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リビティウム皇国のブタクサ姫  作者: 佐崎 一路
第三章 学園生ジュリア[13歳]
102/337

深夜の襲撃と辺境伯の独白

遅くなりました。申し訳ありません。

 大陸四大主要国のひとつで、北部に位置するリビティウム皇国。


 北龍氷海に面した海沿いには多くの漁港、貿易港を抱えるが、夏場はともかく真冬には多くの港が凍りつく厳寒の大地と化し、西部方面には峻厳な白龍山脈が延々と連なり、肥沃な穀倉地帯である西部諸国との交易を妨げる難所として立ちはだかっていた。

 さらに視線を転じて南部を見てみれば、不可侵地帯にして魔物の棲家たる『闇の森(テネブラエ・ネムス)』が居を構え、東部には比較的標高は低いものの妖精や魑魅魍魎が潜むという『迷宮の森ラビリンス・フォレスト』があるという――はっきり言えば“四方を魔窟に挟まれた痩せた土地”というのが、歯に衣着せぬこの国をあらわす言葉だった。


 とはいえ北部域をほぼ支配下に置く超大国のひとつであり、その内訳は代表国家であるシレント央国が国土のおよそ四割を占め(その過半数以上が貴族の所領としての飛び地であるが)、残りをその他中小複数の国々によって構成される一種の連邦国家である。


 ちなみにこうした国家体制は大陸にあっては別段珍しくはない。


 人口一万~三十万人程度の都市国家を中心にした中小国ならともかく、総人口五百万人を越えるような大国ともなれば、カビの生えた中央集権的な政治機構ではとうてい国全体が回りきらない――なにしろカーディナルローゼ超帝国によって大陸が統治されている現在、対外的な軍事力など無駄以外の何ものでもないため、どの国でも削減に次ぐ削減で軍事力による支配というモノが難しい現状である――ため、ある程度地方の政治、行政、財政面の自治を認めた上で、緩やかな合議制を用いて平和的な統治をするしかないのであった。


 このあたりは俗に言う大陸四大主要国家――


 東部のほとんどを版図に治め、大陸最古最強国家と謳われるグラウィオール帝国。

 西部に位置し農業・産業の基点とも言われるデア=アミティア連合王国。

 南部にあって大陸最大の面積を誇る亜人国家クレス自由同盟国。

 そして、海運と牧畜の国である北部リビティウム皇国。


 この四カ国だけで、六十カ国に及ぶ大陸諸国の領土面積の半数近くを占有し(大陸中央部にある『闇の森(テネブラエ・ネムス)』は不可侵領域として除外するが)、大陸経済のおよそ九割を回しているという超大国であってもその例に漏れず――いや、だからこそなお積極的に平和的な連邦制を踏襲しているのである。


 とは言え、四大主要国ごとにその特色は様々で、例えばグラウィオール帝国は歴史が深いだけあって全体が安定しており、中央から末端に至るまでかなり明確かつ公正な社会制度が浸透しているのに対して、クレス自由同盟国ではそもそも国民(その半数以上が獣人族やドワーフ族、ケンタウロス族などの亜人である)のほとんどが遊牧民であり、そのため同盟国内の国境線すら明瞭ではないなどかなり緩い関係で結ばれている――など、国によってはかなり統治形態にも温度差があった。


 で、その中にあっても際立って自国内の関係が険悪……とは言い過ぎではあるが、足並みの揃わぬ烏合の衆、方有象無象の集合体と言われるのがリビティウム皇国である。


 なにしろもともとこの北部では各国とも独立独歩の気風が強く――と言えば聞こえがいいが、どの国も国力としてはドングリの背比べで、さらには海賊、山賊、馬賊、盗賊……およそ○賊と名の付く無法者達がひっきりなしに入り乱れては、一夜にして国が滅んでは現れての群雄割拠、連続活劇を地で行く――ほんの二十~三十年前までは国とは名ばかりの小国しか存在しなかった、文字通りの『辺境』であり、化外の地もいいところであった。


