表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/21

きみの名1

「僕は君を愛せない」



それが最初に言われた言葉だった。



「僕は遊び人だし、女の人好きだから、1人には絞れないんだ」



暗闇の底へ、突き落とされた気分だった。



「だからそれが不満だと言うなら…この婚約、破棄してくれて構わない。咎める事は一切しないと約束する」

「――…」



直感的に、彼には好きな人がいるのだと確信した。

でも。

「破棄はしません。私にも、心を預けた方がいますから」

彼は目を見開いた。

その表情に、私の心は大きく打つ。



彼が好きだった。幼い頃からずっと。

だから私は、嘘をついた。


政略結婚でも何でもいいから、彼の傍にいたかった。



「そうか。じゃあ、よろしく」

断る事が出来ない事なんて、私も彼も知っている。

私たちの結婚は、親が、国同士が決めた、覆せない決定だから。




あれはいつの頃だったんだろう。


父から、彼がお前の婚約者候補だと、紹介された。

彼は使節団について、遥か南の国から私の国へとやってきていた。

金の髪に、左右の色が違う不思議な瞳。

(きれい……)

私は言われるままに彼に会い、そして恋をした。



我ながら単純だと思う。


確かにお互い王族であるから、国の決めた相手と結婚する事が当たり前である。

けれども、時代が移るにつれ、そんな考えも廃れてきた。彼はその筆頭だろう。数々の浮き名は、海を越えてまで伝わってきていたから。

けれども、こうして結婚の準備は整えられていく。

彼も、いくら遊び歩いているとは言え、婚約自体を破棄するつもりはないようだ。



彼の心を得られないかもしれないとは思っていた。

それでも、夫婦として寄り添ううちに、私を少しでも好いてくれればいい。



「こちらこそ、よろしくお願いします」

母国のものよりもずいぶん軽い衣装をつまみ、正式な礼をとる。

「シャルティン様のお役に立てるよう、精一杯努める所存です」



シャルティン・サミン・オディアート。

サミン国第一王子であり、王位継承者。


彼が私の婚約者だ。





今回の話はシャルティンの結婚話です。


恋愛要素強めで書けたらなぁと思ってます。


またしばらくお付き合い下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