ヒロイン(アリシア)とヒロインとの出会い
私は日が沈み、すっかり暗くなった道を知らない少女を追いかけて、走っていた。
「だから、待って。私…俺は君に何かしたのか?」
勇人の身体の動揺具合から勇人が不登校になった理由に関係していることは明らかだった。
「何かって、勇人にとってはその程度だったんだ!どうせあれも嘘か罰ゲームとかだったんでしょ」
彼女の叫びは痛いくらいに身体に響き、今にも逃げ出したいくらいだが、直感で彼女をほっといてはいけないと感じていた。
近くの公園に着いたところでやっと追いついて、後ろから彼女の肩を掴んだ。
彼女もやっと諦めてくれたのか立ち止まり、私の手を振りほどいてから、苦しそうに息を整えていた。
「いきなり追いかけたりしてすまない。とりあえずあの椅子に座ろう」
2人で公園のベンチに座ると、すぐに話を切り出すことも出来ずに、仕事帰りのサラリーマンや部活終わりの学生たちが急いで家路につく中、2人の間には沈黙が続いていた。
どのくらい経っただろうか彼女の息が整ってしばらくしてから、彼女が口を開いた。
「それでうちに何しにきたの?嫌がらせ?」
「その話についてなんだが…詳しく聞かせてもらえないか?」
「え…?」
彼女は驚いた顔をしてから、急に立ち上がった。
「そんなことが聞きたいなら、自分で確かめればいいじゃない!」
冷たい声で彼女は私に言い放つと、また走って行ってしまった。
また追いかけようとも思ったが、不思議にも身体を動かすことができず、しばらく公園のベンチで1人時が過ぎるのを待っていた。
家に着いたのは日付が変わる少し前だっただろうか、家に帰るなり私は疲れ果ててベッドに倒れこんだ。
「ねー?ルーシィいる?」
「なんじゃ、わしは眠いんじゃが?」
「私、明日学校行ってみるから」
「そうか、まあ頑張ることじゃな」
淡々と返すルーシィだが何故だか少し嬉しそうに見えたのを最後に、私の意識は薄れていって自然と眠ってしまっていた。