 だが、このままでは早晩西部のデア=アミティア連合王国と東部グラウィオール帝国という強大国の圧力に抗し切れず、どちらかの陣営に吸収されるのでは……と、さすがに危機感を覚えた各国の首脳クラスが血で血を洗う紛争と打算による協議――俗に“手打ち”とも言う――を行った結果、どうにか連邦国家という枠組みにまとまった。そんな経緯があった。


 もっとも、肝心の音頭を取る国を選定する際に、どの国も有利な条件で上に立とうと揉めに揉め(『船頭多くして船山登る』の典型である)、口汚い罵り合いを発端に危うく泥沼の戦争に陥りかけ――


「これ以上ガタガタ騒いで醜態を曝すようであれば、各国の上層部を物理的に馘首(クビに)いたしますが?」


 という、重たい腰を上げたカーディナルローゼ超帝国議会の勧告――というより恫喝――を受け入れ、いちおう北部ではそこそこ歴史と伝統のあるシレント央国を盟主国に据え、併せて国力増強の為、恭順する国に便宜をはかる形で統合し、どうにか体裁を整えたのだった。


 実際、『リビティウム皇国』の樹立を宣言するのがもう少し遅ければ、カーディナルローゼ超帝国は本気で匙を投げていただろうし。

 この際に西部有力国であるデア=アミティア連合王国が、王家同士の婚姻などで関係していたシレント央国の支持に逸早くまわらなければ。

 或いは、もっとも警戒すべき隣国グラウィオール帝国で、同時期にゴタゴタ(龍王襲来事件に伴う皇帝の世襲)がなければ。

 それか、水面下で怪しい動きをしていたユニス法国とオーランシュ国(のちにシレント央国に恭順して、そっくりそのまま辺境伯領となる)が矛を収めなかったら……。


 どれかひとつでもボタンの掛け違えがあれば、この機に乗じて確実に周辺国に併呑されていたのは間違いのないところであった。

「……いっそその方がよかったんじゃないかねぇ」

 と、当時超帝国の某貴人が周囲の側近に漏らしていたとも仄聞(そくぶん)されるが、真偽の程は定かではない……(そもそもそんな噂が出る時点で致命傷とも言えるが)。


 そのような由来で他の三大主要国家からは、「リビティウム皇国は超帝国のオンバ日傘の下、自力で建つこともできなかった半人前国家」と一段低く見られる傾向にあり、また内部においてもかつての独立国の多くが、代表国家として御輿に据えられたシレント央国の座を狙って、いまだに虎視眈々と策謀と暗躍を繰り返すという、内憂外患を現在進行形で行く前途多難な状況にあるのであった。


 ◆◇◆◇


「ううううっ、いまごろお姉様はユニスへ到着されている頃合でしょうか。一月あまりもお会いできないなんて、まるで拷問ですわ。いっそ、私も理由をつけてユニスへ保養にでも行かせてもらえないかしら」


 ちょっとした図書館ほどもある書斎で、姉と慕うジルが現在滞在しているだろう、ユニス法国のアーレア地方に関する資料を探しては目を通していたエウフェーミアだが、紙の上の資料を眺めるだけでは逆にイライラがつのり、椅子から立ち上がると爪を噛んで室内をウロウロと歩き出した。


「書いてある内容が正しければ、観光地で温泉で有名、聖女教団の巫女が修行にも訪れるということですから、そうね、シルティアーナ姉様の治療とか名目を立てて一緒に行くようにすれば、お父様も納得されるかも。そうよ、だいたい皇都へ来たのに学園にも行かず屋敷の中にじっとしてるなんてよくないし……」


 そうひとりごちたところへ、思いがけず苦笑の響きを伴った返事が返ってきた。

「いやいや、シルティアーナをダシにするのはよくないね」

「――ッッ! お、お父様っ!? な、なぜここに?!」


 弾かれたように振り返ったエウフェーミアの視線の先には、見るからに柔和で押し出しの弱そうな初老の男性が立っていた。

 風采が上がらない……というほどではないが、いいところちょっとした老舗商店の三代目程度の貫禄しかないこの男が、リビティウム皇国最大の領地を持つ貴族にして、世が世であれば一国の王であった辺境伯爵コルラード・シモン・オーランシュその人である。


