初めての魔法とお勉強
朝食を終えると各自自分の部屋に戻った。朝食を取っただけなのに、なんか凄く疲れたよ。今から何しよっかな。とりあえずトリックを呼んで今日の予定を聞こう。
コンコン。
「ソルト様トリックです。」
「入っていいよ。」
「今日のご予定ですが、午前中に文字のお勉強があります。後1時間ほどしたらお迎えに参ります。」
「わかった。ありがとう。」
笑顔でトリックに言う。聞きたかったことを話してないのに伝えてくれるなんてエスパーみたいだ。
トリックは少し嬉しそうな顔をして出て行った。
さて、後1時間何をしようかな。そういや僕は魔法が使えるのだろうか。記憶を遡っても試したことないみたい。やってみよう。
やり方は散々シュガー姉さんに叩き込まれてるからね。
まず、魔力というものを感じてみる。集中、、、。体に何か通ってるのがわかる。これが魔力なのかな。確かめる方法がないや。魔法を使ってみたいけど、姉さんが見せてくれたやつでもやってみるか。えーっと。
『ワォーターボール』
シーン。、、、僕できないんですけど。あ、そういや姉さんが人には各人持ってる属性があるって言ってたっけ。確か〜、水属性と、火属性、風属性、あと土?岩?氷?なんかそんな感じだったよなぁ。ダメだ。3つしか覚えてない。とりあえず他も試してみるか〜。他のは見たことないんだけど、〇〇ボールって言っといたらいいのかな。
『ファイヤーボール』
シーン。ダメか、、、。気を取り直して〜
『、、、、ボール?』
、、、待って、風ボールって何?ウインドボール?そんなの聞いたことないんだけど。風をボールにしてどうなるんだって感じするしね。どーしよ、うーん。
『風さん動いて!』
ビュッ、ヒューーー。
凄い!でも、僕の部屋がーーー。やめてーーーーーー。
『ストーーップ!』
サッ、バサバサバサ。
僕の部屋で巻き起こった竜巻が消える。空中にまっていたものが落ちてきた。す、凄い。でも、早く片付けないと。はーっ。
?!
待って、僕、魔法が使えた!イェーイ!
そう気づくと一気に気分が明るくなる。風魔法の属性があったとは!魔法、素晴らしいじゃないか!シュガー姉さんがハマるのも納得だ。
そんな興奮に浸っていると、ノックが聞こえた。どうしよう、今部屋をトリックに見られたらやばい。んー。
けど、ま、いっか。別に異能力とかじゃないし、隠すつもりもないから。正直に話そう。あわよくば、執事なんだから、片付けを手伝ってるかもしれないし。
「ちょっと今散らかってるけど、入っていいよ。」
「失礼します。!?、、、何ですか、これは!何があったんですか!?」
「んー、魔法を使ってみようと思って、風魔法を使ったら、こうなっちゃった。」
「!?この歳で、、、。ソルト様は魔法の才能がおありだったのですね。」
「いやいや、シュガー姉さんやキッシュ兄さんの方が凄いよ。」
こんなにお可愛らしいのに大きな魔力を、とかなんとかまだブツブツ言っているトリックを我に返し、お勉強を行う部屋へと連れて言ってもらった。後でトリックに片付けの手伝いを頼んだところ、快く受け入れてくれた。
*
「よろしくお願いします。」
お勉強部屋には、恐らく先生であろう人物がいた。クラス先生だ。この人大丈夫かなという印象。無精髭を生やし、白髪混じりの毛をかきあげている。
「久しぶり、ソルト君。」
「こんにちは先生。」
それを聞くと一緒に部屋に入ったトリックが扉を閉めて「失礼します」と言って出て行った。
「じゃあ、復習から始まるね。この字はなんで読むでしょうか。」
そう言って、先生は平仮名の「あ」と書かれたカードを出した。この世界、前世と言葉が一緒ってことはなんとなく気づいてたけど、文字も一緒だ!
「あ。」
「いいですね!素晴らしい。」
先生が褒めて次のカード、また次のカードと出していく。もちろん、僕は全部答えていく。まー、字が読めることを隠す必要もないしね。
「素晴らしいです。全部正解!よく頑張りましたね。」
そう言って嬉しそうにクラス先生は僕の頭を撫でた。その後、僕が頑張ったからということで予定よりだいぶ早くお勉強が終わった。