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風紀委員の顔合わせ 2

前話のタイトルを「風紀委員の顔合わせ」から「風紀委員の顔合わせ1」にしました。

今回は1の続きになります。よろしくお願いします。

「書けた、かな?」

「あ、はい。お待たせしました、書けました!」


葵先輩が教卓から覗き込むように前屈みになって、黒板の決定事項を書きている美鈴ちゃんに尋ねた。


あ、これは、葵先輩と美鈴ちゃんの絡みですね!

ひっそりと息を殺して状況を見てよう。

まあ、教室に数人まだ残っているけど気にせず話し始めたから、気配を消す必要はないかもしれないけど。


千香ちゃん、ちょっとだけこのイベントを見てから帰ろう?絶対零度のオーラは出さずに、静かに傍観しててね。

と、心の中で話しかける。以心伝心してきっと伝わるよね!

千香ちゃんが楽しそうで、けど同情するような、何とも言えない目で私を見てる気がするけど気のせいだよね。


葵先輩が美鈴ちゃんから紙を受け取り、


「うん、分かりやすくまとめてあって見やすいよ。愛咲さん、綺麗な字だね」

「ありがとうございます。あ、あの、なんで名前知って?」


フッと微笑む。


「さっきの会議でみんな軽く自己紹介したでしょ?」

「ああ、覚えててくれたんですね。ありがとうございます」

「俺の名前は覚えてる?」


少し意地悪な笑みを浮かべた葵先輩に、自信なさげな美鈴ちゃんが小さな声で答える。


「西川先輩、ですよね?」

「うん、正解。西川 葵です。三年間風紀をやってるのが俺しかいなかったから、風紀委員長になりました。よろしくね?」


会議の時にもしたのに、ここで再び自己紹介で、確実に名前を覚えてもらうんですね!

いけいけ、ゴーゴー!です。葵先輩が頑張れば、それだけ私の出番の可能性が上がるからね。


ほのぼの自己紹介をしていた二人だが、美鈴ちゃんが小さく、あっ!と声を上げた。


「私が書いていたから黒板をそのままにしてくれていたんですね。すみません、今消します」


慌てて机の横を通り前に出ようとした美鈴ちゃんは、自分のペンケースを引っかけたようで、落として中身を散らかした。

そのことでさらに焦ったようで、ペンを急いで拾おうとしている。


見ていて飽きないって、こういうことですね。

アワアワしてちょこまかと動く美鈴ちゃん、萌え。


葵先輩も美鈴ちゃんの方へ行き、いくつかペンを拾い上げる。

定番の、同じペンを拾おうとして手が触れて――というのもやっていた。ほほう。


さらに美鈴ちゃんが慌てて、和んだ。

なんというか、ご馳走様です!


拾ったペンを美鈴ちゃんに手渡し、


「慌てん坊だね、落ち着いて?」


微笑みながら美鈴ちゃんの顔を覗き込む。


「黒板は俺が消しておくからしなくていいよ」

「え、でも」

「記録係をやってもらったからね。今度は俺に任せて?」


ね?と首を傾げながら笑顔で言われたら引き下がるしかない。


「じゃあ、お願いします」


軽くお辞儀をした美鈴ちゃんの頭にポンと手を置き、黒板を消し始める葵先輩。

ペンケースを鞄に入れ、お先に失礼しますと声をかけて美鈴ちゃんは帰っていった。



わわわっ。大、満、足!!

美鈴ちゃん、まじ可愛い!


と、興奮していた私はハッと気づく。


「千香ちゃん、ごめんね!今ちょっと私の浮気心が暴走してた」


大切な千香ちゃんの目の前で美鈴ちゃんに浮気していた。

イベントの観察のために残っていたはずなのに、いつの間にか美鈴ちゃんに萌えてたよ。私のバカー。


「まあ、なんとなく分かったからいいわ」


千香ちゃんが溜息交じりに許してくれた。慈悲深いです。女神よ、感謝します。


けど、と千香ちゃんが静かに続ける。


「……未希は私が一番、よね?」


弱弱しく尋ねた千香ちゃんに、私の胸はズキューンと撃ち抜かれた。

撃ち殺しです。銃殺です!完全犯罪です!

頭が取れそうなほど首を縦に振って、千香ちゃんへ誠意を示す。


「なら、いいわ。ちょっと面白そうだから黙って見ててあげる」


無邪気に笑う千香ちゃんに、写真撮ってもいいかな?と考える。

すると、


「千香、未希」


もう私達以外誰もいなくなった教室で、葵先輩が教卓のところに立っていた。

あ、葵先輩の存在忘れてたよ。


「用がないなら、一緒に帰ろう。二人にクレープ奢ってあげる」


クレープ!

その言葉に反応してしまう私は悪くないよね。甘い物、大好き!



4月の出来事はこれで終了。次からは5月です。

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