 困ったような顔で末娘の驚愕の眼差しを受け流すコルラード。

「ティータイムだというのにずっと書斎に篭りっきりだと聞いてね。様子を見に来たのだけれど、物騒な企みが聞こえてきたものだから、つい声をかけてしまったよ」


「う……え……あ、あの。別に私はシルティアーナ姉様を(ないがし)ろにしているわけでは――」


 しどろもどろに弁解するエウフェーミアに微苦笑を送りながら、コルラードは『わかっている』という風に、何度か首を縦に振った。


「確かにシルティアーナが屋敷に篭りきりという状況はよくない。儂もなんとかしたいと常々気にはかけているのだが、いかんせんこればかりは本人の問題でもあるし、あれほどの傷を心と身体に負ったのだ、無理強いはできんさ」


 そう諭されてはエウフェーミアに返す言葉はなかった。

「……申し訳ございません。私の浅慮でございました。以後このような不用意な言動は厳に慎みます」


 悄然と頭を下げる末娘を、好々爺然とした笑みで見返すコルラード。


「なに、わかればいいのだよ。それにシルティアーナも最近はずいぶんと体調が良いらしくてね。あまり人の多いところへは行きたくはないようだが、エウフェーミアも口に出していたけれど、いま学園では調査学習で人が少ないだろう? この機会に顔を出してみようかという話が出ていてね」

「シルティアーナ姉様がお出かけになるのですか? ご自分のご意思で?」

「うん。そのあたりはエウフェーミアのお陰かも知れないね」


 いきなり持ち上げられ、身に覚えのないエウフェーミアは怪訝な表情で目を瞬かせた。


「エウフェーミアがいつも話している帝国貴族の御令嬢や、美味しいと評判の喫茶店にずいぶんと興味があるようで、それで外に出てみようという気になったようだ」

「まあっ。そうでしたの? そうであればシルティアーナ姉様、直接私におっしゃってくだされば、私からお姉様……いえ、ジュリア様をご紹介しましたものを!」


 口惜しげに爪を噛むエウフェーミアを愛おしげに――父性ではなく、まるで愛玩動物を愛でるかのような目であるのだが、元来親子の愛情に疎いエウフェーミアには区別がつかなかった――見据えるコルラードは、愉しげに口元を綻ばせた。


「ほう。ずいぶんと入れ込んでいるものだね。儂も一度会ってみたいものだな、そのジュリア嬢に。――一度屋敷へご招待してみてはどうかな?」


 なにげない父の提案にエウフェーミアはパッと満面の笑みを咲かせた。

「素敵ですわ、お父様! ぜひお願いいたしますわ。お父様もジュリア様とお会いすれば、きっとお姉様の素晴らしさがわかると思います!」

 意気込んでそう言った後で、少しだけ冷静になったところで付け加える。

「あ、でも。いまはお姉様はその調査学習で皇都を離れていますので……」


「ああ、ユニス法国のアーレア地方だったかな。儂も若い頃、しばし逗留していたことがあるな。風光明媚な場所で、そこかしこに天然の露天風呂が散見され、……そういえばクララがあそこの温泉を好んでいたものだが」

 コルラードの柔和な表情に、少しだけ苦いものが混じった。


 エウフェーミアは訳知り顔で頷きながら、

「ああ、こちらに書いてありましたわ。なんでも“美肌・美人の湯”としても有名だとか。それと、クララ様が封じた邪神の封印があるとか」

 ちらりと机の上に出しっぱなしになっている、アーレア地方の風土について綴られた紀行文に視線を投げる。


「邪神の封印か……」

 苦笑したコルラードが、小馬鹿にしたような目付きでその紀行文を眺める。

「真実を知らない大衆は愚かなモノだ。あれはそんな手垢の付いたものではなかったし、もともとクララの封印は――」

 そこまで無意識に口に出したところで、はっと気付いて口をつぐんだ。


「……お父様?」

「いや、なんでもない。それよりもそのジュリア嬢が戻ってこられたら、折りを見て……なるべく早い時期にご招待したいものだね。シルティアーナにも友人ができれば、より意欲がわくだろうからね」

