ひょっとして、ツンデレ?
大きなナットを緩めてお腹の部分だけを外されると、男はどこかへ持って行ってしまった。なんか、スースーする不思議な感覚だわ……。胃と腸を手術で抜き取られ、麻酔が切れると、きっとこんな感覚なのね。……涼しい。
排水管から時折落ちる雫は、タライにポタポタ受けられている。
「よーし、綺麗になったぞ」
……。男が笑顔で戻ってきた。私が詰まってから久々に見せる笑顔と笑い声に、なぜだか私まで嬉しくなってしまう……。
「あんなに詰まっていたなんてなあ……。これからは小まめに掃除して綺麗にしてやらないとな」
……なによ今更……私のことを綺麗だなんて……。
また……涙が出てくるじゃないの……。
「うわ汚え、どこから汁が出てくるんだ?」
……。
取り付けが終わり、蛇口の水を一気に出して流れを確認すると――。
――んごごごキューン。
心地良い音と共に、今までの詰まりが嘘のように一気に水が流れ落ちる――!
「凄い!」
テヘヘ。ああ、スッキリした――。今のこの感覚――最高に清々しい。
わだかまりが解けたような解放感――。嬉しい……そして、ありがとう……これでわたしも、つまらない排水管から……じゃなくて、詰まった排水管から解き放たれます……。
ありがとう……。
掃除してくれて、ありがとう!
――このご恩は一生忘れないわ――!