04 玩具入手
取り敢えず、別ゲー(notフルダイブ)で大量に人々を虐殺して、対抗してきたPKKを虐殺し、PK最強を名乗って粋がっていた馬鹿共を殲滅した。
まあそんなことは前段なので放っておき、ログインする。
◇
鍛冶屋のおっちゃんからメッセが届いているのでさっさと向かう。
が、入り口の時点で既に罵り合いの声が聞こえる。
「なんで私の装備を作ってくんないのよ!」
「テメエにやるにゃ勿体ねえよ」
意に介さず中に入ると、店長の顔が嬉しそうな物に変化する。
「よお、来たかカーリー。待ち兼ねたぜ……ああ、そっちの嬢ちゃん、カーリーに勝てたら考えてやらんこともないぞ」
もうこれは予想済みの展開だったので何も言わない。
「は、そいつの方が強いってこと? これでも私はLv.100越えてるのよ! ねえ、あなた。レベルは幾らで?」
「は? 私はまだたったの29だね。まあ、戦力とレベルは直結じゃないけど」
さらにぶちぎれたらしく、テンションが跳ね上がっていく。が、付き合う道理はないので(意図的に煽ったが)、すっと逃げるように店を出る。
お相手の構えているのは……魔法使いっぽい杖ね。……ととと、詠唱か。
同時に魔法陣も展開される。
「さき動かないと不味そうだし」
先に速度特化な魔法を符を起点に弾幕化する。インベントリから符を出して雷連打する。魔法抵抗力は高いらしく、雑な魔術構成だと弾かれる。まあ、魔術的な穴はなんとなく分かったので鎖で縛る。
「これでアンタの負け。私は格闘もそれなりにできるぞ?」
「くっ……」
◇
で、なんでお縄に着いてるのかな。
「すまんな……いやホントに。またあの馬鹿爺に使われた奴なんだろうけど……乱闘は御法度でな……」
まあ知ってた。署名一筆で済ます辺り手馴れてる。
「因みにカツ丼は出ないの?」
「あの爺さんの起こす問題に付き合ったらカツ丼だけで予算が吹き飛ぶ」
うーむ世知辛い。てか毎度起こしてんのかよ。
「おりょ? 前回の時はなんで捕まんなかったんだ?」
「究極的に戦闘じゃなくて投げて縛っただけだからだな」
わお適当。
まあそんなことは良いとして。爺さんから装備を受け取る。
「まず御要望の防具……つうか和服だな」
白衣に緋袴。注文した通りの巫女装束にテンションが上がる。
【淵獄の巫女装束】
獄を冠する化け物を軸に組まれた巫女装束。その力は魔導を導き、常ならざる魔導を齎す。その魔導は装備者の俊敏にすら影響を齎すが、その代償もまた大きい。
《制限行使》 この衣に値せぬ者、相応の力のみを齎す
《対撃獄火》 敵対者は、それを放った事実を抱え滅びる
《刺突獄氷》 魔道に導かれしもの、更なる魔導を導く
《加速獄雷》 魔力満ち足りしもの、その意思に伴う。されど、伴うのみ也て強化ならざり
《》
なにこれ……化け物染みてるのだけど。
「この空欄括弧は何?」
「……ああ、それか。制限行使の影響だな。お前はそれに値すると、まだその衣に認められていないから、提示しないらしい。使ってればそのうち分かるだろうよ」
「ちなみにお値段は?」
「注文全て合計で5億8千万」
意味が分からない。いや……いや……いや……億…?
「獄龍素材を大量に突っ込んでるしな。その他にも各種打ち込んでるからな。まあ、気楽に行けや。本題の効果だが。精神力に大強化、敏捷器用にそれなり。自分を対象に取られた攻撃に対するカウンター、魔法及び魔術の攻撃転用時自動追撃、反応速度強化ってとこだな。他にも色々あるが、知らないのならそれで良い」
充分すぎるほどの効果が積み上がっている。ぶっちゃけ、
「壁2枚超えた程度の若造が持てるようなもんじゃ無いよね?」
「そう思わなくもない。が、儂にゃ信念があってな。装備は身を滅ぼす。強くとも、弱くとも。特に、装備による強化は装備による強化でしかないことを理解してない奴はだ」
なんでも良いけど、随分と評価が高いね、私と会ったのは所詮2回目だろうに。
「ま、ごちゃごちゃ言う前に使って見いや。っていうかまだ全部じゃねえしな」
はい、全くその通り故、注文した他の物品も確かめる。
【水獄の浮遊結晶】
浮遊部品を持つ水獄のチョーカー。その輝きは、新たなる魔導を導き出す。
《制限行使》
《遠隔魔術:晶点》 導かれし魔力、重なる世界へ効果を齎す
【砲獄の獄光】
砲獄より生みし自走砲台。収束した魔力、全て貫く槍となる
《制限行使》
《自動修復》 破壊されることはなく、周りの魔力を取り込み蘇る
《遠隔魔術:砲身》
《再装填》 蓄積されし術式、新たなる砲撃となる
・〝スパーク〟 接頭句と共に弾く火花、それこそ礎
【暗黒なる獄門】
設置型定点魔術点。起点より開かれた門、更なる術式を現す
《制限行使》
《自動修復》
《遠隔魔術:点》
上から青いチョーカー、迷彩色自走砲、黒色の珠……ビット。っていうか能力が頭おかしいぜ、全く。とは言え、手札が増えるのは純粋に喜ばしいし、生存率その他諸々が跳ね上がる。ということで、リモスナとマルマギにショートカットを設定していく。
「っていうか私、メニューの方から自分用術式のショートカット設定してないのな」
「魔術型なのにか?」
「いやだって、そんな暇なかったし」
ということで平和のスパーク系を設定する。マスパは必修、ダーク、ファイナル、ファイナルマスパ、ダブルも必修。当たり前だよねえ?
因みにこのゲームにはチルノコスで氷魔法特化型の妖精族プレイヤーが居ます。
え? 初心者にサービスし過ぎですって? ユーリが手を回しているのですよ。
……出荷