのだから、その時まで待つか。


でも、その時にも私と先輩は仲良くできるのかなー?

一応、私ライバルキャラっぽくチクチク嫌なことする予定だし。上手くいけば、美鈴ちゃんは葵先輩と付き合わずに私との友情を深めまくる予定だしね。ほら、友情ENDにしたいからさ。


ま、私達はライバルとしてお互い健闘しましょうね!



私が葵先輩の今後を考えている間に、千香ちゃんがフライドポテトを買って来てくれた。

三人で分けて食べた、実質大半を私が食べちゃったけど。そのおかげで、お腹の調子は元通りである。


さてさて、千香ちゃーん。ウォータースライダーに行こう?



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