「え、ええ。そうですわね。お姉様なら間違いなく、シルティアーナ姉様のご友人になってくださると思いますから」


 そう口に出した後で、

(そういえばお姉様は、シルティアーナ姉様の元婚約者のルーカス公子と仲がよろしいのよね。大丈夫かしら……)

 少しだけ不安になるエウフェーミアであった。


 ◆◇◆◇


 夕食後の穏やかなひと時。

 女子会という名の吊るし上げ……いえ、裁判官ヴィオラ検察リーゼロッテ、検察側の証人エレン以下、弁護人なしでの魔女裁判の被告となっていた私ですが、危機一髪のところで急を知らせる伝令の方が、血相を変えて飛び込んできたことで、自然とそれどころではなくなりお開きとなりました。


「――た、助かりました……」


 胸を撫で下ろす私とは対照的に、興が乗ってきたところで中断されたリーゼロッテは不満げな顔で、小さく舌打ちをしています。

 ヴィオラの方は苦笑をして、

「襲撃らしいので、こちらの方が大事の気がしますけどね」


 その言葉を裏付けるように、職員の方々や護衛の冒険者たちが完全武装で保養所内を走り回っていました。


「皆様、安全の為に護衛の指示に従って避難してください。襲撃者の数はたいしたことはありませんが、万一の場合に備えて動きやすい服装でお願いします!」


「ふむ。妾たちを狙っての襲撃であるか? 意外であるな。表の有力者はもとより、この地の盗賊ギルドや裏社会とは話が通じているはずであるが……」

 侍女の手を借りて着替えをしながら、思慮深げに眉を寄せるリーゼロッテ。


 バカンスついでに寄るだけとはいえ、こちらは国賓クラスの王族貴族の子弟がごろごろしているVIP集団です。

 隣国とはいえ自国陣営にある盟主国の王女として――最初にユニス法国を訪問先に推挙していた生徒会執行部にその配慮があったのかどうかははなはだ疑問ですが、ゲストを迎え入れるホスト役のつもりで――おそらくは、事前に入念な下調べや下準備を水面下で行っていたのでしょう。

 それが蓋を開けてみれば、訪問当日に賊の襲撃を受けているというのだから、遺憾の意を表すのも当然と言えば当然です。


「どこにでもそうした組織から離れた馬鹿どもはいますからね。それとも、夜盗に見せかけた他国の工作でしょうか? どちらにしても現段階では判断材料が少なすぎます」

 こちらは普段の男子の制服に、侍女に預けておいた長剣を腰に差しただけのヴィオラが、肩をすくめてリーゼロッテを労りました。


「そうですわね。正面から襲撃してくるなんて、あまりにも無謀ですから、一部の跳ね上がり者か、もしかすると魔物の仕業なのかも知れません」

 まあ、裏で手引きしている人間がいるかも知れませんが、そのあたりはこれを乗り切った後にでも確認いたしましょう。幸いそうした裏事情に詳しそうな事情通には心当たりがありますし。


 私の脳裏にちょっと胡散臭い商人さんと、その部下だという白猫の獣人が浮かびました。


「まずは無事に生き延びることを第一と考えましょう。――エレン、部屋に戻って着替えと、フィーアを連れてくるのでついて来て」

「はい、ジル様!」


 一礼をして退室する私へ、リーゼロッテとヴィオラから声が掛けられます。

「うむ。気をつけてな」

「また、後でお会いしましょう」


 扉をくぐる際に、再度部屋の中を向いて頭を下げました。

「ええ、おふたりも無理はされないでくださいね」


 私の方は自力で身を守る程度のことはできますし、いざとなればSSランク魔物に匹敵する使い魔(ファミリア)のフィーアがいますので、かなりの安全マージンはあるはずですが、彼女達には一般の護衛しかついていません。

