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文芸系の小説

ウデ・クツシターVSアシ・グンテー 三回戦

作者: ポン柑ぴぃち

 はじめに言っておくが、このお話にウデ・クツシターとアシ・グンテーはほとんど出て来ない。二人の白熱した手に汗握る対決を期待してこれを開いた人は「そんなのズルい! アホマヌケ! こんちくしょー!」と思うだろう。


 しかしよく考えてみてほしい。そんなどこにでも有りそうな対決を見て何の意味があるだろうか。どちらが勝ったところで一体あなたの人生に何の影響があるだろうか。


 違うのだ!

 真に見届けなければならない対決というのは他にあるのだ。私は大晦日の格闘技イベントは録画して、紅白を生で見るタイプだ。紅が勝つか、白が勝つか、それが最も我々にとって重要なことだからだ。


 と言っても納得できない人がいる事も理解する。しかしタイトルに「三回戦」と付いている事を今一度確認してほしい。三回戦ともなれば、もうまともに戦えないものなのだ。そういう事なのだ。


 だからタイトル詐欺ではない!


 それが言いたかったのだ。前置きが長くなった事は心の底からお詫びしたい。


 それでは、ウデ・クツシターVSアシ・グンテー 三回戦、開幕!

 とくと見よ!


 アタマ・パンツー。

 細マッチョなシルエットがセクシーな彼。アルマーニのスーツをビシッと着こなし、片耳につけたピアスのリングが危険な魅力をかもし出している。

 もちろん今日もトレードマークである、白のブリーフを頭にかぶっている。


「なに? ジョバンニがやられた? おんのれ、ウデ・クツシターに、アシ・グンテーのやろうめ……」


 アタマは、電車の中で向かいに座っておしゃべりをしている女子高生らをガン見して、会話に聞き耳を立てていた。親友の名前と、憎らしいライバル2人の名前が聞こえたからだ。


「こうしちゃいらんめえ!」


 アタマは歯医者の予約をキャンセルするかを真面目に悩むかどうかを決めようと、コロコロ鉛筆を取りだすため上着のポケットをゴソゴソする。が、目に入ったとなりのOLのスマホ画面に映るLINEのトークが気になった。


「なに?!」


 アタマはとなりのOLのスマホにぐいっと顔を寄せる。


「君! デートの予定が会社の飲み会とかぶっただと? はっ。それは良いことだ。かぶれるものは全部かぶりなさい。はっはっはー」


 アタマは上機嫌になり、もう一方のとなりに座っていたサラリーマンの頭皮がやや寒そうだったので、頭にかぶった5つのパンツの中で一番ふやけたパンツをかぶせてやった。

 はっはっはーと笑いながら足をばたつかせていると、電車の連結部分の扉がガラガラーッと開く。


「お客様のなかにー! お客様の中に、切符を2枚お持ちの方はいらっしゃいますかー! 誰か! 私の保険証と交換しませんかー!」


 と言いながら、オシリ・ブラジャーーが入って来た。乗客たちが一斉に床に目を落とし、関わるのを避けようとする中、アタマ・パンツーだけが立ち上がった。


「オラコルァア! ここで会ったな、オシリ! この間はよくも俺のノーブラを笑い物にしやがってッ!」


 血相を変えたアタマの怒号が車両内に轟いた。

 オシリ・ブラジャーーは、優先席に座っていた中学生を説教し、立っていたおばあさんと代わらせてから、アタマに言い返す。


「んだとぉ、ごるぁあ! 次、ロース姉さんと2ケツしてたら、ただじゃおかねえかんな! くそっ、ケツなんて汚ねえ言葉使わせんじゃねえよ!」


 にらみ合って歩み寄る二人。


「あ? やんのか?」

「おん? やるってか? あ?」


「あ?」

「あ?」


 さあ!

 ついに両雄あいまみえ、ここに究極の対決の始まりだ!


 司会がヘリコプターから車両へと乗り込み、仕切りを担う。


 まずは大食い対決だ! つきたての餅が車掌さんによって運ばれてきたぞ!

 制限時間は30分だ。とっとと、スタート!


 両者勢いよく動き出す。アタマは海苔ときな粉を調達しようと隣の車両へと駆け込んだ。偶然にも海苔を眉毛にして、きな粉を頬に塗りながら化粧直しをしていた女がいたので、電車の中で化粧するなんぞみっともないぞ、と手鏡越しに説教をした。すると、女はしぶしぶ海苔ときな粉ををパンツと交換することに同意し、アタマは目的を達すると、やっぱり醤油も欲しくなって他人のペットボトルというペットボトルの中味を試飲して醤油探しを始めた。


 一方オシリは、網棚にあった不審なカバンを車掌に届けると、車掌が露骨に迷惑そうな顔をしたので、自分で処理することに決めた。ちょうどそこにあった餅でカバンを包んで電車の窓から投げ捨てようと考え、餅に手を伸ばした。


 その時だ。

 突然、そこに雷が落ちた。電車は停電してしまい、対決は一旦中断を余儀なくされた。



 こんな終わり方でいいわけねえだろ! 金返せ! バカバカバカ!


 と、私は思いました。



※リレー小説

「ウデ・クツシターVSアシ・グンテー」(n5990hs)

「ウデ・クツシターVSアシ・グンテ― 二回戦 パングラム参加」(n6387hs)

「ウデ・クツシターVSアシ・グンテー 4回戦」(n7499hs)

「ウデ・クツシターVSアシ・グンテー 5回戦」(n8142hs)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 書いたよ? 五回戦書いたけれどもさ 1回戦は愚か、御作3回戦のクオリティはハードルが高い笑 トータル文字数何文字だろう? 昨夜に読んで当夜の夢に出てきましたからねwww [気になる点] …
[一言] 世の中には戦場で会ってはいけない猛者がいるのは知っていたが、あなたが四天王のひとり「ポン柑ぴぃち」殿だったとは! パロディのメンホンぐらいじゃ絶対に勝てねぇわ、これw せめて追うことを許して…
[良い点] レビューが400字しか書けないのでこっちに。 ツッコミどころしかありませんが、責任もって全部ツッコミます。感想も書きます。突っ込むべきところが多すぎるので敬語が消滅します。 私の「自作…
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