 なるべく傍についているようにして配慮しないと……。


 そう思いながらエレンを伴って廊下を歩いていると、この騒ぎに混乱をきたした同じグループに所属する貴族の御令嬢方が、半狂乱になって目に付いた教職員や冒険者に詰め寄っている光景が見られました。中にはショックで気絶している子もいます。


 リーゼロッテとヴィオラが平然としていたのでついつい失念していましたけれど、ああいう豪胆なお姫様方は別格中の別格で、普通の貴族の御令嬢は箱入りもいいところなのでこの反応が普通なのでしょう。


「……これはちょっとマズいかも知れないわね」

 外からの襲撃よりも、内側の混乱で怪我人や最悪死者が出るかも知れない。そう改めて、私は自室へ向かう足を速めました。


 女子の方はなんとか私がフォローできるだけするつもりですけれど、別棟にいる男子の方はどうなっているのか……。

 生徒会で混乱を抑えてくれればいいのですが、どうにも不安が拭えません。


 当てになりそうなのは逆境に強そうなセラヴィと、正義感溢れるルークのふたりですが、この混乱の中で上手に立ち回れるのか。考えれば考えるほど不安になります。


「どうか無事でありますように……」

 誰にともなく祈って、私は辿り着いた自室の扉を開けました。


 ◆◇◆◇


 急を知らせる護衛たちの警告を耳にして、取るものも取りあえず護身用の剣を握り、使い魔(ファミリア)羽猫(ゼクス)を肩に乗せたルークが部屋を飛び出したところで、早足で廊下を急いでいたセラヴィと出会いがしらに顔を合わせた。


「「――むっ!?」」


 反射的にお互いに顔をしかめたが、そんな場合ではないと思い直したルークが事務的に訊ねる。

「なにを急いでいるのかな?」


「――別に。同室のエリアスがいないもんで。アイツはどうにも鈍臭いところがあるから、念のため探しているだけだ」

 面倒臭そうに頭をガリガリ掻いて、そう答えるセラヴィ。ちなみに一般クラスの生徒は、個室ではなく何人かの相部屋があてがわれていた。


 そんなセラヴィの答えに、ルークは軽く目を細めた。

(へえ。普段の態度の割に、案外面倒見がいいんだな。ぶっきら棒な態度や口調は照れ隠しか……なるほど)


 セラヴィはセラヴィで、周りが右往左往している中で逸早く準備を整え、落ち着いた態度を崩さないルークの姿勢を高く評価していた。

(世間知らずの貴族かと思っていたけど、意外と度胸があるな。こういうのを生まれ持っての“大器”っていうのか。まったく……つくづく世の中不公平だな)


 そんな風にお互いに認識を新たにした。


 一方、その頃、保養所に引いてある温泉の露天風呂では――。


 男湯と女湯を分かつ四メルトほどの石積みの壁を乗り越えようとしていた生徒会関係者(パシり役のエリアスを含む)一同と、一部貴族の有志(ダニエルを含む)たちが、火急の報せと飛び込んできた教職員及び警護役の冒険者に驚き、一斉に足を滑らせ壁から滑落したのだった。

 

 襲撃開始から十分。

 多くが擦り傷と打ち身、切り傷だけであったが、最初の負傷者は、こうして不可抗力で多数発生した。

次回更新は1週間後くらいを目安にしています。


ちなみにオーランシュ国はコルラードの父までが国王でした。

国土面積としてはユニスとほぼどっこい。

人口は三分の一ほどですが、オーランシュが少ないのではなく宗教国家であるユニスが多いだけで、平均値です。

こうした背景があるため、いまだにオーランシュ辺境伯は公式な場以外では、国王待遇で、その子も「プリンス」「プリンセス」と言われます。

ジルも「プリンセス・シルティアーナ」と呼ばれていました。


10/14 ご指摘により一部表現を変更しました。

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